アニメられる日々

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アイドルマスターシンデレラガールズ 24話

346プロに戻ってきた卯月。しかし未だ不安や怖れを払拭できず、それを抱えたままライブの日を迎えてしまった…。

勇気を出して346プロに戻ってきた卯月が、ホールの豪華な階段の前でいるところに美城常務が現れて「輝けない者は城の階段を上がれやしない」というところ、その直後に地下へ降りる階段を正面に、廊下の冷たそうなソファにに座る卯月、と背景で状況を描写するところ、城に戻ってきた灰かぶり姫が、未だ輝きを取り戻せずにいるという状況を視覚的に補填している。

前回、凛と未央が卯月と話をしに行って、言いたいことは全て伝えて帰ってきた。そして卯月は戻ってきたけども、明日に控えたライブの話になっても前向きでない様子の卯月をみて「嫌だ!一緒に出たい!」と凛。どうしても卯月と一緒に出たいんだという凛と、戻ってきただけでも嬉しいと未央。それぞれの卯月への想いと、それを受け止める余裕のない卯月とのシーンが切ない。

レッスンルームでのみくの卯月に対する叱咤、みくのアイドルという仕事に対する自分や同業者に対する厳しいスタンスが見れたのと同時に、叱咤にも激励にもTPOがあるのだと言わんばかりに出てくるきらりのフォローが有難い。

プロジェクトが立ち上がってから半年、皆がその時アイドルという仕事に抱いていた想いや憧れや不安などの心境を、それぞれの観点から語りつつ卯月を励ます形。そして卯月はかつてシンデレラプロジェクト発足時にアイドルたちの控え室となっていた、今は何もない部屋へ。かつては華やかな控え室だったはずなのに、そこには今は何もない。ここは、その部屋に卯月の状況を重ねたというより、卯月が半年前の気持ちを思い出そうとして立ち寄ったものの、何もない部屋に自分をネガティブに重ねてしまった、と解釈する。実際、皆のささやかな励ましは、今の卯月へは響かなかったようで、何もないと嘆く卯月に、そこに願いでもなんでも書いて!と渡された何も書かれてない星。それを手に、星に問いかけるように夜空を見上げると、曇りで星は出ていないという皮肉。

皆の想いとは裏腹に、卯月は不安を抱えたままライブ当日を迎えてしまう。会場へと向かう途中、かつて卯月がスタッフとして参加したライブの会場を目にし、武内Pの計らいでそこに立ち寄ることとなる。おそらくこの時点で、クリスマスライブに卯月が参加できる可能性は五分五分と武内Pはみていたはず。卯月がライブに出る勇気、そのきっかけが得られればとの武内Pの賭けだったのかもしれない。

ここで卯月は、公園で卯月や未央に話したように、その時と変わらない不安や怖れを武内Pに吐露する。ここは、卯月が「笑顔なんて誰でもできるもん!」を武内Pに直接ぶつけた形となった。卯月の笑顔は特別なんだ、それに励まされて皆頑張ってこられたんだ、と言うのが精一杯の武内P。そこで、「嬉しいです。でも…」「春はどうやって笑ってたんでしょう」ここで「でもわたし、凛ちゃんと未央ちゃんと進みたいから…」両手の人差し指でくっと笑顔を作る卯月。自分に自信がない、こわくて足がすくんでしまう、そんな状態で笑顔を作ることが出来ない、でも皆に置いていかれたくない、笑顔ってどうやって作るんだっけ…自分の見失い方が切ない。

ここで武内Pが賭けに出る。ここに留まるか、前に進むか。自分の気持ちの在り方の問題に対して、他者にできることはそれくらいしかない。他者の言葉ひとつで…それが凛や未央や武内Pであったとしても、人を変えるというのは容易ではない。特に卯月の場合は、自身の問題と向き合って答えを導くには行動するしかないので、それは後述するけれども、物事のままならなさ、今の卯月の問題のデリケートさがよく描かれている。

もうすぐライブ開始というところで卯月が到着する。まだ不安も恐れも解決したわけじゃないけど、とりあえず前に進むことを選択することが出来た。制服のまま衣装に着替えないというのは、時間がなかったからなのか、それくらいの時間はあるけども卯月がそう選択したからか、あるいは未央たちの提案なのか。開始前の3人の様子から、着替える時間はあったように思うけど、だとすると、これは卯月の挑戦なのかもしれない。気飾っていないありのままの自分に、キラキラした輝きはあるのか、得られるのか。不安や怖れは結局解消されないまま、しかし自身の問題と向き合うために、結局何も書けなかった星をポケットに、卯月はステージに立った。

ステージに立った卯月が、マイクを手に、しかし何をどうはなしていいのか口ごもる。焦る。笑顔になれていないと思う。人差し指で笑顔を作ってみせる…。自信の無さに押しつぶされそうになったとき、真っ先に励ましの声援を送ったのは、卯月の今に至る事情を知らないファンでなく、事情を知ってる仲間たちであった。ここはファンの声援で気持ちを切り替える、というのが自然な流れのように思えるけど、そういう風に描かなかったのは、彼女の不安や怖れを真っ先に汲み取って励ませるのは誰なんだろう、ということだと解釈する。

僕が気になったのは、凛や未央や武内P、皆の励ましを受けながら、それでも不安や怖れを拭えずにステージに立った卯月が、曲を終えて笑顔と自信を取り戻すきっかけはどこにあったのか、というところ。観客席での仲間たちの励ましは、背中を押したに過ぎないと考える。僕は、卯月が自信を取り戻したのは、「S(mile)ING!」という歌を歌うことにあったのではないか。歌い、歌詞を噛みしめることで、これまでの経緯を振り返って、今こうして歌えていることに輝きを見出したのではないだろうか。

「愛をこめてずっと歌うよ」最高の笑顔で宣言した卯月。それに応える皆の反応で、自身では確認できない笑顔の力を実感したのではないだろうか。おもわず何度も観てしまったライブシーン、観るごとにじわりと味が染み出してくる。最高に素敵な笑顔だった。何も書かれることのなかった卯月の星には、「愛をこめてずっと歌うよ」と書かれるのかもしれない。