アニメられる日々

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俺物語!! 24話(最終回)

雨の日に大和さんを迎えに行く途中、一之瀬と大和さんが車に同乗しているのを目撃して落ち込む猛男。直後、大和さんからデートのお誘いがあって気を取り直すものの、コンクールの応援をして欲しいという一之瀬の誘いとデートの日が重なり、デートをキャンセルする大和さん。

一之瀬にとって大事なコンクールだから、力になってほしいというのなら協力したいと、彼の想いに気づけずに額面通り受け取って協力する大和さんと、そういう事情を知った上で、そういう大和さんを好きになったんだからと、「誰にも渡したくない」思いを必死にこらえながら悶々とする様は、西城さんと猛男の件の時の大和さんの立場とうまく重なっている。

大和さんへの想いとパティシエとしての職業にかける情熱が同居している一之瀬の描き方も好感で、思い込みが激しく自意識が強いけども、大和さんに対しても仕事に対しても偽りのない情熱を注ぐ姿勢が憎めない。そんな彼に対して、大和さんを渡したくないという想いと仕事への情熱が結実して欲しいという猛男の姿勢からくる双方の闘いが爽やかで、コンクールの日に道具を忘れてしまったという一之瀬のために道具を持って駆けつける猛男と、それに対して素直な感謝を述べつつそれとこれとは別、というところにフェアプレイ精神をみた。

パティシエとしての自分の人生に大和さんは必要だから、付き合って欲しいという一之瀬に対して、パティシエとしての人生を応援したいけども、コンクールで金賞を取れたのは一之瀬自身の力だ、と「好きの理由」を半分ごっそり削いでしまう大和さんの切り返しが絶妙で、その上で「ウチの心は猛男くんにしか動かない!」と止めを刺してきて、相手に対して付け込む隙を与えないお断りに、相手に対する誠意を感じた。

こういう結果になることは予想はついたけども、猛男と大和さんの恋路を盛り上げるためだけのキャラにとどまらない一之瀬の描き方が、二人の関係に花を持たせると同時に、パティシエ一之瀬のドラマという広がりも持たせていて厚みのあるエピソードとなった。

 

総評

原作未読組なので、キービジュアルから非モテ男があたふたする物語になるのかな、と勝手に思っていたけれども、誠実実直でも強面大男であるために非モテ人生を歩んできた猛男と、外見にとらわれず彼の良さを汲み取ることの出来た大和さんとの運命的な出会いから始まり、本来なら主役級のルックスと性格の砂川がサポート役に徹するという新味があって1話めからグイグイ引きこまれた。

3話目で早々に想いが通じ合い交際がスタートするというのも新鮮で、誠実実直な猛男に性の別を問わす友達思いなスナが架け橋となって、容姿や周囲の声に惑わされず本質を見ることの出来る大和さんとが早々にお付き合いするという説得力があった。また、両思いであるふたりと周囲の人の良さが観ていて清々しいし、それでもきっちりすれ違いを描くところは見事な作話術。交際中の相手にあるいは自分に他の好意的な異性が現れたらどうする?や恋愛と友情どっちを取るの?や両親の馴れ初めや出産や病気などを通して、ふたりの恋だけにとどまらない奥行きと歴史も感じさせる盛り沢山な内容。最後まで興味をひくエピソードの数々で大いに楽しませてもらった。自信を持って人様にオススメできる傑作であった。