がっこうぐらし! 3話
めぐねえ視点での前日譚。仕事でちょっとした悩みを抱える、でもそれでも平和な日々のいち教師の一日が、出勤間際や運転中に鳴るメール着信音や、救急車やパトカーと、職場で目にしたニュース…その後どうなるかわかってるのに、いやその後どうなるかわかっていることを前提にした展開の順序立てが素晴らしく、どうなるかわかってるのにハラハラドキドキさせられる。
今回はゆきちゃんが、夢見がちな格好と言動で周囲から浮いた子という背景が描かれて、そんな彼女だからこそ、目を覆いたくなるような現実を妄想で糊塗することができたのだろうと思えて切ない。ゾンビ化した想い人をスコップで一心不乱に突くくるみを、たまらなくなって取り押さえたゆきちゃんの、『ゾンビ化した人をスコップで一心不乱に突く子』という光景を信じたくないし見たくもないというようなそんな念の必死さが伝わってきてこっちもたまらずもらい泣きした。
また、すでに背景が語られたくるみも、その手にしたスコップが持つ意味と、それを持つがために自身だけでなく、現実逃避するゆきちゃんからも思い出させられてしまうという状況も悲しい。
そして、教師に向いてないということが繰り返し強調されてきためぐねえは、だからこそ、生き残った子どもたちを守るために、脅威と懸命に戦ってきたのだろうと思えて。自分だって心細いはずなのに、生徒たちと共に寝ないのもそうした背景があるのか、今はもう心細いという感覚も壊れてしまってるのか。悲しい方向に想像力をかき立てる描き方がまた上手い。
りーさんやみーくんの背景は今回は描かれなかったけど、今後掘り下げてくれるでしょう。過酷な状況下で、片や身を寄せ合い、片や孤独に、今をさり気なく、かつ懸命に生きている様子に涙々。ホラーとしての手際が見事なら、サバイバルモノとしての手際も見事だし、人間ドラマとしての手際も見事。立脚点としての『萌え要素』が生む各方面への振り子効果が絶妙に効いてる。いい仕事。