アニメられる日々

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ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン 総感

妻子をニンジャに殺されたフジキド。その怒りと憎悪にナラク・ニンジャのソウルが呼応し、フジキドにナラクが憑依することで、ニンジャを殺すニンジャ・ニンジャスレイヤーが誕生した。汚染された空気と毒の雨、暗黒メガコーポにヤクザ・ソウカイヤ、そしてニンジャが支配するマッポー(救いのない・終末的な)の世界で、ニンジャスレイヤーの復讐劇が始まる。

ブラッドレー・ボンドとフィリップ・ニンジャ・モーゼス共著の小説。ツイッターでじわりじわりと話題になっていったように記憶している。いわゆる「忍殺語」で遊ぶツイッタラーのほうをTL上でよく見かけたのだけど、肝心の元ネタはどこにあるんだろう、と思いつつ静観していた。「ドーモ」「◯◯サン」「アトモスフィア(雰囲気)」「~めいて」「マッポー」「ワッショイ!」「ゴウランガ!」「ミヤモト=マサシ」「古事記」など、誤解や曲解による日本文化や言葉が面白おかしく取り上げられるケースを良く見かけたので、そういう誤解や曲解による日本文化・ニンジャをあえて可笑しく演出したコメディなのかな、と思っていた。

アニメ化するとあってようやくどういう作品なのか知ることになるんだけども、まず切絵人形劇のような簡易的な作りだったのはちょっと残念だった。予算とかいろいろ都合があるからしょうがないかと諦めて観てみるとこれが面白い。予算がない、厳しいであろう状況を逆手に取った演出、一見おふざけにみえて、いやおふざけでもあるんだろうけど、それが視聴者でなく内側に向かっておふざけしてるから、自らの苦境を面白味に変えていく姿勢が小気味良い。「フリクリ」や「アベノ橋」の頃のガイナックスのいたずらっ子のような気質を感じた。

事情的居直りのような作りに見えて丁寧にポイントも抑えていて、ブラウン管テレビのような画像比率にカートゥーンのような本編のシーンを編集した風のOP映像にクレジットタイトルのフォントは海外のアニメが輸入されたような、懐かしい感覚にさせてくれる。8分30秒~9分50秒までのシーンなどは、地の文をナレーションとして生かしたことがシーンを劇的に盛り上げていて、このシーンで心わしづかみにされた。

ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン 第1話「ボーン・イン・レッド・ブラック」 ‐ ニコニコ動画:GINZA

これがきっかけでコミック版を読むことになったんだけど、これがまた面白くて。本作がコメディでなく、アメリカンスーパーヒーローものの文脈の骨太なサイバーパンク・バトルアクションであったのは意外だったし、フジキドがニンジャになる動機と転機、倒すべき相手、復讐と苦悩…興味を引くアイディアと飽きさせない工夫…。こういったヒーローものはやはり本場というか手慣れたものだなと舌を巻いた。

アニメはすべてヌルヌルに動いてくれたら最高だったのになあ…と思ってたら来年春にはスペシャル・エディシヨン版としてTV放送するとのこと。ちゃんと動く映像になってると期待したい。