アニメられる日々

アニメ感想ツイート保管庫(暫定

2017年TVアニメED映像10選

 

 

少女終末旅行(通常ED)

原作者のつくみずさんによるラフスケッチ風アニメーションにウットリ。どこからどこまでをつくみずさんが、どういったふうに作られたのか、いろいろお話を伺いたいですね。

  

冴えない彼女の育てかた♭(通常ED)

キャラの複雑な感情を表現した表情とふっくらとした唇、柔らかさと瑞々しさとが感触として伝わってきそうな色気のあるイラストが好きです。

 

エロマンガ先生

洗濯物の乾燥が終わるのを待つ間、陽気な曲に合わせてリズムを取り、ついには踊りだす紗霧が可愛らしいですね。動きに合わせてなびく髪や服の描写が凄いです。

 

エルドライブ

すぐにそれとわかる梅津さんによる本編超えED。動かすにしろ止めるにしろ、様になる画をビシっともってくるセンスは流石です。

 

サクラクエスト(1stED)

カラフルで清潔感のあるファッションに見合った色使いとキャラの表情仕草が素敵でした。みんなカッコいい表情ですね。

 

幼女戦記

イラストの止め絵ですが、ED曲が合わさると観てて恍惚としてきて、なるほどこれが…とターニャ・デグレチャフのカリスマ性を再認識しました。歌詞と悠木碧さんの演技とイラストの眼力とが合わさってパワフルに仕上がりました。

 

メイドインアビス

遠足にでも行くようなノリの曲と画なのに、うっすら恐怖を感じるのは本編に引かれてるからなのか、曲や画に秘密があるのか…観終わった視聴者の隙を突いて魂を抜き取りかねない情念のこもった映像でした。

 

血界戦線&BEYOND

ごちゃごちゃとうるさいほどに賑やかな映像は、作品の持つ90年代的漫画的過剰さとヘルサレムズ・ロットという街の特徴の背後にアメリカの気配があって、それらが作品の魅力であると分かってる感が嬉しかったです。

 

ボールルームへようこそ(1stED)

ダンススタジオでまだ相手すらいない多々良くんがひとりステップを踏み続ける様子を美しい歌声のワルツに乗せて…華やかな舞台の裏の地道な努力を美しく表現しました。

 

この素晴らしい世界に祝福を!

前作同様、牧歌的な雰囲気がなんとも心地良いですね。深夜アニメなのに夕方アニメみたいなお家へ帰ろう系で懐かしい気分にも。

 

 

総感

毎年のことではありますが、エンディング映像は止め画など控えめなものが多くて、OPを選ぶよりずっと悩みました。選外ですが「賭ケグルイ」や「Re:CREATORS」のED映像も推したいですね。

 

 

2017年アニメ主題歌10選

 

 

ID-0 / 佐咲紗花

ID-0 OP

 

The Other Side of The Wall / Void_Chords feat.MARU

プリンセス・プリンシパル OP

 

clockwork planet / fripSide

クロックワーク・プラネット OP

 

ASH / LiSA

Fate Apocrypha 2nd OP

 

ラプチャー / パノラマパナマタウン

十二大戦 OP

 

BUTTERFLY EFFECTOR / TRUE

ひなろじ ~ from luck&Logic OP

 

RULER GAME / Fo’x Tails

時間の支配者 OP

 

フラッグを立てろ / YUKI

3月のライオン 2ndOP

 

HERE / JUNNA

魔法使いの嫁 OP

  

here and there / やなぎなぎ

キノの旅 the Beautiful World OP

 

 

総感

本年度は秋期の主題歌にいい曲が多くて悩みました。僕はアップテンポなロックやテクノポップスの女性ヴォーカル曲が好きなのですが、その傾向が見て取れるチョイスとなりました。OP曲ばっかりで…。

ラプチャー」はスローなのにスピーディな体感で、刺激的なサウンドなのに心が落ち着くとなんとも奇妙な魅力のある曲で気に入ってます。

今年一番のお気に入りは「ID-0」。作品名をそのまま曲名にしたように、人生がこれで終わると思うな、その先があると信じて全力で駆け抜けろ!という本作のメッセージをそのまま綴った歌詞に勇気づけられました。メロディもハツラツとしてて元気になれる曲です。

 

 

2017年夏アニメ私感

メイドインアビス

かわいらしいキャラデザであるのに…というよりだからこそより胸に迫るものがありました。子どもが危険な世界に足を踏み入れる、危険を冒すという意味での「冒険」の本質がそれによってくっきり浮かび上がりました。

『ある生命を救うために犠牲になる生命』とだけ書くと、それがボンドルドと子どもたちを指すのか、リコと深界の動植物たちを指すのかわからなくなりますね。ナナチの作る(とても食べられたものではない)食事とリコの作った食事との違いもまた、成れ果てのまま放置された子どもたちとミーティを連想させます。

冒険をするということ、人生を全うするということ、そのために避けられない殺生、それが因果として我が身にも…と、冒険と人生・生と死・食うや食われるやといった諸々を、むせ返るような濃度で描きました。原作がある作品ではありますが、アニメ史にも残る傑作と言っていいでしょう。

 

 

プリンセス・プリンシパル

 

 時系列バラバラ構成は当たりでしたね。この先どうなるのかとハラハラドキドキしました。

 ちせの「強さ」は鉄柱のように剛健で、小さな身体とのギャップに鳥肌が立ちます。超好き。

 

 

サクラクエスト

 P.A.WORKSならではの地方との距離のとり方が、地方と都市部との様々な関わりを広く描くことに繋がったと思います。キャラも皆個性豊かで魅力的でした。キャラのファッションにもこだわっていて皆清潔感あってお洒落でしたね。

 

 

神撃のバハムート VIRGIN SOUL

洋画のようなスケールの画に、洋画のように奥行きがありながらスッキリとまとまった世界観やストーリーが素晴らしく、そういう世界に盛り込まれたわが国のお笑い要素もまた楽しかったです。

 

 

賭ケグルイ 

思いっきりアクセルを踏んでるようでいて、不快にならないよう各話の構成であったり演出であったりとバランスがとても良く、視聴後感が良かったです。

 

 

サクラダリセット

目まぐるしく変化する時間や状況のなかで溢れる言葉の数々が耳に心地いい作品でした。絵や色使い、人々の言葉遣いなど上品で清潔感があって好きです。

 

 

 NEW GAME!!

 各々の忌憚のない意見や感情の発露・ぶつけ合いによるドラマが見応えがあり、キャラの魅力も増しました。

 

 

異世界食堂

 本作はエピソード毎の締めるタイミングがユニークでしたね。美味しいものを食べた後の余韻と似た感覚を覚えました。

 

 

徒然チルドレン

懐かしくも新鮮なタッチのキャラデザや色使いが好きです。

 

 

ナイツ&マジック 

 2クールくらいかけてじっくり楽しみたかったですね。

 

THE REFLECTION

 アメコミ・ヒーローの「重み」がカッコよかったです。ナインスワンダーのライトなノリももう少し活かすゆとりがほしいところでした。

 

 

Re:CREATORS

 映像も音楽もカッコよくって、それだけで心揺さぶるのは凄いですね。

 

 

バチカン奇跡調査官 

 画もトリックもあとひと押しあればもっと良くなると思います。

 

 

アホガール

第一印象はなんだいくっだらないって感じだったのですが、継続は力なりと申しますか、くだらないことでも自信満々に続けられるとじわじわっと来ますね。演出も工夫が施されてて楽しかったです。

 

 

ゲーマーズ!

ストーリーの構成としてはかなり難易度の高いことをやってて、表情・仕草など動きの工夫も含めて力作だと思います。

 

 

アクションヒロイン チアフルーツ 

ディオメディア作品らしいちょっぴりおバカなノリは好きです。

 

 

ひなろじ

全体的によく出来ていたと思います。ただ1話・7話が凄く良かった分その他の回がちょっと刺激が足りないように感じてしまいました。

 

 

ようこそ実力至上主義の教室へ 

「実力至上主義」を謳っているわりにチームワークを重視するところは大目に見れるくらいには楽しめるのですが、同時期に「賭ケグルイ」という作品が放送してたのがタイミングに恵まれなかった感もあります。

 

 

戦姫絶唱シンフォギア AXZ

それでも、ボルテージの高さで押し切る力は凄いですね。ネタ切れという意見も多々ありましたが、それよりも立ち回りなどのバトルアクション・見せ場にこだわり過ぎのように感じました。ストーリーに厚みが欲しいですね。

 

 

18if

 エピソード毎に監督を変えて…という試みはユニークでしたが、制作上の都合かクオリティが低くて残念でした。7話と10話は良かったのですが…。

 

 

総感

2017年夏はメイドインアビス」「プリンセス・プリンシパルの2強といった様相。神撃のバハムート VIRGIN SOUL」 「NEW GAME!!などクオリティの高い力作も多数ありましたが、Re:CREATORS」「サクラクエストなど好き嫌いが人によってはっきり別れる作品もありました。個人的にはサクラクエストは大好きなのでお勧めしたいところです。

 

 

2017年春アニメ私感

 

有頂天家族

 きちんとルールがあって、望むと望まざるとそれを踏まえないといけない狸と天狗と人間のそれぞれの在り方生き方を、さも自由で奔放であるかのように描くのが本作の魅力で、それは考え方捉え方ひとつでも世界は変わって見えるよ、楽しく生きようというエールだと受け取れました。そういった秩序と混乱・不自由と自由・愛と憎のアンビバレンツに、久米田先生のデザインしたポップかつシャープなキャラがとても良く馴染みました。

 

 

 正解するカド  

骨太なSFではあるけども恋愛要素もありで、非常にとっつきやすい仕上がりに。フィクション的に理想化された政府や政治家の物分りの良さが、展開に加速度をつけることによって得られたゆとりがあったから出来たことなのですが、そうであるがゆえに批判の的になってしまったのは悲しいです。ワンクールという短い枠で、これほど壮大な内容をライトに仕上げてみせた手際は素晴らしいと思います。

 

 

リトルウィッチアカデミア 

 落ちこぼれな少女が皆に追いつこうとあれこれ試行錯誤する様子が可笑しくて、そういった可笑しさに悲壮感を覚えさせないさじ加減も良かったですし、それでも諦めず夢に向かって邁進する、純粋でひたむきな姿勢に、次第に誰も笑わなくなるどころか感動すら覚えるよう描いていて胸が熱くなりました。本作はTRIGGERとアニメーションのあり方や願いを描いているとの噂がありましたが、アッコの姿勢は初心者にこうあってほしいという道筋を示したのかもしれませんね。噂の域を出ていないのですが、それを裏付けてるような一貫性があり、夢を諦めないという姿勢と、夢のある世界への願いがストレートに伝わってきました。滑稽さから情緒からダイナミックな光景まで、魔法の世界のファンタスティックな光景をアニメーションで賑やかに表現する技術にも圧倒されました。

 

 

ID-0 

宇宙進出はもとより、クローンや義体への精神の転送をも可能にした遠未来を描いたSFですが、設定や経緯が簡潔でテンポよく展開していきました。義体に転送してるときに混乱に巻き込まれて肉体をロストした少女の不安を描いた上で、あらゆる事情で肉体を失った人々の在り方をポジティブに描くことで、人の意志の強さをドラマチックに表現したのが凄く気に入りました。そういった人の意志の強さを歌詞に乗せたOP曲「ID-0」も凄く好きで勇気づけられました。贅沢を言えば、2クールは欲しかったですね。もっともっとあの人のことやこの人のこと、その経緯などを語って欲しかったです。

 

 

冴えない彼女の育てかた♭ 

創作と恋愛の線引きというものを棚に上げて、とにかくサークル活動に夢中になった1期でしたが、2期は活動を続けていくうちに抑えきれなくなった想いとか、残された時間の無さや物事の転機が、関係の変化を否が応でも求めていく展開にハラハラさせられました。チャンスをものにするために大事なものを捨てなければならない、そういったストイシズムに一定の理解を示した上で、それでもあれもこれもやっちゃいなよ!と締めくくるのに刺激を受けました。若いって良いですね。

 

 

ベルセルク 2期 

 ガッツとキャスカの旅にファルネーゼセルピコが加わって、地獄のような凄惨な世界のなかで平穏と安寧を求める様子が切実に思えましたし、正しいと信じていたものが間違ったと気付いた時にそれでも信仰に固執するか、それとも間違いを認めて改めていくかのその明暗もよく描けていて、センセーショナルなバイオレンス「だけ」を売りにするのでなく(そこも売りであることに異論はありません)、そういった救いのない世界でもがく清らかな精神・意志を尊重する作品であるのがすごく気に入りました。ガッツの圧倒的な立ち回りによって彼の底知れぬ怒りを演出する、そしてシールケの時折見せる年相応のか細さもしっとりと表現する、そういった映像と音の表現力が豊かでそして凄く力強い作品でした。

 

 

月がきれい 

 普通の男の子と普通の女の子が、他愛もないことで知り合って急速に思いをつのらせていく一目惚れ感に、ほんの少し背中を押すことで関係を進展させていく展開にドキドキ。ほんのちょっとの勇気で通った想いはしかしとても心許なく、すぐにも壊れてしまいそう。「初恋は実らない」「初恋は長続きしない」「進級進学が破局のきっかけに」「遠距離恋愛は上手く行かない」そういった恋愛のセオリーやジンクスは当然視聴者も重々承知なわけで、そういった不安が何度も何度も脳裏をよぎり、恋敵の出現や不和などが生じては頑張れ、乗りこえろ、と手に汗を握りました。それは僕がロクな恋愛をしてこなかったからこそ、せめて物語の中では清らかな恋愛が見たいという思いがあってのものなのかもしれませんが、それはともかく(涙を拭いつつ)、そういった不安を全て払拭してみせたのが嬉しかったです。ほんの少し、自分の内にこもる怨念が浄化された気がします。

 

 

アリスと蔵六

人々や社会の安全を脅かす能力をもった紗名を分別のついていない子どもに見立てて、カミナリ親父がその子を保護していくことから始まる物語。1章にあたる導入部はそういった子と保護者の関係への興味にバトルアクションが乗っかっているのが正直邪魔に思えたのですが、紗名の逃走劇が落ち着き安住の地を得て2章が始まると、 子と保護者の関係にぐぐっとフォーカスしていって、見どころが定まったのが良かったですね。また、2章の物語を進めていく上で、1章はやはり欠かすことの出来ないエピソードだったんだと思える展開に仕上げるのも上手いと思いました。紗名の教育がカミナリ親父・蔵六ひとりによるものでなく、皆が関わり合ってなされるのも凄く良かったし、紗名自身が誰かの成長を促す存在にもなり得たのもまた良かったです。

 

 

エロマンガ先生

  「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の伏見つかささんの原作小説らしい、俺妹の改修型といいますか、似た要素をふんだんに盛り込んだ作品。俺妹よりもH度は上がってるんですが、血のつながりはないからどんどん行くよ!という思い切りの良さや、ここまではいけるでしょ!という絶妙なコントロールがことごとく決まり、また倫理に背くような後ろめたさもないので、とても明るく楽しい雰囲気に仕上がりました。はずかしくてこそばゆくなることも多々ありましたが、視聴後感がとても心地良い作品でした。

 

 

GRANBLUE FANTASY The Animation 

 RPG原作のファンタジーをわかりやすく描くことで、冒険のまだほんの入り口ではあっても十分満足感が得られる密度のあるドラマに仕上がりました。 そういった「冒険が始まる物語」に、「靄に包まれた世界とそこを駆けていく人物たち」というOP映像を持ってくるセンスが凄いですし、そういった雰囲気を持った曲を作るセンスも素晴らしいですね。

 

 

進撃の巨人season2 

原作が面白いのでそのへんは安心していられますね。前期では途中で作画に疲労が感じられましたが、今期はペース杯分が上手く行ったようで終始安定して目にも楽しかったです。アニメ放送のペースを考慮した構成も良かったです。

 

 

クロックワーク・プラネット

 キャラデザが僕好みなのもあってかなり贔屓目ですが、ひとつの物語がふたつ以上の物語で紡がれていて、美少女モノのラブコメが苦手な方でもバディアクションが好きなら楽しめるんじゃないでしょうか。どっちも大好物な僕が夢中になるわけです。こういう素晴らしい作品には予算も時間もいっぱい注がないとダメですよ!

 

 

ゼロから始める魔法の書 

 それぞれのキャラの性格と立場の違いから来る思考と言動の描き分けが凄く良くって、剣と魔法の冒険ファンタジーの王道をゆく物語であっても、そういった言動や振る舞いはお約束に任せずきちんと個性に合わせて練られているので、どっしりと地に足の着いた丁寧な物語に仕上がっていました。台詞の掛け合いのテンポも心地よかったですね。

 

 

ロクでなし魔術講師と禁忌教典

 ラノベってこうなんでしょというテンプレ批判は十分承知の上で、あえてそれに乗っていく勇気は評価したいですね。実際そうした批判をすんでのところでかわしたり、良いから良いんだ!どんどん模倣れ!と言わんばかりにあえて正面から突破していく若々しい元気いっぱいな作品。教師と特定の生徒だけでなく、すべての生徒たちの存在感を演出してより学園モノらしい雰囲気を作ったのも良かったですね。

 

 

カブキブ! 

 歌舞伎のような敷居の高い伝統芸に、一般のそれも子どもたちがどう関わっていくのかという問題に、こういう方法があったんだな、と説得力ある設定を構築できたのが見事でしたね。伝統芸能を取り扱う気配りも好感で、男女の人数や割合のバランスが良く、また皆いい子たちで、衝突さえも清々しく映りました。

 

 

アトム・ザ・ビギニング  

 鉄腕アトムの前日譚ということですが、肝心の鉄腕アトムを実はちゃんと見たことがないのでどういう話なのかわからず、ともかく将来なんだかんだ対立するだろうと思われるお茶の水博士と天馬博士の若い頃の様子だと思うと勝手ながら感慨深く思いました。お茶の水くんは典型的ないい子キャラで、正直面白みにかけるのですが、不遜でも憎めないところのある午太郎くんや、敵か味方か茂斗子さんや、無口でも正義感や思いやりがあって可愛らしい蘭のアシストなどで、賑やかで楽しい作品に仕上がりました。基本はキッズ向けのような明快で親しみやすい内容ですが、手塚治虫作品の息吹を感じさせる深みも時折見せて、見応えもありました。

 

 

終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?

 クトリの悲しみのみに集中するには、あまりにも厳しい世界観でした。皆がいつ命を失うかわからない世界より、生きてることが当たり前な平和な世界のほうが、彼女の不幸がより伝わりやすかったと思います。本人たちには迷惑な話かもしれませんけど。

 

 

総感

 2017年の春アニメ(3~6月期)は有頂天家族2」「進撃の巨人season2」「冴えない彼女の育てかた♭ リトルウィッチアカデミア 」「ベルセルクなど継続枠・2期作が好調で、ある種シリーズ作品と言えなくもないエロマンガ先生も含めて認知度の高い作品が確実に支持を得ていった堅実な印象を受けたシーズンとなりました。個人的には正解するカド」「ID-0」「月がきれい推したいところ。また話題性には欠けましたがクロックワーク・プラネット」「ゼロから始める魔法の書」「カブキブ!などストーリーやアイディアの光った作品もあり、個人的には充実したシーズンでもありました。

2017年冬アニメ私感

 

けものフレンズ

 2話目の時点ではまだ全然騒がれてなくて、だからなのか上記のツイートはたつき監督からfavを頂きました(嬉

 2話終了時点でファンの間で考察熱がじわりと高まり、「けものフレンズ考察班」を称するファンの議論がどんどん熱を帯びて、4話目あたりで一気に人気に火が点いたように記憶してます。 

サーバルキャットのフレンズのサーバルに、ヒトのフレンズ のかばんちゃん。それぞれ同族の仲間がいなくて種族ごとにフレンズはひとりだけであることで、サバンナをさまよったり日が暮れていくジャングルにひとり向かおうとするかばんちゃんの心細さがひしひしと伝わってきて、見た目には微笑ましい可愛らしい光景なのに、愛おしくて危なっかしくて不憫でハラハラやきもきさせられました。本当の孤独と本当の愛を教えてくれる素晴らしい作品でした。

 

 

亜人ちゃんは語りたい

 8話抜けてますがご容赦…単につぶやかなかっただけで他意はありません

亜人ちゃんはどの回も凄く良くって、サービスを盛り込みながら社会的な問題も盛り込むそのコントロールが凄く際どくて、嫌い!という感想ご意見も多々見受けられましたが、僕はマイノリティの問題を扱う上での気配り・配慮が素敵だなと思いました。 

 

 

小林さんちのメイドラゴン

 京都アニメーション制作作品では久々の、原作に準拠したキャラデザで仕上げられた作品。らき☆すた以来のときめきを感じました。ホームドラマらしい温かみのあるタッチや色使いとごちゃごちゃした背景画が魅力的で、心情をつぶさに汲み取る演技演出も素晴らしく、笑いあり涙ありでどちらも丁寧に落とせてたと思います。

 

 

3月のライオン 

棋士ならではの孤独な戦いと、人々の普遍的な孤独な戦いを描きながら、誰かと関わっていくことで目的や動機や拠り所を得て前進していく…曇りや雪の日のような寂寥感と、灯火のようなほんのり温かい光をイメージさせる演出で、それぞれの精神世界を効果的に演出しました。

 

 

昭和元禄落語心中 助六再び篇

 目に映る状況を額面通りに受け取っても物語の大まかな理解に支障はないのに、その背景にものすごいドロドロな現実が隠れていて、それでも各々が口を閉ざしているので目に映る状況を額面通りに受け取れて穏やかに暮らしていけてるんです、と言う構造になっているのが凄いんですよね。知らなくてもいいことで物事は動いているけども、知らなくてもいいことは知らないほうが身のためだという達観…。

 

 

ACCA13区監察課 

世界観がとても魅力的で、いくらでもうまみの出そうな作品。本作はひとつのドラマとして区切りはつきましたが、ここで終わるのか…もっといろんな物語ができそうなのに!と非常に寂しいです。

 

 

幼女戦記 

現在の知識や技術を持った者が現在よりそれらの劣る場所に転移して活躍する、いわゆるチートものにカテゴライズされそうな作品ですが、本作はそういうふうに楽して暮らしてやろうと目論む主人公がさじ加減を間違えて苦労する羽目になる、というところに可笑しみがあって、チートものの魅力をうまく利用した娯楽作品となりました。

  

 

BanG Dream!

 

キャラそれぞれの世界の見方の違いからくる認識の差とそのリアクションの描き方がよく練られていて、架空の人物や世界のはずなのに本当にありそうな質感が魅力的でした。オーナーの態度が納得できないところもありましたが、納得できないまでも彼女たちが幸せならいいか、と思うことにします。

 

 

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

 

終始議論を呼ぶ好みの分かれる作品でしたが、 現実世界で解決していない紛争・貧困・差別・格差その他もろもろの問題を扱った作品が、現実に即して答えが出せないまま終わったってのは僕は良かったと思ってます。しっかり問題を提起して、視聴者がそれについて考えを巡らせるようになれば、本作の目的は達したとみていいんじゃないでしょうか。

 

 

ガヴリール・ドロップアウト 

可愛らしいキャラデザや色使いに加えて、多彩な表情仕草などの演技表現がコミカルで楽しく、我欲や感情をぶつけ合うけど皆いい子たちで、刺激的だけどほんのり温かくもなれる良作でした。

 

 

政宗くんのリベンジ 

わかりやすいドタバタラブコメで駆け抜けるのかと思ったら、感情のかすかな起伏や表情仕草など機微で物語を紡いでいるところもあり、ズンと響く物語でもありました。まだ物語の途中という感じで一区切りついたので、ぜひ続編が観たいですね。

 

 

鬼平

画がもう少し頑張ってもらえたらなお良かったんですが…。

 

 

この素晴らしい世界に祝福を!

1期が凄く良かっただけに2期も期待していたんですが…手堅く笑いを取りに行ったのがひしひしと伝わってきて白けてしまうこともしばしば。しっかり笑えるとこも多々あってトータルで一定以上の満足感は得られましたけども…。

アニメーションの動かし方が楽しい作品でした。

 

 

エルドライブ 

キャラやモノのデザインが独特で、子どもが好きそうな雰囲気がありますね。キッズ漫画っぽいけど深夜アニメ的な刺激もあって楽しかったです。 

 

 

ハンドシェイカー

 大阪の話ばかりしてる…(苦笑)7年ほど住んでたのでなんか嬉しかったんです。

 

 

南鎌倉高校女子自転車部 

 夏海が主人公的に活躍しすぎていいとこ全部持ってっちゃった感が惜しいですね。

 

 

Rewrite 

アニメーションとしての仕上がりがガタガタで非常に残念でした。 

 困難や苦境など不幸に直面したヒトの弱さと、その全てを抱擁するような厳しさと愛情の入り混じったメッセージに心打たれることも多々ありました。

 

 

うらら迷路帖

 アニメーションとしての出来がどんなに良くっても合わないものは合わない、と良作であるはずなのにどうにもノれない作品に出会うともどかしい気持ちになりますね。

 

 

カオスチャイルド 

 OPは好きでした。

 

 

チェインクロニクル

 アニメーションとしてはよく出来てたとは思います。

 

 

総感

2017年の冬アニメ(1~3月期)は、昭和元禄落語心中3月のライオン」「ACCA13区監察課など、画もストーリーもどっしりとボリュームのある作品や機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」「この素晴らしい世界に祝福を!2」など強力な継続枠・2期作、京アニが久々に原作準拠キャラデザで仕上げた小林さんちのメイドラゴン亜人ちゃんは語りたい」「幼女戦記など話題性溢れる作品など、個性的で豪華な作品の多いシーズンでした。そんなシーズンの話題を独占したのがけものフレンズ。アニメ史に残る大ヒットとなりました。

2016年秋アニメ私感

オカルティック・ナイン

僕はサイコ・ホラーな雰囲気は本来好きではないんだけども、本作はポップでクールでカラフルな雰囲気がそれを払拭してしまうパワーがあって、おぞましいシーンがあっても引きずることなくトントンと展開していくのが有難かった。りょーたすのキャラ造形…今日的な顔立ちに少しふっくらとしつつもすらっとしたボディにまるで不釣り合いな豊満なバスト…ポヤヤンとした態度の内に秘められたもう一つの性格…それは彼女の手にする「ポヤガン」のようであり、本作そのもののようでもあった。つまりりょーたすも本作も僕好みで超好き。最高。

 

フリップフラッパーズ

最新の表現と懐かしい表現が混在するファンタジー世界は、見ているだけでも賑やかで楽しい。2進数を匂わせるタイトルやだまし絵など、表裏を意識させる表現が随所にみられて、今見ているもの、今起きている状況がいつ覆るかという緊張感があった。

ハチャメチャな世界を趣味的に描く一方で、子には子の、親には親の、周囲には周囲のそれぞれに向けた示唆や教訓も多分に含んでいたようにみえたが、そちらに関しては正直自信がない。それよりも、われわれのよく知ってる現実さえピュアイリュージョンの一つとしてしまうセンスのほうに惹かれた。

 

響け!ユーフォニアム2

滝先生が来て全国を目指すことになった、新生北宇治高吹奏楽部における椅子取りゲームを学園バトルめいた熱気で描いた1期と比べて、1期で棚に置かれていた問題を拾っていきつつフィナーレに向かっていった2期は、全国へ行くという目標をかけた舞台を濃密に描き、わだかまりもしっかり拭って、視聴者のガイド役めいた久美子が主役として再度浮かび上がって締める鮮やかな仕上がりとなった。

 

ガーリッシュナンバー

性悪な新人声優・烏丸千歳が主役の声優業界を舞台にしたお仕事アニメで、業界のネガティブな部分も多分に描くのだけども、コメディ作品として描かれているので、クサクサせず楽しむことができた。それはビジネスライクなようでいて親身な仲間たちだったり、脳天気なようでいてちゃんと目配せしている業界人だったり、無責任なようでも腐りきってはいない責任者だったり、性悪というより世間知らずゆえの駄々っ子でしかなかった千歳など、そんな人たちを愛おしく思えたからかもしれない。

 

ユーリ!!! on ICE

男子スケートを描くにあたって、同性愛を匂わせる表現を露骨に取り入れるサービスを盛り込みつつ、師弟愛やライバルや友への想いと上手く結びつけてドラマチックに演出した。スケーティングの描写が早々に崩れてしまったのが非常に残念だけども、個人競技の性質や選手や指導者の心理が素晴らしくリアリスティックに描けていた。 

 

魔法少女育成計画

WIXOSSアニメシリーズ同様、願いを食い物にする何者かに囚われた少女たちの悲しい闘争の物語。対戦形式の格闘バトルによる命を賭けたサバイバルゲームは、彼女たちの辛く悲しい境遇やささやかな幸せを描いているがゆえにより悲惨であり、それはショッキングで見ごたえのあるものではあった。ただ、最後の最後まで全く救いがない上に、息抜きができる箇所すらなかったものだから、観続けるのがとても辛かった。キャラのメイク描写、特に目の描き込みが色っぽくて、それが見たいというのが視聴のモチベーションの一つとなった。

 

ステラのまほう

淡めの色使いとまんまるちんちくりんなキャラデザが可愛くて、見てるだけでも幸せになれる作品。もちろんコメディとしても十分楽しめる。個人的には同系統の作品群の中では1・2を争うほど好きな作品となった。

 

灼熱の卓球娘

1話めはノリがつかめず戸惑ったけども、2話目以降は部活モノとして楽しめるようになった。キャラの個性が皆強すぎて、時折笑うようなとこでないのに笑ってしまうこともしばしば。そこまで貪欲にならなくても、作品としての軌道は安定してると思うけども…。色気で釣ってもいけそうな作りであるのに、卓球してる姿をカッコよく描いてくれたのが良くって、しっかり熱くなれた。

 

装神少女まとい

何処かで見たような光景、どこかで聞いたような台詞回し…中盤まで本作の個性が見られなくて不安になったけども、団欒を奪われた家庭がそれを取り戻す物語として終盤にググっと輪郭がくっきりして見ごたえあるものになった。長い間離れて暮らしていたために余所余所しい父娘の様子、特に伸吾の態度のリアルさが光った。ゆまちんのアシストもGOOD。

 

亜人

2クール目に入り、戸崎の懐に上手く飛び込んで逃亡生活に一区切り打つなど、新展開になっても面白さは健在。佐藤の打つ手打つ手が面白かったし、双方知恵を巡らせての攻防がまた楽しかった。キャプチャを使った演技は皆どこかチンピラっぽくて、それが合うキャラもいれば合わないキャラもいたり…もう少し演じ分けてほしかった。

 

ブレイブウィッチーズ

優秀な姉を持つ普通(?)の少女が様々な困難を経て成長していく物語。ストライクウィッチーズ同様、「履いてない」という以外はまっすぐな成長譚で、仲間と打ち解けて信頼を得ていく様子など、物語の定番をしっかり押さえて手堅くも確実に楽しめる内容となっている。放送延期もあり、苦しい箇所も多々見られるけども大きく崩れることなく駆け抜けた。個人的には、今後まだシリーズが続くならもうそろそろ履いてほしいところ。戦闘中はともかく、普段も履いてないとさすがに格好がつかないので。

 

Lostorage incited WIXOSS

WIXOSSアニメの新シリーズ。selectorシリーズよりもカードバトルは複雑かつ具体的に、登場人物は男性も参加して多くなった。本作だけなら悪くはない出来だけども、selectorシリーズに比べるとどうしても印象が弱く感じる。千夏のやさぐれに時間を割いた分、すず子との和解のプロセスが不足に感じた。

 

ブブキ・ブランキ

説明過多で巻き気味に展開していく様は1期より酷く、余韻に浸る間も無いまま次に進んでしまうので呆然としてしまうことも多々あった。内容に比べてキャラが多すぎたのではないか。しかしながら物語をそうして23話でぴしゃりと締めた後に、24話でたっぷり余韻を設けたのは意外で、サンジゲンの決意表明にも思えるエピソードはなかなかに良かった。

 

終末のイゼッタ

欧州における第2次大戦に魔女や戦姫物語を絡めたのはユニークであったけども、キャラデザや台詞回しの真新しさがどうにも馴染まず、サービスも空回りしているようにみえた。戦闘シーンの展開やアイディアの工夫で見せる面白さは素晴しかった。

 

ろんぐらいだあす!

 キャラの目線より高い構図を極力使わない、力強いカメラワークに期待が高まったけども、早々に力尽きてしまったのが非常に残念。キャラデザも内容的にも好みなので、ちゃんと作られた完成版が見てみたい。是非。

 

 

 

以上です。秋アニメは2016年度で最も充実したシーズンと言っても良いんじゃないでしょうか。個人的な事情で何本か見逃してしまったのが残念。

話数単位で選ぶ2016年TVアニメ10選

この素晴らしい世界に祝福を! 9話

お色気という言葉が生易しく感じるほど扇情的なエロを描きつつ、コメディ作品の体裁を守ってちゃんと笑えるようにも構成された、どの方面にも妥協のないパワーみなぎるエピソード。作画が素晴らしかったのはもちろん、掛け合いや状況をどの構図からどのテンポでどう展開していくことでどう可笑しみを生み出すか、というユーモアに帰結するコメディ作品としての軸足を守った設計が素晴らしかった。

 

Re:ゼロから始める異世界生活 20話

白鯨討伐において、白鯨を妻の仇とするヴィル爺の、若き日の回想を交えたエピソード。「剣聖」と謳われた若き日のテレシアに恋をしたヴィルヘルム青年が、彼女と対等になるために剣技を磨くべく精進した日々の様子から、彼がなぜスバルの身の程をいち早く看破できたのか、そのうえでなぜスバルを応援してこれたのかが納得できる構造となっている。「剣鬼」と言わしめるまで高みに登れた男の、不器用で一途な愛の物語は、スバルへのエールのようでもあった。作り手の熱気が過熱してクドくなりがちな本作の中で、最も良い塩梅のエピソード。

 

灰と幻想のグリムガル 5話

リーダーのマナトを失い、パーティとしてのまとまりを欠いたまま新メンバーを迎えたことで余計に関係がギクシャクする。物語のように簡単に腹を割って話すことのできない、人と人の垣根の描き方がリアリスティックであったし、ハルヒロとユメがその垣根を超える瞬間に感動があった。死が隣り合わせの世界で、仲間の死の悲しみを慰め合う二人の艶めかしさが生と性を直結させる。現代人が感覚だけ保ったまま異世界に飛ばされサバイバル生活を余儀なくされることで、現代人が忘れかけていた感覚を再認識させよう、そんなねらいが見えたエピソードでもあった。

 

フリップフラッパーズ 6話

ココナとパピカの過去話のように構成されていて、それだけでもハラハラさせられるのだけど、実は…という驚きがあって、めでたく終わった後に、いや…でもココナとパピカの過去話でもあったんじゃないか…?と疑心暗鬼にもなる、観る者の認識を揺さぶるエピソード。ここに至って、この先何を見せられても覆されてしまうんじゃないかと全く油断できなくなったことが、以降のネタばらしにおいても程よい緊張感をもたらしてくれた。

 

響け!ユーフォニアム2 5話

全国に行けるかどうかというコンクールの、緊張感の演出が見事。希美をめぐる問題が一段落したタイミングも絶妙で、いよいよコンクールというときに本番で実力を出しきれるか・または評価されるか以外に不安要素がないぶん、かえって緊張感が増す構造。また、演奏に尺を割いたのが効果的で、舞台袖でうずくまって祈る葉月とおそらく同様の、どうか無事終わってほしいという心境となって、終始落涙させられた。

振り返ってみれば、北宇治高校の吹奏楽部にとってはここが最終にして最大の課題。「全国に行く」という目標を達成すれば、後はご褒美のようなもの。演奏シーンに力を入れたのも頷けた。個々のモチベーションはそこにとどまらないのだけども、それはまた別の話。

  

3月のライオン 9話

棋士歴40年の松永さんが、零との対決をもって引退を考えてると香子に揺さぶりをかけられる零だったが、松永さんの慌てっぷりとそれでも挽回しようと健気にもあの手この手を繰り出す様子に、見てるこっちがシリアスな気分が吹き飛んでほっこりしたし、負けてふてくされる様子や居直って奢らせた挙句、郷土自慢で管を巻く。年季を感じさせない松永さんの、それでもどこか愛らしく思える源流が、松永さんの将棋に対する並々ならぬ想い入れにあった。棋士生活の最後になるかもしれない相手が有能な少年で、かつ自身の将棋人生とその想いを聞いてくれたとあっては、もう少し続けてもみようかな、と思うかも知れなかった、そんなほっこりあたたかいエピソード。

映画でなく漫画の動画化を意識してるフシのあるシャフト独特の、文字通りのコミカルな演出がぴったりフィットした目にも楽しいエピソードでもあった。

 

昭和元禄落語心中 1話

各話どれも素晴らしくて悩んだけども、全て観終えると改めてここが着地点だとわかる1話が抜きん出ている。チンピラ・与太郎を拾ったくせになんだかんだと面倒くさい八雲と同居してるにも関わらず険悪な小夏…それぞれの深く複雑な関係のいわれを紐解くと、長い長い昔話になるのだった…「縁」の妙を描いた本作の、今シーズンでの始まりと終わりの役目を担い存在感を示した。

 

キズナイーバー 7話 

クラスメイトと共同で連載漫画を描いていたこと、関係の認識の不一致で決別したまま死別したこと…それらを心の傷として持つためにもう友達は作らないという牧穂乃香に、キズナシステムだけのつながりにとどまる仲間達が改めて友達になることで痛みを分かち合おうというエピソード。「忘れてしまいたい過去は絶対に忘れてはいけない過去なんです」PTSDの治療に酷似した方法論が見て取れた他、牧を救おうと奔走した仲間たちと亡き友との時を越えた和解が素晴らしかった。

 

無彩限のファントム・ワールド 1話

4話と悩んだが、やはり舞の詠唱シーンや電柱ファントムとのリンボー対決など、インパクトでこちらが勝る。京アニにおいては稀有なエッチさと、着衣の生地の感触まで伝わってきそうな身体の柔らかい質感の表現が素晴らしく、強烈なインパクトを受けた。

 

 装神少女まとい 11話

11年前、世界を崩壊から救うべく頂次元へ向かったまま消息不明となった母と同様に、再び起こった世界の崩壊の危機を救うために頂次元に行けるのはまといだけ。妻を失った悲しみを未だ引きずっていて、かつまといには絶対にそうなってほしくないと思っているからまといが退魔少女であることも知った上で自分をごまかしてきた伸吾…という描写の積み重ねと、長いこと別居していたためにどこか余所余所しい父娘の微妙な距離感を積み重ね描いたのが効いて、嫌だ別れたくないと泣いてすがりつきたいくらいなのに、父娘ともにとうとう別れのその日その時まで普段通りのお出かけを装い、平静を装って別れる。別れた直後に様々な思いがこみ上げて泣き崩れる伸吾に、観てるこちらも共感を覚えた。伸吾のリアリスティックな父親像が強烈に印象に残ったエピソード。 

 

 以上です。

本年度は「このすば」や「昭和元禄落語心中」「響け!ユーフォニアム2」に「フリップフラッパーズ」と、どの話数も素晴らしいという作品が多い一方で、「迷家」「クロムクロ」「コンクリート・レボルティオ」「オカルティック・ナイン」「亜人」など、話数単位で切り取るのが難しい作品も多く、選考に四苦八苦しました。

あと、今後もブログよりTwitterのつぶやきが中心になりそうなので、「10選候補」タグをまめに活用せねば、とも思いました。(つけてるつもりだったけど意外と怠けてた)