アニメられる日々

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すべてがFになる THE PERFECT INSIDER 7話

研究所に戻り、事件について聞き込みをする犀川と萌絵。ちょっとリフレッシュしましょうという島田の誘いに、犀川は萌絵を預けて聞き込みに戻っていく。島田に誘われるままに真賀田四季博士の作成したヴァーチャルシミュレーターを体験させられた萌絵は、仮想空間で四季の別人格ミチルに出会う。

萌絵の両親が事故で無くなった時、萌絵は「一人だった」と5話で語っていたけども、シミュレーターでのミチルとのやりとりの中で、萌絵の両親がなくなった時、そばに犀川が寄り添っていたことを思い出す。「人はなんのために生きるのか」萌絵は何度犀川に問いかけたことだろう。その度に、「辛い時にひとりで立ち上がれなければならない」と冷たく厳しく返してきたであろう犀川が、なぜそう萌絵と接してきたのかがここで見えてきた。

犀川は、萌絵が事故当時の記憶をほとんど忘れているのは萌絵にとって好ましいことだと思っていたのだろう。と同時に、両親のいない萌絵の「家族」になる「不自由」も抱えたくなかった。だから萌絵が事故のことを思い出し、生きる意味を見失った時、「僕がいるじゃないか」でなく「ひとりで乗り越えなさい」としてきたのだろう。事故のことを蒸し返して萌絵を惑わせてはいけないと思っただろうし、萌絵のわかりやすい犀川への行為に対する何らかの、とても強い遠慮も見える。表面上は「不自由」を抱えたくないという利己的な理由に見えるけど、犀川自身が萌絵への思いを何らかの理由でごまかしてるようにみえる。四季の妹・未来は、そんな犀川の内面に切り込んできたようだった。

そう思ってみると、5話の萌絵と犀川の衝突は、世界にたった一人と思っている萌絵が支えとしている犀川と、その重みから逃げんとする犀川との衝突の構造だったとわかる。独特な雰囲気を持つ犀川の表層に惹かれる島田に、本当は優しいところがあるんですと言いながら口ごもる萌絵が、なんだずっとそばに居てくれたんじゃんと気づいたところは萌絵のターン開始といった様相。犀川の内に秘めた思いを引き出すことができるのか、という駆け引きを楽しむラブストーリーが本作のひとつの軸となってる様子。それが密室殺人事件というミステリーとしてのもう一つの軸と分離すること無く、実に巧妙に絡まり合っている。

アニメオタクな島田のスク水もアレなら、島田が萌絵に貸したであろうどこか見覚えのある懐かしい虎柄ビキニもアレだけど、萌絵の妄想世界もなかなか振るっている。「もえ」の変Tシャツを着て生き生き爽快な犀川…。目にも楽しくアニメっていいなってしみじみ思える。ご褒美ご褒美。