アニメられる日々

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ガッチャマンクラウズインサイト 12話(最終回)

人々の空気が具現化した存在・くうさまによる騒動、その張本人としてゲルサドラは処刑された。しかしそれは、カッツェの能力を利用してゲルサドラになりすましたはじめとGメンバーの自作自演であった。つばさはテレビを通じて、その経緯と理由を語り始める。

つばさがゲルサドラになりすましたというのは前回で明かされていたので、今回改めて経緯について語らなくてもいいと思うし、前回の映像の使い回しが多かったのは少々気にはなった。しかしこれは1期のラストがわかりづらいという声への反省からくるものなんだろうと納得はできる。そして、どんな窮地でも余裕を保ってきたはじめが苦痛に悶絶する様子は、はじめて彼女が人間らしく思えたし、それでも人間離れした献身を見せるところに心震わされた。

Gメンバーがゲルサドラを痛めつける様子を見て人々が気づき始めた時にある程度くうさまが消滅し、つばさがテレビで経緯と理由を説明し終えると、またある程度くうさまが消滅する。それでもまだくうさまはあちこちにいて、集団心理によるかりそめの連帯がそこかしこに見られる。今回の「敵」がいかに難敵かが伺える良い演出。

つばさが経緯の説明を終えると、代わって菅山首相が国民に問いかける。ゲルサドラを地球から追い出すか、地球に残してあげるか、ガッチャマンにおまかせか。例によってスマホ投票だけど、今回は締め切りは1ヶ月。その間投票内容の変更もOK。よく考えて…というのがポイント。はじめらの行動がセンセーショナルに報じられて、また空気が反転しかけたけども、しばらくするとみな立ち止まって考えるようになる。猶予があるので人々の間で議論が興る。

ひと月経ち、投票が締め切られる。結果、辛くもゲルサドラは残ることが出来た。この票数の差が面白くて、「ゲルサドラを残す」が辛くも過半数を得て、「ガッチャマンにおまかせ」はほんの少数。「2:6:2の法則」通りになっていない。これは、理詰夢の理は否定されたということだろう。そして理詰夢の清々しい、満足気な表情。彼の理想は、ガッチャマンによって成されたのだ!このシーンは鳥肌モノ。人々は猿ではなかった、それは彼にとって喜ばしい発見だったのだろう。

今回、僕が一番感動したのは、ゲルサドラが救われたことでも、はじめちゃんが目覚めたことでもなく、もちろんどちらも喜ばしいことだけど、エンディング後のCパート、くうさまとクラウズが原っぱで球技に興じたり、かごめかごめをしているところ。連帯と個・その双方がぶつかり合い、手を取り合う、バランスが大事なのだ、と。その描き方、語り方のなんとユーモラスで微笑ましいことか。敵などどこにもいない、という本シリーズに対する作り手の誠実さに、おもわず涙があふれた。この上なく素晴らしい締めくくりでした。

 

総評

つばさちゃんという溌溂と可愛らしいガッチャマンの登場や、ゲルちゃんというこれまたちんちくりんと可愛らしい宇宙人の登場で、冒頭から興味津々だったけども、みんな一つになればいいのに…とのっけから怖いこと言うゲルちゃんに、そうだよねーと無邪気に抱きつくつばさちゃんと、何を描いていくのかが明快な導入。選ばれた人間が社会を動かすべきという理詰夢が、ゲルちゃんの恐ろしさから目をそらさせるいい役割を果たしていて、ガッチャマンなのに政治思想的ドラマが中心になっちゃったけども、それがとても楽しかった。

明快なモチーフなのに、先の展開を読ませない物事のパターンの外し方も上手く、正義が悪を倒すというヒーロー物としてはパターンをことごとく外してくるけども、世にはびこる「空気」という難敵にどう挑んでいくかというドラマとしては腑に落ちる展開を見せるところがユニーク。空気という圧力による支配は、選ばれた一部の人間による支配へと変わる。そうならないためには?という問題意識と、うーんとよく考えましょうという提案と、それによって世界は少しアップデートするかも、という希望と。明快なテーマを飽きのこない展開でうまく最後まで駆け抜けていってくれた。

こういった作風なら、新たにテーマを掲げて次回作も作れるのかも知れない。簡単に言っちゃってるけども、機会があれば是非!