アニメられる日々

アニメ感想ツイート保管庫(暫定

2016年夏アニメ私感

2016年夏は派手な作品こそないものの、比較的安定感があってしっかり楽しませてくれる作品が多かった印象。夏期作品の私感を綴ったつぶやきを例によって整理してみました。 

  

1 planetarian~ちいさなほしのゆめ

劇場版を観た上でまとめて別で語ろうとも思ったが、放送分だけで締めちゃったとしても作品として成立してると思うので、夏期の作品のひとつとして数えた。

ロボット・ゆめみが愛らしく振る舞うほどに人間であってほしいという思いが募るのに、ゆめみは頑としてロボットのまま、というのがもう…。

 

2 クロムクロ

ロボットとそれを巡る情勢・関わった人々とその歴史という背景を、特に説明しなくてもわかってもらえるようシンプルかつコンパクトに纏めたのが良くって、そこに住む子どもたちを中心としたコミュニティとその外側にいる大人たちとの関わりが、時を超えてきたサムライの青年が加わることで生じる面白みを、コメディを基調とした雰囲気のなかで余すところなく抽出しきった。設定と構成が素晴らしく噛み合って、あっと言う間の充実の2クールだった。

 

3 Re:ゼロから始める異世界生活

ストーリーもキャラクターもトッピング全のせラーメンのようなギットギトな作品だけども、設定を活かしてミステリーに仕立てたのが良くって、毎度先の見えない展開にハラハラドキドキ。作品世界に強引に観るものを引きずり込むパワーをもった作品でした。

 

4 91Days

邦楽のOP曲より洋楽のほうが良かったのでは…と思ったけども、キャラデザの影響もあってすぐに気にならなくなった。この人が物語の中心に来るのだな…というキャラがバンバン退場するので先が見えなくて毎度楽しみに観ていた。

  

5 ラブライブ!サンシャイン!!

前作ラブライブ!のμ'sに憧れる子たちが中心なので、どうしても前作より華やかさに欠ける。どうしてこの子たちを描こうと思ったんだろう…とずっと首を傾げてたんだけど最後の最後にテーマが理解できてひとつのドラマとしての完成図が俯瞰できた。派手さはないものの何者でもない子達にもステージの雰囲気を味わってほしい!という意気は伝わった。

 

6 この美術部には問題がある!

コメディ作品はネタが自分に合うか合わないかというのが重要なので、そのあたりがビシっと噛み合ってくれたので高評価。遊び心満載の、作ってる側も楽しんでそうな演出の数々は観てて楽しいし嬉しい。

 

7 食戟のソーマ 弐ノ皿

週刊誌連載の人気作品でもう確実に面白いのに、贅沢な画作りで文句なしに面白いアニメ作品に。起承転結の緩急の付け方が素晴らしく、毎度スリリングな展開で手に汗握った。

 

8 モブサイコ100

90年台OVAっぽい雰囲気を持つ画作りをTVシリーズで、こういった作品でってのがとても贅沢に思えた。ギャグをやってるのにドラマチックにも解釈できるオチに誘導するセンスが凄い。

 

9 ベルセルク

中世西洋の宗教観の持つおどろおどしい世界を、劇伴なり構図なりでよりダイナミックに表現出来ていたと思う。CGなのに手描き手塗りっぽい感触を出そうとしたのは新鮮だった。もう少し動きの方も精度が欲しかったけどこれは贅沢か。

 

10 NEW GAME!

ネタの好みこそ合わなかったものの、画作りが素晴らしくて見てるだけでも楽しかった。ねねっちがお気に入りで、天真爛漫に振る舞ったら怒られてシュンとしてるところをおーよしよしよしよししたいですねぇーッ!!

 

11 ReLife 

主人公がほぼ同世代ということもあって共感を覚えつつ楽しむことができた分高評価。ピアノを基調とした劇伴からは作り手のしっかりしたビジョンが伺えて、丁寧な作りにもそれが伺えた。派手でなくてもさっぱりとしたキャラデザに爽やかな色使いが清涼感あふれる学園生活を演出した。

 

12 不機嫌なモノノケ庵

妖怪モノの定番で、恋愛要素もなく地味な印象だけども、しみじみと良い…と思える安心感が得られる作品。ヒロイン級の活躍をみせたモジャが可愛かった。

 

13 甘々と稲妻

寂しい人々が寄り添って一緒にめしを作って食うというそれだけのシンプルさと、それをただ見てるだけで楽しいというのが魅力ではあった。もう少し話が膨らみそうなポテンシャルは感じるのに、それを引き出さないまま終わったのが惜しいけども、続編のために取って置いてるのかもと思うと納得もできる。

 

14 あまんちゅ!

女の子たちと海の中の神秘性に寄り添った結果なんだろうけども、いい雰囲気ではあるけど凄く寂しくて、畏れのようなものすらこみ上げてくる雰囲気がちょっと落ち着かなかった。アミーゴアミーゴ!!とかそれくらいの陽気さでもかまわないと思うけど。

 

15 テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス

長編超大作…のプロローグを観た、という印象。凄いのは凄いんだけども…。

 

16 マクロスΔ

中盤までは刺激的だったけども、敵対するウィンダミアの事情が定番であったために回が増すごとにいつか見たような展開になってしまうのが惜しかった。フレイアの訛り混じりの喋りが好きで、彼女の声を聴くのを毎度楽しみにしていた。

 

17 アクティヴレイド 機動強襲室第八係 2nd 

2期は1期を観たファンへの贈り物的な弾けっぷりを見せつつ、初見でも楽しめるよう配慮されたストーリーも盛り込まれた。どちらも中途半端な印象だったけども、もともと実現しなかったかもしれない2期作で、散り散りになっても仲の良さそうな、自分の世界と、その気になれば旧友にいつでも会える行動力を持った大人として描かれた大人たちの様子が見られたのは嬉しかった。

 

18 orange

中盤までは凄くよかったのだけれども、連載漫画原作だからか、どれだけ皆との絆が深まってもこの世に未練が生まれる様子のない翔にだんだん腹が立ってきたのと、手紙の送られてきた経緯について語らなくても成立したはずなのに説明してしまったばかりに世界が急に狭く見えてしまったのは惜しい。 

 

19 Rewrite

定番キャラの織りなすベタベタなラブコメディ+トラウマや宿命との戦いという僕の好きなKey作品!の要素が揃っていてもう大好きなはずであっても、やはりアニメーションとしての体裁は整えてほしかった。すごく残念です。でも大好きです。続編に期待。

 

20 ダンガンロンパ3 未来編・絶望編・希望編

ゴールから逆算して作ったような強引さや平坦さで、ゲームで1・2楽しんだ身としてはその後がどうであれ観ておくべきだという義務感で観ていたところがあった。そうでなければ途中で脱落したかもしれないけども、希望編の最後の最後で観ててよかった…と思えてしまったから我ながら現金なものだ。

 

以上です。 

2016年春アニメ私感

2016年春はコンレボにキズナイーバー迷家などずっしり重量感のあるストーリー作品が盛り上がる一方で、たなけだやあんハピにふらいんぐうぃっちなど、まったりとした作品やコメディも多くて、バラエティ豊かで良作の多いシーズンでした。

ワタクシゴトですがずーっと各話感想が書けない状態でして、それでも今後のためにtwitterでつぶやいたものを以下にまとめておきました。完全に個人的な備忘録ですがあっそんな作品もあったねと振り返ってもらえたらうれしいです。

 

 

※気に入った作品がおおむね上位に来てますが、順序に特に意味はありません。

 

1 コンクリート・レボルティオ

1期よりもより混沌とした2期シリーズ、何が正しいのか観てるこっちもめまいを覚えるほどだったが、終わってみればなるほど今我々も混沌の中にいるのだな、と思える視聴後感。

 

 

 

2 キズナイーバー

 キズナシステムによって交わらないはずの関係が否応なしに交わっていくそのスピード感が良くって、OP映像同様のめまいを覚える緊張感がたまらない作品。多少の犠牲は覚悟していたが、ハッピーなエンドに着地させたのは作り手の良心だと思って納得することにした。

 

 

 

3 迷家

コメディを基調としたミステリー・ホラー作品で、人生に挫折した人々の必死さを茶化さずに向き合いつつ可笑しみも引き出していく手加減・コントロールが抜群に良かった。三谷幸喜さんのTVドラマのような、個性的な大勢が好き勝手やってシッチャカメッチャカになる、そんな雰囲気が最高に楽しかった。

 

4 ジョーカー・ゲーム

スパイを扱った作品らしくぱっと見派手さはないものの、しっかりエンターテインメント的に映える画作り・ドラマチックな展開をしてくれてとても楽しかった。何を描いて何を省くか・取捨選択が上手くて無駄がないのに充実した内容。

 

5 ふらいんぐうぃっち

日々の疲れを癒やしてくれた作品。日常の中に魔法があるという感覚にもっともリアルに迫った作品で、だからこそその世界がとてもファンタスティックに映った。

ところで、5話冒頭の朝食の時に出た謎おかずが依然謎のままなんですが…

 

  

6 ばくおん!!

これ言ったらまずいのでは…という恐る恐る感がなくバン!とアクセルを踏んでくるのでネタの破壊力が凄い。さすがにノークレームとはいかなかったものの、それでも嫌味なくコントロールできたのは評価したい。

 

7 少年メイド

誰が観ても楽しめるようなとっつくやすさがありがたく、OP映像の洗剤CM感が本編でもそのまま生かされてて、これは衣服の描き方によるものかな、と思ったり。ハスハスしたい。

 

8 田中くんはいつもけだるげ

太田くんもいつもけだるげ。だからこそ確固たるものになった作品の空気。良さ。

 

9 あんハピ! 

多彩で賑やかで楽しい画作りが魅力。過酷な運命を笑いに転化するにあたっての気配りも良かった。

 

10 とんかつDJアゲ太郎

DJ・クラブミュージック文化をとんかつで茶化すのかと思ったらどちらにも最大限の敬意を払っていて、その誠実さに強く心打たれた、清く尊い作品。

 

11 宇宙パトロールルル子 

ショートアニメながら強烈なインパクトと厚みを感じさせるストーリーに。バババーッとダイナミックなアニメーションが最高。

 

12 僕のヒーローアカデミア

確実に面白い作品を、丁寧に作ってくれて申し分のない出来。

 

13 坂本ですが? 

これネタ続くのか…!?と思ったが…

 

 

14 ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?

ハーレムモノのようで一組の男女の恋を応援する友人たち、という構図になっていてそれが凄く爽やかで心地よかった。

 

15 うしおととら

間違いなく面白い内容で、画作りも最後まで頑張ってくれたけども、2期は力み過ぎというか息継ぎできる箇所があまりなくて息苦しく感じた。

 

16 学戦都市アスタリスク2nd season

悪くはないけどもこれから…というところで終わってしまったので評価の難しいところ。続編に期待。

 

17 三者三葉

引っかかるやり取りが多々あったのが残念。可愛らしいキャラと色使いが最高でした。

 

18 くまみこ

別の意味で話題になった問題作。画作りは凄く良いんだけど…。

 

19 ハイスクール・フリート

はいふり!改めハイスクール・フリートです!というサプライズ演出が仇となって、開幕から思いっきり嫌われてしまったこちらも問題作。エピソード自体は序盤は良いものの、徐々にぼやけていってピリッとしたところがなかったのが残念。

 

 以上です。

昭和元禄落語心中 総感

服役中に慰問に来た八代目友楽亭八雲の演じる「死神」に惚れ込み、出所後すぐに八雲の寄席に押しかけ弟子入り志願、ともかく転がり込むことに成功したチンピラは与太郎の名をもらうが、稽古は付けさせてもらえない。八雲の養女で二代目友楽亭助六の娘である小夏を通じて助六の落語を勉強するが、助六と何かしら因縁があり小夏とのわだかまりを持つ八雲はそれを快く思っていない様子。ある日、与太郎は八雲の演目中、舞台裏で大いびきをかいて寝たことで八雲の怒りを買い、破門にされてしまった。諦めきれず家の前で座り込んでるところを小夏に促されて、八雲に今一度想いを伝える与太郎。八雲は破門を取りやめる代わりに3つ条件をつけた。二ツ目に昇進するまでに八雲と助六の落語を完全に身につけること、落語の未来を共に背負うこと、八雲より先に死なないこと。この約束の意味を、八雲は自身と助六との半生の物語として与太郎と小夏に語り始める。

 

 務所帰りの調子のいい男が落語家・八雲の気まぐれで落語界に飛び込む、芸能界サクセス・ストーリーかと思いきや、ドロドロと濃厚で熱々の溶岩のようだったり、体の芯から凍り付きそうな、寒暖の差凄まじい人間ドラマとなった。八雲と小夏のわだかまりに二代目助六の影があり、1話めでは何事か知れないのだけど、八雲と小夏の互いの意地のぶつけあいの凄まじさが、ただ事ではない事情を想像させる。それは単なる諍いというものではなく、複雑な、それも口にもしたくないほどの悲しい深刻さを秘めているのだろう、激しく渦巻く感情の変化を表現するキャラの表情表現や仕草であったり、声優陣の渾身の演技がそう思わせてくれた。特に小夏役の小林ゆうさんの演技は圧巻で、感情が高ぶるとハスキーになる声質は聴く者の心も揺さぶってくる。

与太郎が八雲の弟子として精進していこうという時に、助六の影が八雲にまとわりついてくる。小夏に至っては八雲は父の仇ときた。八雲は一体何がしたいんだ、という状況に一見見えるけども、与太郎がくるまで八雲と小夏の時は止まったままだったのでしょう。そこに与太郎が飛び込んできて、助六の影がちらついたもんだから気まぐれで家に上げた。小夏もまた、与太郎助六を見出して、内に押し殺していたもの…助六の落語を絶やしたくないという想いを与太郎には見せてみる。八雲も小夏も、止まった時の中で、変化を望んでいたのかもしれない。でもふたりとも意地っ張りで、八雲は助六への、小夏は八雲への対抗心を見せるからこじれる。八雲と小夏、それぞれの意地の中で、助六の粗相が裏目に出て破門となった。家に上げて飼ってやりたいほど興味を隠せないのに、追い出したいほど憎たらしい、八雲が助六に抱える複雑な心境。

小夏は小夏で、母の旧友に両親の死の真相を聞きたがる。ただの事故でやましいことなど何もない…本当にそうなのか確証がほしい。父の仇と思っている男が、ほんとうのところどうなのか知って、自分も前に進みたいと思っている。八雲に聞ければ苦労はないのだろうけど、おっさんひねくれてっかっら…コホン、そういうことで、与太郎には自身が前に進むきっかけとして期待するところが大きいのでしょう。自分が男だったら、助六の意志を継げたのに…そう悔し涙を流した小夏が、破門されて家の前でぐずる与太郎に「話しつけてきなよ、男だろ」と促すのも、与太郎に自分の意志、助六の意志を受け継いで欲しいという期待からで、自分がそうなれない悔しさも含まれているのが味わい深い。

八雲は与太郎が本当に助六の生き写しなら、戻ってくると思っていたのかもしれない。そして戻ってきた。しかもこの期に及んで助六への興味を隠さない。なら、果たせなかった助六との約束を、この与太郎と結んでやろうじゃないか、とそう思ったのだろうか。ここからその約束の由来を、八雲が助六との半生から語り始めるところまでが1話めなのだけども、1話めにこれほどだらだらと文字を重ねたのは、本作を全部観終えたあとに1話めを見ると、なるほどここが本作のもう一つのクライマックスなのだ、と思えたから。初見では覚えなかった感慨が、改めて見返すと万感の思いとなってこみ上げてくる。

望まず落語の世界に入った者と自ら落語の世界に飛び込んだ者、努力で開眼した者と才能のある者、期待されなかった者と期待された者が、しかしいがみ合うことなくそれぞれが良きライバルとして高め合い認め合い、落語の将来をそれぞれ自分にあったやり方、違うアプローチで盛り上げようと誓ったが、ある時から立場が逆転し、一方は出世して一方は転落する。二人の間には一人の女性がいて、言い寄ってくる男に身体を売って生きてきたその女性は、おそらく初めて自ら一人の男に激しい恋をして、そしておそらく初めて振られてしまい、落語に捨てられた男と傷心を慰め合った結果、身籠って結ばれ一児の母となったものの、愛した男が忘れられずに家庭を顧みなかった結果、落語を背負って立つはずだった、落語に捨てられた男と心中する形で生涯を終えてしまう。

あの時ああしていれば、この時こうしていれば…そういった後悔ばかりが押し寄せる事故が、人生のままならなさを痛感させる一方で、そのままならない人生の中で、通い合った心、輝いたひととき、そういった諸々の良さ、意味を肯定するために、小夏がいて、八雲が生き抜いて、与太郎がやって来た。凋落する落語界を背負った八雲が、自身の人生とともに心中しようというところにやって来た与太郎は、やはり助六の生き写しなのだろう。小夏が女性として生まれたのは、みよ吉が得られなかった幸せを得、小夏がみよ吉とも和解するためのお天道さまの粋なはからいなのかもしれない。そう思える素晴らしい一区切り。落語の未来と縁を面々と紡ぐ人々に期待と希望を託して終えた、素晴らしい一区切りでした。続編も楽しみですね。

無彩限のファントム・ワールド 総感

医薬系企業・阿頼耶識社が爆破テロに遭い、特殊なウイルスが流出。瞬く間に人々に感染し、その脳の構造を変化させた結果、人々は幽霊や妖怪の類・「ファントム」を認識できるようになった。「ファントム」はそのほとんどが無害であったが、しばしば人々に災いをもたらすことがあった。一方、事件後に生まれた子どもたちの中に、ファントムに対抗できる特殊な能力を持つ子たちも現れた。ホセア学園の「脳機能エラー対策室」は、そんな特殊能力を持つ学生が所属するクラブ活動のようなもの。退治したファントムに応じて報酬がもらえるので、それを生活の糧としている川神舞はファントム退治に精を出すが、一条晴彦とのコンビネーションはいまいちで、そんなふたりがファントム退治を通じて仲間と出会い、様々な不可思議な体験をしていく学園ファンタジーコメディ。

 

京都アニメーション制作・同社KAエスマ文庫原作作品。ふくよかなボディのキャラクターは京アニの他作品でも観られるけども、エッチく動かしてきたのがユニークで、これまでいろいろなコメディ作品を制作してきた京アニの、ウブな少年少女のようなそっち方面への踏み込みの弱さを払拭する作品になるか、と期待した。結局いつものウブな京アニであったんだけども、それはそれでなかなか頑固じゃないかと。京アニはそういう姿勢なんだ、それは変わらないんだ、ともう納得することにした。

曲のテンポ・リズムに映像を合わせるOP映像がまた素晴らしくて、浜辺で絵を描く晴彦の動作のひとつひとつ、寄ってきて隣りに座る玲奈の動作のひとつひとつ…とても細かい部分から合わせてくるので画と音が噛み合う気持ちよさがある。本編においても画も劇伴も素晴らしく、幽霊や妖怪の類・ファントムが居る世界のコメディを、画が抜群にその魅力を引き出してくれて、ユーモラスで楽しかった。

ひとつもやっとしたのが、久瑠美関連の諸々。アニメオリジナルキャラクターだからか、なかなか皆の輪に入ってこない。久瑠美メインのエピソードがやっと訪れたかと思ったら、久瑠美のみでエピソードが成立してしまった。ねじ込んだかのような立ち位置が不憫だった。チームEに加わってからは、皆と呼吸が合うようになってホッとしたけども、そうなるともっと久瑠美と皆のわいわいを見ていたいので、続編もぜひ…。

小糸は逆に皆と距離をおいてるのが自然なキャラだったのだけど、だからこそいつの間にか皆と一緒にいるのが当たり前になっていって、登場時のツンツン感からは想像もできないほどキュートでユーモラスな表情を見せてくれて最高でした。

お気に入りエピソードは「ファントムの時代」「模造家族」「小さなルルの大きな夢」。「ファントムの時代」は柔らかくて温かそうだなあ…と温もりや生地の感触まで伝わってくる舞の仕草が最高だったし、電柱とのリンボーダンスが楽しかった。「模造家族」はファントム家族が可愛らしくて、それを想像してしまう玲奈も可愛かった。ミイラ取りがミイラになる過程が可笑しかったし、両親とのわだかまりを解くのでなく保留する締め方が味わい深かった。「小さなルルの大きな夢」これはやはり恋する少女の気持ちを表情仕草で物語っていく手際は流石ですね。京アニの必殺技。

阿頼耶識社をめぐるファントム世界の真実に迫るのもいいけど、ファントムのいる世界で皆がドタバタする光景をずっと見ていたいので、あと2~3期ほど先延ばしして欲しい。とにかく続編を!

灰と幻想のグリムガル 総感

目が覚めたら見知らぬ場所に居たハルヒロと十数名の若い男女は、それ以前の記憶が無い戸惑いを抱えたまま、案内人からこの世界・グリムガルで生きていくための最低限の説明を受ける。「死にたくなければモンスターを倒して身ぐるみ剥いで売れ」「それ以外に生きる道があると思うな」事情とすべきことを早々に把握したレンジが見込みの有りそうな者を連れて行ってしまったため、マナトをリーダーにハルヒロ・ランタ・モグゾー・ユメ・シホルら残された物同士でパーティを組むことになった。記憶こそ無くしてるものの「携帯」「ゲーム」という言葉が存在する世界から来た少年少女達が、生活のための糧を得る過程で生じる様々な困難と共同生活での関わりの中での成長を描いていく。

 

気がついたら異世界にいた、というところから始まって、異世界で生活していくにあたって前の世界の記憶が殆ど無いためにゼロからスタートするのだけど、ハルヒロたちの元居た世界が我々視聴者と同じ時代のおそらく同じ日本で、我々と同じ思考・感覚を持った若い子たちである、ということだけはわかっていて、そういう子たちが異世界にあっても我々と同じ思考・感覚で考え、語り、行動する。そこがしっかりしているから、「現代人が異世界に本当に迷いこんだら生きていくのは大変なんだ」という本作の芯をしっかり捉えている。

生きていくためにはモンスターを倒さなければならないのだけど、ちょっと出歩いたら遭遇できる、RPGでいうところの最弱モンスターにあたるゴブリン1匹にパーティー全員で襲いかかってもなかなか倒せない、四苦八苦してようやく倒したという時に、殺生が重くのしかかる。そういうことを繰り返して、倒したゴブリンの装飾品を物色するのにも慣れた頃に、リーダー・マナトが致命傷を負う。友の死の始終に寄り添ったメンバーの、死ぬなんてありえない、何かの間違いだとでもいうような取り乱し方も実にリアリスティック。友の死という状況にあっても、むしろそういう時だからこそ、他人の温もりを感じたくなる。生と性が密接に関わっているということからも逃げずに、現代人が、殺生をしなければ生きていけない世界で生への執着から眠っていた本能を呼び起こす物語をしっかり描き切った。「生」の実感を再認識させる物語だった。

また、マナトの言葉やメリイのエピソードから、「元居た世界」でそれぞれが抱えたであろう問題が、「この世界」でもしっかり生きていて、それらが救済されている様子も伺える。勇気を出して懸命に生きることへの応援も込められていた。

動きのあるOP映像ではないけども、若さが放つ「生と性」の輝きが眩しい画がお気に入り。若いっていいねえ(羨

だがしかし 総感

とある田舎の駄菓子屋「シカダ駄菓子」の一人息子・鹿田ココノツは、父・鹿田ヨウの駄菓子屋を継いでもらおうと繰り出すあらゆる手段をかわしつつ漫画家を目指していた。そこへ、お菓子メーカー「枝垂カンパニー」の社長令嬢・枝垂ほたるがやってくる。駄菓子界で有名なヨウを枝垂カンパニーに引き抜くことが目的で、そのためにココノツに駄菓子屋を継がせようとするが、駄菓子マニアであるほたるはしばしば脱線して駄菓子ネタを披露するのだった。

 

全く知らない状態で視聴しているところに、いきなり持ってこられたパロディネタが辛かった。初対面の人に馴れ馴れしくされたような気分で、1話めの印象は極めて良くない。それでも、個性的なキャラの容姿と艶やかな仕上がりに惹かれてついて行くことにした。不思議と落ち着きのなかったのはこの1話のみで、その後はいい雰囲気で楽しむことが出来た。

コメディ作品だと、笑いのツボを刺激してくれないと作りが良くっても乗れないところがあって、本作は残念ながら僕のツボを刺激してくれるものではなかった。しかしながら実在の駄菓子をただ懐かしいというのでなくわりと新しい物まで紹介していってくれたので、懐かしく感じたり新しい発見があったりと、そういったお楽しみはいただけた。ココノツからほたるに、サヤ師からココノツに注がれる視線が紡ぐエピソードもじわりと染み入るいいエピソード。最終話でのバス停でのエピソードも良くって、最終話観終えてまた1話観返すとちょっとホロッと来ます。バス停とほたるとサクマ式ドロップス

全部観終えた後に1話観返すと、あれほど印象の悪かった1話がすんなり楽しめたのは発見だった。パロネタは十分温めてから繰り出すのが良いのかも知れない。

ファンタシースターオンライン2 ジ アニメーション 総感

オンラインゲーム「ファンタシースターオンライン2」が爆発的に普及した時代、清雅学園の橘イツキは突然生徒会長に呼び出され、副会長に任命される。学園が規制したがっているPSO2を学業と両立させるモデルケースとして、悪くない成績で部活動に所属していないイツキが選ばれたのだった。イツキはPSO2を通じて、オンラインと現実とで交流の和を広げていく。一方、街では不可解な事件が連続的に発生していた。

 

オンラインゲーム「ファンタシースターオンライン2」が原作のアニメ。ゲーム原作のアニメだと原作のプロモーションよりもアニメ単体としての独自性を強めるのが近年のトレンドだけども、本作は真っ向から、清々しいほどに真っ向から「よい子のファンタシースターオンライン2」をプロモーションしてきた。その上で、ストーリーとしての起伏もしっかり持たせて、一つの作品として厚みのある仕上がりとなった。

オンラインゲームならではの、学園にとどまらない幅広い交流の輪をポジティブに描いてきて楽しかったし、本当にゲームが好きだからゲームの良さをしっかり伝えたいという気持ちが伝わってきて清々しかった。その人々が現実とオンライン上のキャラが全く違うところの魅力をコミカルに描いたかと思えば、孤高のプレイヤーSOROを単にネタとしてでなく生徒会長リナの孤独をも描いていくなど、ストーリーやキャラの組み立て方が秀逸。派手さはないけども熟練を感じさせるいい仕事でした。