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コンクリート・レボルティオ 超人幻想 4話

神化41年。怪獣専門の巨大超人・グロスオーゲンが居なくなってからというもの、待っていたかのように怪獣が次々に出現。皮肉なことにそれは超人たちの活躍の機会となった。怪獣は悪であり、倒さなくてはならない。そう考える爾郎と、なぜ怪獣は倒されるべき悪という前提なのか?という輝子。ふたりは幼い怪獣を保護する人物たちと出会う。

 

まず今回は、超人課の実態の一端が垣間見えた回だった。課長・秋田と旧知の様子の二人との会談で、今回の事件の裏で秋田が怪獣ブローカーを利用して怪獣による事件を多発させ、超人を世間に認知させる狙いがあったこと、米軍が怪獣を軍事利用しているとの情報から、怪獣目的で米軍の介入を許したくない、また警察が嗅ぎまわってるので今のうちに怪獣ブローカーとの関係を断っておくべきという背景が明らかになる。超人を広く世間に認知してもらうという「正義」が、その手口で霞む。その正義の先に何があるのか、爾郎が後日超人課を去ったことを考えるとあまり良いものではないのでしょう。

そして今回は、爾郎と笑美についてもさわり程度ではあるが掘り下げられた回だった。神化14年・人吉博士と怪獣ガゴンの遭遇から始まり、神化17年8月・米軍と米超人たちによるガゴン戦、神化29年11月・爾郎と笑美の過去の出来事…と時の移り変わりが頻繁で理解に四苦八苦した。神化34年のメカガゴン(?)エピソードは本編の追記程度のものだからそのまま受け取ってもいいとして、神化29年11月の出来事は重要な箇所だった。

前述の怪獣ブローカーが、幼いガゴンが不憫だとかくまってた松本だった。生まれながらに悪とみなされ倒されていく怪獣を保護し、また怪獣によって人々に復讐を果たすのが彼の「正義」だった。こちらも秋田同様動機は結構だが手段は褒められたものでなく、本作の「正義とは何か」という問いかけに即したいいキャラ付けであった。それはいいとして、では大和右京なる女性は一体何者なのか?

大和右京は笑美が化けた姿だろう。おそらく秋田の根回しで松本を煽っていたのだろうと。しかし、ただ秋田に従ってただけなのだろうか?と思えるところがまた良くって、彼女なりの「正義」があるのでしょう。

松本の作り出したガゴンとの戦いで、その秘めた力の一端をみせた爾郎。おそらく神化29年11月に現れた「怪獣」は暴走した爾郎だろう。それを止めたのが笑美だった。人吉博士の言葉から、博士に断りなく爾郎を連れ出したようで、その時の爾郎の暴走にも笑美が関わってるのかもしれない。これが当たってるとしたら、怪獣を倒すべき悪としている爾郎が怪獣だった…ということもありえるわけで、なんとも面白くなったし、これまで前に出てくることのなかった笑美が、ぐっと本作の中心に絡んできて存在感を増した。人吉博士の「正義」はどの方角を向いているのかにも注目したい。

本作は、今日に至るまで綿々と描かれてきた超人的な主役たちとその正義を、その時代だけを切り取るのでなくその後を描くこと・過去と未来を描くことで登場人物たちの心情の移り変わりが見て取れて、その時だけなら肯定できたものに疑問符がついたり、その時腑に落ちなかったものがしっくり来たり…「正義」というものが主観的であることが上手く描かれている。その捉え難さに苦悩や葛藤をしつつ、それでも正義を求め続ける者が、本作の主役なのだろう。今回ばかりは嘯くという様子でもなく、心から怪獣を「悪」と信じて疑わない様子の爾郎の気持ちが、今後どう変化していくのかに期待。