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コンクリート・レボルティオ 超人幻想 7話

神化42年10月。有楽町のバーに笑美を招いたウルは、輝子の『人々を魅了することで人々に無自覚に契約を交わし、その魂を糧にして力を得る、魔女ならぬ悪魔のような性質』について語る。一方、同時期に活躍する超人「アースちゃん」もまた、人々の救いを求める声を糧にする超人であった。超人課は今回、地球防衛軍に加盟するために国際会議に飛ぶ総理を阻止しようと羽田で行われると予想されるデモに対し、総理の護衛をアースちゃんに依頼すべく、輝子を通して接触を図る。

超能力を利用し悪事をはたらく「ダイヤイーター」に属していたジュダスとアースちゃんの出会いが今回の足がかり。大学で戦争を学んだというジュダスの選民意識を「バカー!!」と一喝するアースちゃん。「そんなに頭がいいならどうしていいことと悪いことの区別もつかないんだ!」だからお前はバカなのだ、そんな言葉が続きそうな辻褄の合ったやりとりの台詞選びが上手い。

「この世界はそんなに簡単じゃ…」「嘘をつくな!嘘をつくのは悪いことだ!」ジュダスの本心に対する「嘘」から発せられたアースちゃんへの「嘯き」。「この世界はそんなに簡単じゃない」という「嘯き」を「嘘」とするセンス が好き。

今回はアースちゃん大活躍とそれに翻弄される輝子の描き方がユーモラスでキュートだった。車が急ブレーキで縮まる漫画的演出なんていつ以来だろう。また、マウンテンホースのエピソードやメガゴンのエピソードなど、これまでのエピソードが重なってるのも楽しく。時系列が前後するからこそそれが重なった時に嬉しくなる楽しさ。

人の救いの声に呼応して現れ、解決していくアースちゃんが、いつの間にか人々にとっての善悪の基準となる。それを利用し、メガゴンのエピソードで取り上げられたマスターウルティマの怪獣軍団、それに当時学生側に立って反対の立場を取っていたアースちゃんを、今回は体制側につかせようとする超人課。職責と自身の正義に揺れ動く爾郎、かつてアースちゃんに嘘はつかないと約束したのに、諸々の事情で嘘を重ねるジュダス、一見迷いの無いようにみえて時折物憂げなアースちゃんと、善と悪とがダイナミックに渦巻く。

アースちゃんの理屈での悪・「嘘」によって救われる人が居た。そしてアースちゃんの「人の救いを糧とする性質」がどういう理由で与えられたのか…その理由を輝子が語ろうとしてジュダスに静止されたけども、序盤の輝子についての秘密がじわじわと効いてくる。輝子は悪魔かも知れない。人に「嘘」を処方する。甘美な夢を見させる。聞きたくもない真実を告げる…。受け取りようによっては悪魔にも見えるが、それでもそれで救われることもある。「正義」もそうだけど、「善と悪」も主観的なものだと再確認させられる構造になってて、それでもニヒルに居直るでなく、正解を模索し続けるところに悩める人の美しさがある。

一件の後、眠れないというアースちゃんに「嘘」こんぺいとうを処方する輝子。それを飲んでアースちゃんが見た夢は、父がいて母がいてきょうだいがいる団欒の夢。輝子が伝えようとしたアースちゃんの「人の救いを糧とする性質」の意味について、ネガティブな想像をしてしまって眠れなかったのかと思うと、切なくて涙が溢れた。

Cパート、神化47年4月の生田研究所分館にて、メガッシンとジュダスを連れた爾郎の前には眠れるアースちゃんと、これもまた強烈に後を引く締めくくり。これだけ時系列を前後に飛躍させて、心をぐっと掴んでくる構成に仕立て上げる手際は素晴らしい。