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放課後のプレアデス12話(終) ~ 何かを選び、何かを捨てて、前に進むということ

あと一回で欠片に到達する、最後の「ジャンプ」。それすらも「この先に何があるのかわからない」と危ぶむプレアデス星人は、モラトリアムの象徴か。

みなと君を追って、先行したすばるに追いついたあおい達。いまさら前進をためらうわけがないよね。

最後のジャンプの先に待っていたものは特異点ブラックホールと、飲み込まれつつある最後の欠片。ここでもプレアがモラトる(雑)。やはり無理なのか…を一片の迷いもなく否定するあおい達の「あきらめない」(「変わること」=「選択すること」=「前進すること」)が力強く伝わってくる。この件、先行しているすばるが筆頭でないとこがポイントで、画的にもここですばるを全面に出さないところが凄い。

最後の欠片を追って捨て身の行動に出てるみなとくん、ここでいう彼の「諦めてない」は少し前の自殺願望めいたのとは違う、おそらく欠片の奇跡への賭けだろう。「ブラックホールに飲まれて消えるならそれも悪くない」と赤木しげるめいたことのたまうとこまさに。

選択されなかった可能性や、生まれることすら叶わなかった可能性の気持ちがわかるか、と問われて、「わからないけども、関わってしまったからには無かったことにはできない」という答えもいいね。今観てるものが夢だろうと別次元の出来事だろうと、わからないことはわからないし、大切なものは大切なんだと。嘘偽りや建前が存在しない正直な気持ち。

「みなとくんの本当の気持ちを教えてよ!」てツッコミは鋭いねえ。「だったら私が言う」のとこほんと赤木しげる告別式での天の「俺っ…!俺っ…!俺のために…生きてくれって言ってるんだ…!!」の件が思い起こされて、消えても構わない、居る理由がないという者にそこに居てくれと願う時、最終的に「俺の我儘を聞いてくれ!」に行き着くんだなあ。

「私が幸せにしてあげる、今すぐ!」からのキスがまぶしすぎて…いつきーッわしの目も塞いでくれーッ!!

プレアデス星人がみなとくんとの過去の記憶を失っていた事がわかって、その過去があったからすばる達に欠片集めを手伝わせながらも無意識に欠片が集まるのを避けてたのかな…と思ったけど、欠片は「この宇宙」では集まらないのは織り込み済みで、「この宇宙がダメなら別の宇宙に行く」という発想が記憶とともに抜けてた様子。

ともかく、今に閉じこもってたプレアデス星人はみなとくんと再会して記憶を取り戻し、軽やかに去っていく。この軽やかさがね、「前進」と「取捨選択」と「色褪せない思い出」をこれまで盛り込んできたことが効いててなんとも素晴らしい。

その後すばるたちはみなとくんの案内で「運命線の形」、可能性の樹を生命の樹に重ねたそれの、その根本まで遡る。生命が誕生する前の地球を、秘めたる無限の可能性に見立てる。

ここからすばる達は自分の望む可能性へと戻ることが出来る。それがプレアデス星人からの奇跡のプレゼント。もちろん自分のこれまでを受け入れた上で前進することの素晴らしさをここまで描いてきたから答えは言わずもがなだけど。

この件、エヴァンゲリオンの結末を連想させるけど、エヴァの方の意図が汲み取れんもんでこのへんの関連は棚上げ。ただ、何か含むところはありそう。

皆がこれまでの出来事を大切にした上で、それぞれの世界に帰ることを決意する、その瞬間に訪れる孤独が、生命のいない地球上にただ一人の孤独が胸に突き刺さって涙が溢れてきた。

次の瞬間、すばるだけみなとくんと一緒!ずっこいぞ!

ここも別々だともうひと押し出来たと思うけど、いいでしょう(甘

それぞれの世界に戻り、これまでの出来事と重ならないすばるの物語が始まる。きっと別の世界であおい達の物語が始まってる。

ここまで観てきた我々の知らないあおい達、ベッドに横たわったままのみなとくん。そのみなとくんの閉じた瞳に浮かぶ涙だけが、夢であって夢でなかったこれまでの物語を微かに現実に繋ぎ止める、涙々の美しい物語の素晴らしい締めくくり。最高でした。

 

総評

SUBARUとガイナックスとのコラボとあって開始前から話題性充分。僕も期待して観始めたんだけど、序盤は画が綺麗で動きが良くってキャラ可愛くていいねえ、くらいだったものが、話数を重ねてキャラや世界の背景が掘り下げられるとともに、厚塗りのようにメッセージが盛り上がってきて、ストーリーも相対的に深みを増していき、表層だけでない宇宙的スケール及び人の内面的宇宙的スケールとでも言おうか、ともかくそういう物語にぐいぐい引きこまれていった。

「取捨選択すること」「前進すること」「時とともに変わっていくこと」を肯定的に描きつつ、それらの行動による懸念…「選択されなかった可能性」が示唆する失敗や挫折、忘却、孤独も描きつつ、それを乗り越える心の在り方気の持ち方をキャラの行動で示してくれた。

人の弱さやままならなさから目をそらさず、「先に進むって大変だけど、行こうよ。先のことはわかんないけど、じっとしてても状況変わんないよ」と、多少の厳しさも盛り込みつつ、希望に満ちた物語で励ましてくる。世界的な自動車メーカーのタイアップらしい…いやこういう作品をガイナックスと連携して世に送り出せる、その器を感じさせる、素敵な素敵な作品でした。