食戟のソーマ 総感

街の定食屋「ゆきひら」を父とともに切り盛りする主人公・幸平創真が、父の気まぐれで料理学校・遠月学園へ転入することとなり、料理バトル「食戟」の日々が始まる、というお話。

開始前から料理を食べた際のリアクションがエロい、などと話題になっていたので、料理そっちのけでサービスに走るのかな…と思ってたらこれが実にしっかりとした取材・調査に基づいた、料理の雑学に満ちた本格グルメバトルモノ。実際リアクションは色っぽいシーンが多いんだけど、これもリアクションするキャラによってほんわかさせたりボケてみたりと、一口で語れないバラエティを見せていたし、ストーリーやエピソードもコミカルにシリアスに非常にバランスが良く、賑やかで楽しい画作り。

なにより料理の見せ方が素晴らしく、和洋中にこだわらずインドや東南アジアの庶民的グルメから発酵食品まで広がりを見せていたり、自分で育てた野菜や食肉からの料理もあればホテル・ショッピングモール・商店街など提供される場で求められるモチベーションの違い、チェーン経営や科学的アプローチによる料理など、最新の食事情を反映し、かつ総てを好意的に捉えて題材としていくところが好感。少年少女たちがプロをも舌を巻く料理を提供する、ありえない設定と過激なリアクションに地に足をつけてくれていたのが、料理への好奇心からくる取材・調査であり、題材に対する誠実さが結実した傑作であった。