ガッチャマンクラウズインサイト 11話
くうさま退治に奔走するGメンバーたち。しかし人々の空気の具現化であるくうさま、倒しても倒してもきりがない。根本的に戦い方を変える必要がある、そう考えたはじめは皆を集めて対策を検討することに。
空気を変えるには、まず人々を「満足」させなければならない。今の空気は「ゲルサドラを倒せ!」だから、ゲルサドラを倒せばいいんだ!ということに。
じゃあ本当にゲルサドラを倒せばそれでいいのかってったらそう簡単に事を運ばないのが本作の面白いところ。はじめがゲルサドラに扮して、他のGメンバーに倒されることで、とりあえず皆は納得するだろうと。ここで面白いのは、それがゴールでなく、スタートだということ。人々がその望みであるゲル討伐がなされたことで、とりあえず熱が冷めて話を聴くくらいの冷静さは得られるであろうと。そして、その狙いが、予想以上の…はじめにとっては予想通りなのかもしれないけど、ゲルサドラがGメンバーに追い詰められていく様子を見て、その凄惨さにこれちょっとやり過ぎなのでは…と「考え」始めたことで、くうさまが消えていく、というところはユニーク。ゲルが倒された、目的が達成されたから、でなく、目的が完遂する過程で気づき始めて沈静化する、人々に対する希望が見えて好感。
沈静化こそしたものの、未だくうさまがちらほらと残ってるところも上手い。本作はメッセージを伝えるために政治的背景だったり人々の思考だったりを簡素化してるけども、最低限リアリティは保とうという気配りもあっていい塩梅。
人々が話を聞けるくらいに我に返ったときに、種明かしをした上で、その意図を汲み取ってもらうことで、この問題を本当に理解してもらう、というのも好感。混乱が収まったことがゴールでなく、ここから原因を見つめなおし今後に役立てていく。いいバランス感覚。
人々の内発性に対する期待、世界のアップデートという理想を、鼻で笑うでなく、どうしたらその高みにいけるのだろう、と「考える」。「考えさせる」。その姿勢が眩しい。