2016年夏アニメ私感
2016年夏は派手な作品こそないものの、比較的安定感があってしっかり楽しませてくれる作品が多かった印象。夏期作品の私感を綴ったつぶやきを例によって整理してみました。
1 planetarian~ちいさなほしのゆめ
劇場版を観た上でまとめて別で語ろうとも思ったが、放送分だけで締めちゃったとしても作品として成立してると思うので、夏期の作品のひとつとして数えた。
ロボット・ゆめみが愛らしく振る舞うほどに人間であってほしいという思いが募るのに、ゆめみは頑としてロボットのまま、というのがもう…。
planetarian~ちいさなほしのゆめ1話 長年放置され不良箇所が多数あると自覚してるロボットらしいしつこい・うるさい話術がユニークだし荒廃した世界と不釣り合いででもそのロボット・ほしのゆめみの背景にある悲しみが荒廃した未来の世界に凄く馴染んでる これは心に残る作品になりそう
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月7日
planetarian2話 終始システマチックな言動のゆめみだけども投影機修理の進捗を何度も何度も聞かれると直してやりたいなと思っちゃって完全に屑屋さんと気持ちがシンクロしてる 感情豊かなようで規則的でブレないゆめみの描き方が実に機械的で切ない
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月14日
planetarian3話 ゆめみに人格を見出そうとすると瞳の奥の絞りが顕になってロボットであると思い知らせる演出が憎らしくて車まで同行すると言い出したゆめみに屑屋が「正気か!?」と問うと「いいえ 少しだけ壊れています」で瞳の奥の絞りが確認できたとこでたまらんくなってボロ泣きしたー やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月21日
planetarian4話 与えられた仕事しかできず状況から事態を推測することも出来ないまぎれもないロボットのゆめみが人と同じ天国に行ってずっと人のそばに居たいってのがもうもう… ロボットという自覚もちゃんとあるゆめみを人格化することがどうしても止められず涙が止まらない — やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月28日
planetarian5話 私は人と同じ天国に行きたい・人のそばで人の役に立つ仕事をする天国に…とゆめみの言う天国は人にとっては平和な日常のたとえばデパート最上階のプラネタリウムかも知れなかった 活動してる今が天国なゆめみには天国は不要ということなのでしょう
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年8月6日
planetarianはひょっとしたら創作作品(ゆめみ)が人(屑屋)に与える影響力をポジティブに描こうとしてるんじゃなかろうか 「ロボットの相手をするな」て忠告は「テレビばっか見てたら馬鹿になるで」「ゲームばっかしてたら~」とか
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月8日
ゆめみは「プラネタリアン」だから帰る場所はプラネタリウムなのでしょう 帰るべき場所に帰って長い眠りにつきプラネタリウムを待ちわびる人々の期待の輪の中で再び目覚めるのがゆめみのハッピーエンドで ゆめみの夢見る天国もきっとそういうところなのでしょう
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月28日
2 クロムクロ
ロボットとそれを巡る情勢・関わった人々とその歴史という背景を、特に説明しなくてもわかってもらえるようシンプルかつコンパクトに纏めたのが良くって、そこに住む子どもたちを中心としたコミュニティとその外側にいる大人たちとの関わりが、時を超えてきたサムライの青年が加わることで生じる面白みを、コメディを基調とした雰囲気のなかで余すところなく抽出しきった。設定と構成が素晴らしく噛み合って、あっと言う間の充実の2クールだった。
クロムクロ総感 ロボットモノでありながら人々のドラマにフォーカスし過去と今と未来をひとつの時間軸に盛り込みその流れの中で変わっていく思想と変わらぬ人々の友情・情愛とをユニークに描いた 設定の活かし方とストーリーの構成が素晴らしくあっという間の充実の全26話だった #年度10選候補
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月30日
本題を置いといて脇道に逸れるってんでなく脇道ばかり行ってるようで知らずと本線も歩んでいるってのがクロムクロの凄いところで こんなにお楽しみ盛りだくさんで一本筋の通ったシリアスなストーリーをも盛り込めるって凄いね 凄い
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月30日
剣之助「由希奈…お前の命を俺にくれ」
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月19日
由希奈「えっ?嫌」(即答
こういうとこ最高だねクロムクロ ものすごい今を生きるごく普通の女子高生感
武士道とは命をかけるに値する価値を求め進む道であって死に場所を求め彷徨う道ではないと クロムクロの武士道観が凄く良い — やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月19日
クロムクロの高校生男子3人組の中で一番大人びて見えるカルロスが自室でクラスメイトの女の子がブログにUPしたコスプレ写真見て鼻の下伸ばしてるだけのほんとに何者でもない普通の高校生ってのエグいよね 応援してるぞ(握り拳
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月27日
ストーリーもキャラクターもトッピング全のせラーメンのようなギットギトな作品だけども、設定を活かしてミステリーに仕立てたのが良くって、毎度先の見えない展開にハラハラドキドキ。作品世界に強引に観るものを引きずり込むパワーをもった作品でした。
Re:ゼロから始める異世界生活総感 スバル同様のクドさが作品自体にもあってキャラ同士の濃厚なドラマに寄与したり裏目ったりバランスがいいとはいえないとこもあった しかし「死に戻り」という設定をミステリーに仕立てる構成が抜群に良くて毎度スリリングなストーリー展開で大いに楽しめた
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月24日
4 91Days
邦楽のOP曲より洋楽のほうが良かったのでは…と思ったけども、キャラデザの影響もあってすぐに気にならなくなった。この人が物語の中心に来るのだな…というキャラがバンバン退場するので先が見えなくて毎度楽しみに観ていた。
91Days総感 禁酒法時代・報復が報復を呼ぶマフィアの世界で一人の男が復讐をするということの虚しさを描くにあたってその設定を活かしてバンバン事を運んだのが功を奏して禁酒法とマフィアの世界が面白く掘り下げられたし予測のつかないミステリアスでスリリングな展開に繋がって楽しめた
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年10月3日
5 ラブライブ!サンシャイン!!
前作ラブライブ!のμ'sに憧れる子たちが中心なので、どうしても前作より華やかさに欠ける。どうしてこの子たちを描こうと思ったんだろう…とずっと首を傾げてたんだけど最後の最後にテーマが理解できてひとつのドラマとしての完成図が俯瞰できた。派手さはないものの何者でもない子達にもステージの雰囲気を味わってほしい!という意気は伝わった。
ラブライブ!サンシャイン!!総感 μ'sに憧れた子たちはμ'sになるどころか何者でもなかったことを思い知らされるも何者かになろうと邁進する・結果どうなろうと情熱を持つことが大事なんだと学んだ 最終話に至ってはじめて一本心の通ったドラマが完成した お見事 #年度10選候補
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月25日
コメディ作品はネタが自分に合うか合わないかというのが重要なので、そのあたりがビシっと噛み合ってくれたので高評価。遊び心満載の、作ってる側も楽しんでそうな演出の数々は観てて楽しいし嬉しい。
この美術部には問題がある!総感 溌剌とした主題歌と賑やかな映像のOPが象徴するようにちょこまかとよく動いて賑やかで楽しくコメディのセンスも好みで可笑しかった 真剣に恋をしてるとこよりもシッチャカメッチャカになってるとこのがやっぱ面白くてその中心にいたコレットさんが超好きでした
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月25日
7 食戟のソーマ 弐ノ皿
週刊誌連載の人気作品でもう確実に面白いのに、贅沢な画作りで文句なしに面白いアニメ作品に。起承転結の緩急の付け方が素晴らしく、毎度スリリングな展開で手に汗握った。
食戟のソーマ弐ノ皿総感 ぐぐーっと引きつけてズドンとオトすエピソード毎のボルテージが物凄くて泣くような話でなくても楽しすぎて落涙することもしばしば バトルモノの熱気と茶目っ気と最先端の食事情の取材力および食文化への敬意…どれをとっても素晴らしい出来でした #年度10選候補
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月26日
8 モブサイコ100
90年台OVAっぽい雰囲気を持つ画作りをTVシリーズで、こういった作品でってのがとても贅沢に思えた。ギャグをやってるのにドラマチックにも解釈できるオチに誘導するセンスが凄い。
モブサイコ100総感 90年台OVA的サブカル感あふれる画作りでも清涼感があるのは「自分はなんのために生まれどこへ行くべきか」悩める若者の心情を爽やかに抽出できたからでしょう ワンパンマン同様「能力は答えを教えてくれない」というジレンマを上手くユーモアに転化した #年度10選候補
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月28日
9 ベルセルク
中世西洋の宗教観の持つおどろおどしい世界を、劇伴なり構図なりでよりダイナミックに表現出来ていたと思う。CGなのに手描き手塗りっぽい感触を出そうとしたのは新鮮だった。もう少し動きの方も精度が欲しかったけどこれは贅沢か。
ベルセルク総感 中世西洋の宗教観の持つおどろおどろしい世界の光景にダイナミックなアクションがセンセーショナルで3DCG作品としては微妙なとこも多々みられたけどそれでも手描きアニメのようにはっきり乱れること無く完走してくれてストーリーに集中することができた
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月24日
10 NEW GAME!
ネタの好みこそ合わなかったものの、画作りが素晴らしくて見てるだけでも楽しかった。ねねっちがお気に入りで、天真爛漫に振る舞ったら怒られてシュンとしてるところをおーよしよしよしよししたいですねぇーッ!!
NEWGAME!総感 可笑しい!というより可愛い!で観てたとこあってねねっちがお気に入りでした お仕事から笑いのツボを探るというのはある層のトラウマスイッチになる懸念などあってちょっとハードル高いし広がりにくいと思う もちっと大胆に脱線しても良いと思うけどな
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月25日
11 ReLife
主人公がほぼ同世代ということもあって共感を覚えつつ楽しむことができた分高評価。ピアノを基調とした劇伴からは作り手のしっかりしたビジョンが伺えて、丁寧な作りにもそれが伺えた。派手でなくてもさっぱりとしたキャラデザに爽やかな色使いが清涼感あふれる学園生活を演出した。
ReLife総感 シンプルなキャラデザでも色使いが明るくてピアノを基調とした劇伴も相まってシックな雰囲気と学生らしい清涼感が共存する30手前の大人が高校生になって…という本作の内容に沿った雰囲気作りがGOOD 制作状況が厳しいのが伺えるけどそう見えないように丁寧に仕事してくれた
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月24日
12 不機嫌なモノノケ庵
妖怪モノの定番で、恋愛要素もなく地味な印象だけども、しみじみと良い…と思える安心感が得られる作品。ヒロイン級の活躍をみせたモジャが可愛かった。
不機嫌なモノノケ庵総感 人間と妖怪の交流のお話だけど皆基本的に善良なので心穏やかに観ていられたしそれなりに起伏もあって程よい刺激もあった ただ感動させるぞって気負いを感じるエピソードばかりだったのでも少し息抜きというか遊びは欲しかった
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月28日
13 甘々と稲妻
寂しい人々が寄り添って一緒にめしを作って食うというそれだけのシンプルさと、それをただ見てるだけで楽しいというのが魅力ではあった。もう少し話が膨らみそうなポテンシャルは感じるのに、それを引き出さないまま終わったのが惜しいけども、続編のために取って置いてるのかもと思うと納得もできる。
甘々と稲妻総感 父子家庭の父娘と母子家庭の娘とでめしを作って食うというシンプルな作品だけどシンプルすぎて教師と教え子の関係や料理研究家の母など設定の面白みは十分に引き出せなかったか 子と親それぞれが学ぶ構造になっててちょっと手のかかる時期くらいの子と一緒に観るといいかも
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月23日
甘々と稲妻の「甘々」はMAMA(ママ)の逆…パパでもママでもないおとさんを差すんじゃないかと思ったけどどうだろ 稲妻は否・妻で小鳥さんか
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月20日
14 あまんちゅ!
女の子たちと海の中の神秘性に寄り添った結果なんだろうけども、いい雰囲気ではあるけど凄く寂しくて、畏れのようなものすらこみ上げてくる雰囲気がちょっと落ち着かなかった。アミーゴアミーゴ!!とかそれくらいの陽気さでもかまわないと思うけど。
あまんちゅ!総感 モデルのようなスタイルにボディのライン際立つ大胆なデザインの服飾とデフォルメ化とのギャップとか猫のような謎生物とかちょっぴり淋しげな劇伴などこの世でないような奇妙な感覚はちょうど海に抱く得も言われぬ恐怖に似てる これはこれで良かったけども少し明るさがほしかった
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月28日
15 テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス
長編超大作…のプロローグを観た、という印象。凄いのは凄いんだけども…。
テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス総感 映像も演出も劇場版クラスの見事なものだった ただ内容的にまだ序章といったところでそこをたっぷり間を取って情感込めて語られてもやはり食い足りないというか ものすごい贅沢なプロモーションムービーって感じ
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月29日
16 マクロスΔ
中盤までは刺激的だったけども、敵対するウィンダミアの事情が定番であったために回が増すごとにいつか見たような展開になってしまうのが惜しかった。フレイアの訛り混じりの喋りが好きで、彼女の声を聴くのを毎度楽しみにしていた。
マクロスΔ総感 ストーリーが収束していくほど型にはまっていってしまって展開に刺激がなかったのが惜しいところ 諸々の大胆な設定を活かしてもっと大胆に飛躍してほしかった
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月28日
17 アクティヴレイド 機動強襲室第八係 2nd
2期は1期を観たファンへの贈り物的な弾けっぷりを見せつつ、初見でも楽しめるよう配慮されたストーリーも盛り込まれた。どちらも中途半端な印象だったけども、もともと実現しなかったかもしれない2期作で、散り散りになっても仲の良さそうな、自分の世界と、その気になれば旧友にいつでも会える行動力を持った大人として描かれた大人たちの様子が見られたのは嬉しかった。
アクティヴレイド2期総感 ドラマで魅せるには脱線しすぎたしネタに走ったにしては物足りないとぼんやりとした印象だけど1期のメンバーがそれぞれ散っても交流が続いてるところが社会人って感じがしてよかった 飛躍の極まった最終回が一番面白かったな
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月27日
18 orange
中盤までは凄くよかったのだけれども、連載漫画原作だからか、どれだけ皆との絆が深まってもこの世に未練が生まれる様子のない翔にだんだん腹が立ってきたのと、手紙の送られてきた経緯について語らなくても成立したはずなのに説明してしまったばかりに世界が急に狭く見えてしまったのは惜しい。
orange総感 回を増すほど絆は深まっていってるはずなのにそれでも死にたがる翔への違和感が募っていったのと辻褄を合わせたり説得力をもたせるための説明がかえって不自然さを醸し出したりと終盤の印象は良くない それでも自分の未来よりまず友を救おうと奔走した仲間たちの友情には心打たれた
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月26日
19 Rewrite
定番キャラの織りなすベタベタなラブコメディ+トラウマや宿命との戦いという僕の好きなKey作品!の要素が揃っていてもう大好きなはずであっても、やはりアニメーションとしての体裁は整えてほしかった。すごく残念です。でも大好きです。続編に期待。
Rewrite総感 ユーモアのセンスに報われない人々に寄り添ったエピソードと個人的にものすごく好きなので贔屓目に良かったと言い切れるけど欲を言えばやはり整ったクオリティとオチへの貯めを効かせてほしかった 次期はぜひ上手くやってほしい
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月25日
20 ダンガンロンパ3 未来編・絶望編・希望編
ゴールから逆算して作ったような強引さや平坦さで、ゲームで1・2楽しんだ身としてはその後がどうであれ観ておくべきだという義務感で観ていたところがあった。そうでなければ途中で脱落したかもしれないけども、希望編の最後の最後で観ててよかった…と思えてしまったから我ながら現金なものだ。
ダンガンロンパ3総感 未来編も絶望編も文句たらたらだったけど希望編でおおっと前のめりになってあれっこれ面白いんじゃないのいやでもあの子のこと忘れとるな許さんぞって思ってたら…ED曲と結末で超許した 終わり良くても道中は釈然とはしないけどもまあいいでしょう https://t.co/6fVtrK30z3
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年9月30日
以上です。
2016年春アニメ私感
2016年春はコンレボにキズナイーバー・迷家などずっしり重量感のあるストーリー作品が盛り上がる一方で、たなけだやあんハピにふらいんぐうぃっちなど、まったりとした作品やコメディも多くて、バラエティ豊かで良作の多いシーズンでした。
ワタクシゴトですがずーっと各話感想が書けない状態でして、それでも今後のためにtwitterでつぶやいたものを以下にまとめておきました。完全に個人的な備忘録ですがあっそんな作品もあったねと振り返ってもらえたらうれしいです。
※気に入った作品がおおむね上位に来てますが、順序に特に意味はありません。
1 コンクリート・レボルティオ
1期よりもより混沌とした2期シリーズ、何が正しいのか観てるこっちもめまいを覚えるほどだったが、終わってみればなるほど今我々も混沌の中にいるのだな、と思える視聴後感。
コンクリート・レボルティオ最終話 様々な正義と相対的に悪とされる正義とがせめぎ合って来た本作 最後に絶対的な悪としてニヒリズム・シニシズムを提示しそれを理想主義が倒す「このどうしようもない世界で僕に何が出来んだ?って追い求める者だけが未来になれる」に鮮やかに着地した #10選候補
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月23日
コンレボのメッセージの柱は「何が正しいのか考えて悩んで誰に何と言われようと歩みを止めず前に進むんだよ」ってことなんだろうけどあらゆる正義やあらゆる立場が目まぐるしくせめぎ合いその中でそれとは別の様々な示唆を与えてくるからそこに着地するのかハラハラした どれもまた輝いてみえた
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月23日
コンレボは「様々な正義がありますがどれが正しいということはありません自分で考えてね」って終わることもできたんだけど「様々な正義がありますが僕はこういう奴はクソだと思うんで倒します」で締めくくるのすんごく気持ちよかった
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月23日
2 キズナイーバー
キズナシステムによって交わらないはずの関係が否応なしに交わっていくそのスピード感が良くって、OP映像同様のめまいを覚える緊張感がたまらない作品。多少の犠牲は覚悟していたが、ハッピーなエンドに着地させたのは作り手の良心だと思って納得することにした。
キズナイーバー総感 絆を深めるためには相手の領域に踏み込まなければならない 痛みを伴ったり争いを招いたりするけどもそれを経なければ絆は深まらない というメッセージを伝えるのにキズナシステムはユニークで かつ性質上想定される誤読も上手く回避できるよう導いてくれた #年度10選候補
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月26日
キズナイーバーは絆の深め方と傷との向き合い方を描いた時点で達してるんだよな それを面白く見せるためにキズナシステムがあったわけだけどシステムの強制性が関係の「縁」に作為を感じさせる懸念はあった
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月27日
キズナイーバーも迷家もリアリティあふれる関係性を描くのが目的ではなくて(そうなるよう努めてはいたけども)物語を通じて視聴者を啓発するような作品だったから期待が外れた方も多いはず そもそも心身の痛みが物理的に通い合ったりトラウマが村にへばりついたりするわけがないんでどうかひとつ
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月27日
3 迷家
コメディを基調としたミステリー・ホラー作品で、人生に挫折した人々の必死さを茶化さずに向き合いつつ可笑しみも引き出していく手加減・コントロールが抜群に良かった。三谷幸喜さんのTVドラマのような、個性的な大勢が好き勝手やってシッチャカメッチャカになる、そんな雰囲気が最高に楽しかった。
迷家総感 ドタバタコメディなノリでスタートしそれを維持したままミステリー・オカルトと変容し個々のトラウマとその向き合い方という本題を描くと先の見えない構成が楽しくまた身につまされる個々のドラマとそこに含まれるメッセージに救われた 自分の中にしか答えはないよという厳しさも親切で好感
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月26日
迷家10話でPTSDとその治療の話が出てきてやはり作り手はそれを強く意識してるんだなと改めて 辛い過去を忘れてしまおうとするでなく見つめなおすことで整理つけたり慣れさせたりして克服しようというのキズナイーバーもそうだったね アルドノアの鞠戸大尉が受けた治療と本質的に同じ
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月12日
スパイを扱った作品らしくぱっと見派手さはないものの、しっかりエンターテインメント的に映える画作り・ドラマチックな展開をしてくれてとても楽しかった。何を描いて何を省くか・取捨選択が上手くて無駄がないのに充実した内容。
ジョーカー・ゲーム総感 ショートエピソードで構成される本作で序盤にD機関を説明するエピソード・間にスパイの生き様・締めにスパイの潮時をもってくる見事な構成 人物それぞれに焦点を当てながらスパイの本質を浮かび上がらせつつそれが靄のようにスパイの個性を覆うスパイそのものを描いた傑作
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月25日
日々の疲れを癒やしてくれた作品。日常の中に魔法があるという感覚にもっともリアルに迫った作品で、だからこそその世界がとてもファンタスティックに映った。
ところで、5話冒頭の朝食の時に出た謎おかずが依然謎のままなんですが…
ふらいんぐうぃっち総感 魔法が発動する瞬間からあえて目をそらしたり観るものをびっくりさせるような位置で待ち構えたりしつつどう感じるかは観るものに委ねる気の利いたカメラワークが良くって通常なら観ることの出来ない魔法の同居する世界を特等席で鑑賞した気分 2期3期と続いて欲しいナ
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月9日
ふらいんぐうぃっち5話の謎料理について調べると「いがめんち」と出てくるんだけど多分それは昼めしにうどんと一緒に出てきたやつで冒頭の朝めしんときのとは違うと思うんだけどどうなの 朝めしのときに出てきたやつなんなの #しつこい pic.twitter.com/dsSLVN3dF9
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月18日
6 ばくおん!!
これ言ったらまずいのでは…という恐る恐る感がなくバン!とアクセルを踏んでくるのでネタの破壊力が凄い。さすがにノークレームとはいかなかったものの、それでも嫌味なくコントロールできたのは評価したい。
ばくおん!!総感 西村純二監督のインタビューにあるように本当に好きでどっぷり浸かってる世界だからこそ忌憚なく語ろうとファンの器を信じた思い切った踏み込みが刺激的で楽しく 好き!という熱気をyouthfulに表現した映像演出も含めて激熱で最高でした
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月26日
7 少年メイド
誰が観ても楽しめるようなとっつくやすさがありがたく、OP映像の洗剤CM感が本編でもそのまま生かされてて、これは衣服の描き方によるものかな、と思ったり。ハスハスしたい。
少年メイド総感 両親を無くした少年が叔父の家の世話になることになりメイドとして日々奮闘するコメディで女性向けっぽいパッケージだけど性の別を意識すること無く楽しめるような演出が有り難く 洗剤のCMのようなOPと洗いたての衣服のような本編の雰囲気が心地の良い作品だった
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月3日
太田くんもいつもけだるげ。だからこそ確固たるものになった作品の空気。良さ。
田中くんはいつもけだるげ総感 シックでおしゃれで清潔感あってそれでいて気さくな雰囲気が心地いいカフェのような…カフェチェーンで例えるとドトールのような作品 超気だるげな田中くんと賑やかで個性的なキャラとの間に普通にけだるげな太田くんが本作の柱として素晴らしい仕事をしてくれた
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月2日
9 あんハピ!
多彩で賑やかで楽しい画作りが魅力。過酷な運命を笑いに転化するにあたっての気配りも良かった。
あんハピ!総感 不幸体質の子たちが幸福になるための学園生活を描いたコメディらしく映像に劇伴に『落第騎士の英雄譚』に通ずる凄味で不幸体質というシリアスな境遇を背景に染み込ませながらハッピーに日々を過ごしていく彼女たちを賑やかに楽しく描いていった 牡丹ちゃんが愛おしくて最高でした
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月2日
10 とんかつDJアゲ太郎
DJ・クラブミュージック文化をとんかつで茶化すのかと思ったらどちらにも最大限の敬意を払っていて、その誠実さに強く心打たれた、清く尊い作品。
とんかつDJアゲ太郎最終話 師匠・オイリーさんのライブ当日に豪雪というアクシデントもなんとか駆けつける仲間たち 皆の冷えた心身を温めるべく豚汁を振る舞うアゲ太郎はとんかつに添えられたキャベツのよう 主役が脇に控えることでアゲるという主題を浮かび上がらせる締めくくりが素晴らしい
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月30日
11 宇宙パトロールルル子
ショートアニメながら強烈なインパクトと厚みを感じさせるストーリーに。バババーッとダイナミックなアニメーションが最高。
宇宙パトロールルル子総感 ルル子に社名を背負わせる件が熱い 物語やキャラにその世界を作っている人たちの熱がこもっていて観るものにお祭りに参加してる気分を味わわせてくれる 中学生マインドを持った作り手の熱量に胸が熱くなった
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月25日
12 僕のヒーローアカデミア
確実に面白い作品を、丁寧に作ってくれて申し分のない出来。
僕のヒーローアカデミア総感 能力「個性」を持つのが普通な世界で無個性な少年が最強のヒーロー・オールマイトから能力を授かるが体がついていかずに持て余すという状況が物語に起伏をもたらしていて楽しかった ヒーローとして限界の近いオールマイトのバトンを出久がしっかり受け継ぐ日が楽しみ
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月26日
13 坂本ですが?
これネタ続くのか…!?と思ったが…
坂本ですが?総感 何をやっても様になる主人公が振りかかる災難や問題をクールに乗り越える出落ち感の強いコメディを手を変え品を変えで完走してみせたのは凄い 皆が坂本くんの引き立て役になるのでなく坂本くんが皆をポジティブに導いていく様子が清々しい作品でした
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月3日
ハーレムモノのようで一組の男女の恋を応援する友人たち、という構図になっていてそれが凄く爽やかで心地よかった。
ネトゲ嫁最終話 現実の人格を投影したゲームの攻防でも身を挺した戦いかたの合理的選択とそのリアクションに課金アイテムの捉え方などゲームらしい感情の動きをきっちり描いてゲームを楽しんでる様子が微笑ましかった いい締めくくりでした
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月24日
15 うしおととら
間違いなく面白い内容で、画作りも最後まで頑張ってくれたけども、2期は力み過ぎというか息継ぎできる箇所があまりなくて息苦しく感じた。
うしおととら総感 連載時はロックだと思ったし改めてアニメでおさらいして序盤は確かにロックだと思ったんだけど話が進むに連れて浪花節が濃くなり最終的にはド演歌になった いや面白かったんだけどもボリュームがものすごくてもうお腹パンパンって感じ
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月29日
16 学戦都市アスタリスク2nd season
悪くはないけどもこれから…というところで終わってしまったので評価の難しいところ。続編に期待。
学戦都市アスタリスク2期総感 バトルトーナメントが中心で強いフックがあったわけではないけども丁寧に作られていて楽しかった 近未来の学園都市らしい雰囲気のOP・EDがお気に入り 今後の展開を考慮した締めくくりでそっちのがより面白そうなので次期もぜひ
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月19日
17 三者三葉
引っかかるやり取りが多々あったのが残念。可愛らしいキャラと色使いが最高でした。
三者三葉総感 時折見られるギスギスっとしたやり取りに戸惑うこともあったけどでもやっぱり可愛い表情仕草が好きなんだなあ 終わってしまうとものすごく寂しい 葉子様の下唇をふっくらに描くのが最高 キャラの動かし方・演技づけも凄く良かった
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月28日
18 くまみこ
別の意味で話題になった問題作。画作りは凄く良いんだけど…。
くまみこ12話最終回 よしおがまちを村おこしに参加させることにこだわる理由に「生贄」は流石にまずい この不穏なワードがなければまだましにはなったけどもアニメオリジナルのドラマチックな展開の後に原作の「何も考えなくていいよ」に戻ってきてしまったのもいただけなかった
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年6月21日
19 ハイスクール・フリート
はいふり!改めハイスクール・フリートです!というサプライズ演出が仇となって、開幕から思いっきり嫌われてしまったこちらも問題作。エピソード自体は序盤は良いものの、徐々にぼやけていってピリッとしたところがなかったのが残念。
ハイスクール・フリート総感 序盤は追われる身となる晴風と追ってくる敵艦の得体の知れなさがスリリングだったけども早々に事情がわかってしまうと艦隊戦の緊張感が薄れて視座を見失ってしまった そつがないようで突き抜けたとこもないという てやんでい!の子が一番個性的で好きだったな
— やまぬこ (@yamanuko_) 2016年7月3日
以上です。
昭和元禄落語心中 総感
服役中に慰問に来た八代目友楽亭八雲の演じる「死神」に惚れ込み、出所後すぐに八雲の寄席に押しかけ弟子入り志願、ともかく転がり込むことに成功したチンピラは与太郎の名をもらうが、稽古は付けさせてもらえない。八雲の養女で二代目友楽亭助六の娘である小夏を通じて助六の落語を勉強するが、助六と何かしら因縁があり小夏とのわだかまりを持つ八雲はそれを快く思っていない様子。ある日、与太郎は八雲の演目中、舞台裏で大いびきをかいて寝たことで八雲の怒りを買い、破門にされてしまった。諦めきれず家の前で座り込んでるところを小夏に促されて、八雲に今一度想いを伝える与太郎。八雲は破門を取りやめる代わりに3つ条件をつけた。二ツ目に昇進するまでに八雲と助六の落語を完全に身につけること、落語の未来を共に背負うこと、八雲より先に死なないこと。この約束の意味を、八雲は自身と助六との半生の物語として与太郎と小夏に語り始める。
務所帰りの調子のいい男が落語家・八雲の気まぐれで落語界に飛び込む、芸能界サクセス・ストーリーかと思いきや、ドロドロと濃厚で熱々の溶岩のようだったり、体の芯から凍り付きそうな、寒暖の差凄まじい人間ドラマとなった。八雲と小夏のわだかまりに二代目助六の影があり、1話めでは何事か知れないのだけど、八雲と小夏の互いの意地のぶつけあいの凄まじさが、ただ事ではない事情を想像させる。それは単なる諍いというものではなく、複雑な、それも口にもしたくないほどの悲しい深刻さを秘めているのだろう、激しく渦巻く感情の変化を表現するキャラの表情表現や仕草であったり、声優陣の渾身の演技がそう思わせてくれた。特に小夏役の小林ゆうさんの演技は圧巻で、感情が高ぶるとハスキーになる声質は聴く者の心も揺さぶってくる。
与太郎が八雲の弟子として精進していこうという時に、助六の影が八雲にまとわりついてくる。小夏に至っては八雲は父の仇ときた。八雲は一体何がしたいんだ、という状況に一見見えるけども、与太郎がくるまで八雲と小夏の時は止まったままだったのでしょう。そこに与太郎が飛び込んできて、助六の影がちらついたもんだから気まぐれで家に上げた。小夏もまた、与太郎に助六を見出して、内に押し殺していたもの…助六の落語を絶やしたくないという想いを与太郎には見せてみる。八雲も小夏も、止まった時の中で、変化を望んでいたのかもしれない。でもふたりとも意地っ張りで、八雲は助六への、小夏は八雲への対抗心を見せるからこじれる。八雲と小夏、それぞれの意地の中で、助六の粗相が裏目に出て破門となった。家に上げて飼ってやりたいほど興味を隠せないのに、追い出したいほど憎たらしい、八雲が助六に抱える複雑な心境。
小夏は小夏で、母の旧友に両親の死の真相を聞きたがる。ただの事故でやましいことなど何もない…本当にそうなのか確証がほしい。父の仇と思っている男が、ほんとうのところどうなのか知って、自分も前に進みたいと思っている。八雲に聞ければ苦労はないのだろうけど、おっさんひねくれてっかっら…コホン、そういうことで、与太郎には自身が前に進むきっかけとして期待するところが大きいのでしょう。自分が男だったら、助六の意志を継げたのに…そう悔し涙を流した小夏が、破門されて家の前でぐずる与太郎に「話しつけてきなよ、男だろ」と促すのも、与太郎に自分の意志、助六の意志を受け継いで欲しいという期待からで、自分がそうなれない悔しさも含まれているのが味わい深い。
八雲は与太郎が本当に助六の生き写しなら、戻ってくると思っていたのかもしれない。そして戻ってきた。しかもこの期に及んで助六への興味を隠さない。なら、果たせなかった助六との約束を、この与太郎と結んでやろうじゃないか、とそう思ったのだろうか。ここからその約束の由来を、八雲が助六との半生から語り始めるところまでが1話めなのだけども、1話めにこれほどだらだらと文字を重ねたのは、本作を全部観終えたあとに1話めを見ると、なるほどここが本作のもう一つのクライマックスなのだ、と思えたから。初見では覚えなかった感慨が、改めて見返すと万感の思いとなってこみ上げてくる。
望まず落語の世界に入った者と自ら落語の世界に飛び込んだ者、努力で開眼した者と才能のある者、期待されなかった者と期待された者が、しかしいがみ合うことなくそれぞれが良きライバルとして高め合い認め合い、落語の将来をそれぞれ自分にあったやり方、違うアプローチで盛り上げようと誓ったが、ある時から立場が逆転し、一方は出世して一方は転落する。二人の間には一人の女性がいて、言い寄ってくる男に身体を売って生きてきたその女性は、おそらく初めて自ら一人の男に激しい恋をして、そしておそらく初めて振られてしまい、落語に捨てられた男と傷心を慰め合った結果、身籠って結ばれ一児の母となったものの、愛した男が忘れられずに家庭を顧みなかった結果、落語を背負って立つはずだった、落語に捨てられた男と心中する形で生涯を終えてしまう。
あの時ああしていれば、この時こうしていれば…そういった後悔ばかりが押し寄せる事故が、人生のままならなさを痛感させる一方で、そのままならない人生の中で、通い合った心、輝いたひととき、そういった諸々の良さ、意味を肯定するために、小夏がいて、八雲が生き抜いて、与太郎がやって来た。凋落する落語界を背負った八雲が、自身の人生とともに心中しようというところにやって来た与太郎は、やはり助六の生き写しなのだろう。小夏が女性として生まれたのは、みよ吉が得られなかった幸せを得、小夏がみよ吉とも和解するためのお天道さまの粋なはからいなのかもしれない。そう思える素晴らしい一区切り。落語の未来と縁を面々と紡ぐ人々に期待と希望を託して終えた、素晴らしい一区切りでした。続編も楽しみですね。
無彩限のファントム・ワールド 総感
医薬系企業・阿頼耶識社が爆破テロに遭い、特殊なウイルスが流出。瞬く間に人々に感染し、その脳の構造を変化させた結果、人々は幽霊や妖怪の類・「ファントム」を認識できるようになった。「ファントム」はそのほとんどが無害であったが、しばしば人々に災いをもたらすことがあった。一方、事件後に生まれた子どもたちの中に、ファントムに対抗できる特殊な能力を持つ子たちも現れた。ホセア学園の「脳機能エラー対策室」は、そんな特殊能力を持つ学生が所属するクラブ活動のようなもの。退治したファントムに応じて報酬がもらえるので、それを生活の糧としている川神舞はファントム退治に精を出すが、一条晴彦とのコンビネーションはいまいちで、そんなふたりがファントム退治を通じて仲間と出会い、様々な不可思議な体験をしていく学園ファンタジーコメディ。
京都アニメーション制作・同社KAエスマ文庫原作作品。ふくよかなボディのキャラクターは京アニの他作品でも観られるけども、エッチく動かしてきたのがユニークで、これまでいろいろなコメディ作品を制作してきた京アニの、ウブな少年少女のようなそっち方面への踏み込みの弱さを払拭する作品になるか、と期待した。結局いつものウブな京アニであったんだけども、それはそれでなかなか頑固じゃないかと。京アニはそういう姿勢なんだ、それは変わらないんだ、ともう納得することにした。
曲のテンポ・リズムに映像を合わせるOP映像がまた素晴らしくて、浜辺で絵を描く晴彦の動作のひとつひとつ、寄ってきて隣りに座る玲奈の動作のひとつひとつ…とても細かい部分から合わせてくるので画と音が噛み合う気持ちよさがある。本編においても画も劇伴も素晴らしく、幽霊や妖怪の類・ファントムが居る世界のコメディを、画が抜群にその魅力を引き出してくれて、ユーモラスで楽しかった。
ひとつもやっとしたのが、久瑠美関連の諸々。アニメオリジナルキャラクターだからか、なかなか皆の輪に入ってこない。久瑠美メインのエピソードがやっと訪れたかと思ったら、久瑠美のみでエピソードが成立してしまった。ねじ込んだかのような立ち位置が不憫だった。チームEに加わってからは、皆と呼吸が合うようになってホッとしたけども、そうなるともっと久瑠美と皆のわいわいを見ていたいので、続編もぜひ…。
小糸は逆に皆と距離をおいてるのが自然なキャラだったのだけど、だからこそいつの間にか皆と一緒にいるのが当たり前になっていって、登場時のツンツン感からは想像もできないほどキュートでユーモラスな表情を見せてくれて最高でした。
お気に入りエピソードは「ファントムの時代」「模造家族」「小さなルルの大きな夢」。「ファントムの時代」は柔らかくて温かそうだなあ…と温もりや生地の感触まで伝わってくる舞の仕草が最高だったし、電柱とのリンボーダンスが楽しかった。「模造家族」はファントム家族が可愛らしくて、それを想像してしまう玲奈も可愛かった。ミイラ取りがミイラになる過程が可笑しかったし、両親とのわだかまりを解くのでなく保留する締め方が味わい深かった。「小さなルルの大きな夢」これはやはり恋する少女の気持ちを表情仕草で物語っていく手際は流石ですね。京アニの必殺技。
阿頼耶識社をめぐるファントム世界の真実に迫るのもいいけど、ファントムのいる世界で皆がドタバタする光景をずっと見ていたいので、あと2~3期ほど先延ばしして欲しい。とにかく続編を!
灰と幻想のグリムガル 総感
目が覚めたら見知らぬ場所に居たハルヒロと十数名の若い男女は、それ以前の記憶が無い戸惑いを抱えたまま、案内人からこの世界・グリムガルで生きていくための最低限の説明を受ける。「死にたくなければモンスターを倒して身ぐるみ剥いで売れ」「それ以外に生きる道があると思うな」事情とすべきことを早々に把握したレンジが見込みの有りそうな者を連れて行ってしまったため、マナトをリーダーにハルヒロ・ランタ・モグゾー・ユメ・シホルら残された物同士でパーティを組むことになった。記憶こそ無くしてるものの「携帯」「ゲーム」という言葉が存在する世界から来た少年少女達が、生活のための糧を得る過程で生じる様々な困難と共同生活での関わりの中での成長を描いていく。
気がついたら異世界にいた、というところから始まって、異世界で生活していくにあたって前の世界の記憶が殆ど無いためにゼロからスタートするのだけど、ハルヒロたちの元居た世界が我々視聴者と同じ時代のおそらく同じ日本で、我々と同じ思考・感覚を持った若い子たちである、ということだけはわかっていて、そういう子たちが異世界にあっても我々と同じ思考・感覚で考え、語り、行動する。そこがしっかりしているから、「現代人が異世界に本当に迷いこんだら生きていくのは大変なんだ」という本作の芯をしっかり捉えている。
生きていくためにはモンスターを倒さなければならないのだけど、ちょっと出歩いたら遭遇できる、RPGでいうところの最弱モンスターにあたるゴブリン1匹にパーティー全員で襲いかかってもなかなか倒せない、四苦八苦してようやく倒したという時に、殺生が重くのしかかる。そういうことを繰り返して、倒したゴブリンの装飾品を物色するのにも慣れた頃に、リーダー・マナトが致命傷を負う。友の死の始終に寄り添ったメンバーの、死ぬなんてありえない、何かの間違いだとでもいうような取り乱し方も実にリアリスティック。友の死という状況にあっても、むしろそういう時だからこそ、他人の温もりを感じたくなる。生と性が密接に関わっているということからも逃げずに、現代人が、殺生をしなければ生きていけない世界で生への執着から眠っていた本能を呼び起こす物語をしっかり描き切った。「生」の実感を再認識させる物語だった。
また、マナトの言葉やメリイのエピソードから、「元居た世界」でそれぞれが抱えたであろう問題が、「この世界」でもしっかり生きていて、それらが救済されている様子も伺える。勇気を出して懸命に生きることへの応援も込められていた。
動きのあるOP映像ではないけども、若さが放つ「生と性」の輝きが眩しい画がお気に入り。若いっていいねえ(羨
だがしかし 総感
とある田舎の駄菓子屋「シカダ駄菓子」の一人息子・鹿田ココノツは、父・鹿田ヨウの駄菓子屋を継いでもらおうと繰り出すあらゆる手段をかわしつつ漫画家を目指していた。そこへ、お菓子メーカー「枝垂カンパニー」の社長令嬢・枝垂ほたるがやってくる。駄菓子界で有名なヨウを枝垂カンパニーに引き抜くことが目的で、そのためにココノツに駄菓子屋を継がせようとするが、駄菓子マニアであるほたるはしばしば脱線して駄菓子ネタを披露するのだった。
全く知らない状態で視聴しているところに、いきなり持ってこられたパロディネタが辛かった。初対面の人に馴れ馴れしくされたような気分で、1話めの印象は極めて良くない。それでも、個性的なキャラの容姿と艶やかな仕上がりに惹かれてついて行くことにした。不思議と落ち着きのなかったのはこの1話のみで、その後はいい雰囲気で楽しむことが出来た。
コメディ作品だと、笑いのツボを刺激してくれないと作りが良くっても乗れないところがあって、本作は残念ながら僕のツボを刺激してくれるものではなかった。しかしながら実在の駄菓子をただ懐かしいというのでなくわりと新しい物まで紹介していってくれたので、懐かしく感じたり新しい発見があったりと、そういったお楽しみはいただけた。ココノツからほたるに、サヤ師からココノツに注がれる視線が紡ぐエピソードもじわりと染み入るいいエピソード。最終話でのバス停でのエピソードも良くって、最終話観終えてまた1話観返すとちょっとホロッと来ます。バス停とほたるとサクマ式ドロップス。
全部観終えた後に1話観返すと、あれほど印象の悪かった1話がすんなり楽しめたのは発見だった。パロネタは十分温めてから繰り出すのが良いのかも知れない。
ファンタシースターオンライン2 ジ アニメーション 総感
オンラインゲーム「ファンタシースターオンライン2」が爆発的に普及した時代、清雅学園の橘イツキは突然生徒会長に呼び出され、副会長に任命される。学園が規制したがっているPSO2を学業と両立させるモデルケースとして、悪くない成績で部活動に所属していないイツキが選ばれたのだった。イツキはPSO2を通じて、オンラインと現実とで交流の和を広げていく。一方、街では不可解な事件が連続的に発生していた。
オンラインゲーム「ファンタシースターオンライン2」が原作のアニメ。ゲーム原作のアニメだと原作のプロモーションよりもアニメ単体としての独自性を強めるのが近年のトレンドだけども、本作は真っ向から、清々しいほどに真っ向から「よい子のファンタシースターオンライン2」をプロモーションしてきた。その上で、ストーリーとしての起伏もしっかり持たせて、一つの作品として厚みのある仕上がりとなった。
オンラインゲームならではの、学園にとどまらない幅広い交流の輪をポジティブに描いてきて楽しかったし、本当にゲームが好きだからゲームの良さをしっかり伝えたいという気持ちが伝わってきて清々しかった。その人々が現実とオンライン上のキャラが全く違うところの魅力をコミカルに描いたかと思えば、孤高のプレイヤーSOROを単にネタとしてでなく生徒会長リナの孤独をも描いていくなど、ストーリーやキャラの組み立て方が秀逸。派手さはないけども熟練を感じさせるいい仕事でした。