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アイドルマスターシンデレラガールズ 16話

美城常務の次の手は、所属するアイドルたちをバラエティ番組から外し、歌と踊りで見せるアイドルの原点に立ち返ることでブランド力を高めよう、というもの。

これまでの346プロの、個性を生かしたバラエティ豊かなアイドルたちを多方面に売り出す、というコンニチの戦略とは異なるもの。人の心をつかむのに答えはないと僕は思ってるので、どちらが正しいとは一概には言えないのだけど、本作は美城常務の方針と対決する姿勢を見せてきた。それは本作の世界での346プロのアイドルたちだけでなく、アイドルマスターというコンテンツそのものの姿勢を見せよう、ということだろう。制作者側が2次元とはいえアイドルに深く関わっているからこそ、立場を曖昧にせず、価値を選び取ろうという並々ならぬ意欲を感じる。

さて、バラエティ方面で活躍するアイドルが集められて、美城常務の方針が伝えられるわけだけど、そのなかでウサミン星からやってきたウサミンというキャラで売り出し中の安部菜々に焦点があたる。

アパート住まいで自炊はしなさそう、永遠の17歳を称する彼女が、親には婿を探せと急かされるくらいにはキャリアを積んでると思われて、そんな彼女がここへ来て路線変更を言い渡される、そこに妙味がある。同じ憑依系キャラであるみくに、たとえ上の指示でも自分を貫き通すべき、と言われても、そのことで上と対立して地位を失うかもしれないと思うと、逆らうわけにはいかなかったのかもしれない。ステージでいつものキャラを捨て、安部菜々として振る舞う彼女に、観客から投げかけられる「誰!?」の声が痛い。

そんな彼女に、観客側からみくが、ウサミンでいることを強いる。後押しする。これは安部菜々に対する後押しであると同時に、自分に対する後押しでもあったのだろうと思うとじわりとくる。そして、それをどう思ったのかはわからないけども、おそらく安部菜々安部菜々でいることの限界を、ステージの短い時間で悟ったのだろう。ウサミンキャラを取り戻し、楓に続く美城常務への造反者となった。

失敗すれば後はない、とはいえ、ワンチャンスに裁量のすべてを任された武内Pが、それを生かして行き場を失ったバラエティアイドルを引き受ける。シンデレラというより梁山泊といったたくましさと賑やかさを見せる、アイドルたちの今後に期待が高まる。