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すべてがFになる THE PERFECT INSIDER 6話

事件の真相を知りたい萌絵だったが、事件に巻き込まれるのを懸念し島を出ようと研究所を後にする犀川。しぶしぶついてきた萌絵はご機嫌斜めで、ゼミの仲間たちと合流すると事の顛末を愚痴混じりに報告する。一方で、ひとり事件について思考を巡らせる犀川のもとを山根が訪ねてくる。曰く、事件が明るみになると研究に差し障るので、一週間だけ他言しないでほしいとのこと。一度は断った犀川であったが、自身の事件への興味を萌絵に突かれ、真相を探るべく再びふたりは研究所へ戻る。

原作未読なのでわからないけども、ご機嫌斜めな萌絵がヤケになって手を出したノンアルコールビールは、原作ではビールだったんじゃなかろうか。未成年の飲酒は社会的にはダメだけども、もしそういう配慮から変更がなされたのだとしたら不自由なことで、自由と束縛に焦点を当てた本作に符合してしまっているのは皮肉なことだ。しかしながら話の前後がおかしくなってないので、変更があったかどうかは気にしなくてもいいようにはなってる。それでも、未成年でありながら酒に手を出してしまう、そういう社会的な悪を成す人の人らしさもまた魅力的で、もし変更がなされてるのだとしたら惜しい所ではある。

今回は、犀川自身が理想とする環境で働く人たちもまた、自身と同じような不自由さを抱え、犀川自身をも縛ろうとしてくる、そんな山根とそれに必至で抵抗する犀川とのやりとりが、リアリスティックでありかつドラマチックでもあった。人が生きていく上での自由と束縛に焦点を当てた本作らしいやりとり。

一度は島を出ようと考えたのに、それが揺らぎ始めたのは山根の行動によって「部外者」から「関係者」になってしまったからなのか、それとも自由を束縛する者に対する挑戦だろうか、はたまた隠蔽されようとしている真賀田四季の死に報いるためか。いずれにしても、その犀川の心変わりを、花火を通して萌絵が察知するという件がなんともロマンチック。これ見よがしでも気取りも感じさせないのに、さらっとお洒落に決める作話の手際にうっとり。

本作のタイトルであり、事件のキーワードでもある「すべてがFになる」。このFが16進数で、10進数だと「15」を差すと、15年前の事件に全て集約する謎の設定も実に美しい。まさに「すべてがFになる」。すべてはFから始まったのだ。