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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 10話

整備の終わっていないバルバトスとともにおやっさんと三日月を残し、地球へと先発するオルガたち。当面はギャラルホルン管轄のアリアドネを目印に、海賊を警戒しつつ地球へ向かうのだが、イサリビにはテイワズからお目付け役及び経理のアドバイザーとして、テイワズの銀行部門に勤務するメリビット・ステープルトンが同乗することに。彼女は数日前、オルガが酒に酔い座り込んでいるところに声をかけ、ハンカチを差し出した女性だった。照れと不信感から距離を取るオルガ。火星の本部から届いたメールに様々な反応を見せる一同。そんな時、哨戒に出ていた昭宏とタカキが、海賊と思しきモビルスーツ群と遭遇する。

経験を得て自身をつけたシノとユージンの女性語りに対して、照れを古風なダンディズムで糊塗してみせるオルガの前に、あつらえたように現れたメリビット。面白くなってまいりました。酒に打ちのめされた無様な姿をメリビットに見られたオルガ…というのは、着替えのシーンを主人公に見られたヒロインのようでなんとも可笑しい。弱みを見られた女性である上に、テイワズのお目付け役という立場が気に食わないオルガがメリビットに見せる不信感と警戒心。観る者にとっても彼女はどうもきな臭いんだけども、オルガの乗るエレベーターに駆け込んでよろけてオルガにすがってみたり、「私の事が、嫌いですか…?」など、オルガにメリビットが時折見せる好意からくる言動が、ビジネスパートナーとしてなのか異性としてなのかどっちとも取れるところがまたなんとも蠱惑的。今や鉄華団を背負う「家長」となったオルガと、大人の女性・敵か味方かメリビット。弱みを見せられないオルガと、弱さに寄り添えるメリビットとの相性は抜群。最悪の出会いが燃え上がる愛に発展するドラマを生むか、そう思わせといて背後からブスリと刺してくるか…。

両親への不信からクーデリアが弱みを見せると、フォローに回ったアトラから壮絶な苦労話が語られる。ここで印象的なのは、アトラがあっけらかんとしているところ。クーデリアが表情に浮かべる深刻さと比べて、自分だけが過酷な運命を背負ってるわけじゃないとでもいうような、日常を語るようなアトラの軽やかさが、彼女だけでなくこの世界の子どもたちが抱える不幸をより深刻に浮かび上がらせる。路頭に迷い腹をすかせたアトラの前で、これは自分で稼いで得ためしだからやらないよと完食する三日月…そういった過酷な現実を、三日月の温情と雑貨屋のおかみさんの良心が照らす。悲しいけど救いがあり、それでも拭えぬ悲しみが涙を誘う切ないエピソードだった。

ビスケットやタカキに届いた火星の妹達からのメール…これが不幸のフラグにならなければいいのにと願っていると、張り切ったタカキが昭宏の哨戒に同行させてくれ!ときて、おいおい無茶するなよ…と思ってたら海賊と遭遇し、頼む無事であってくれ…と拳を握りつつ見守ってたら、昭宏の前でサーベルを振りかざす敵モビルスーツ!流れるED曲「オルフェンズの涙!」いやあああ!!というところで駆けつけたバルバトス!…この畳み掛けるような終盤にしてやられた。フラグを積み重ねておいて、その通りに展開していき、ED突入で絶望させる。この瞬間、走馬灯のように「シリーズ構成・岡田麿里」の文字が脳裏をよぎり、マリー!!よくもおおお!!というところでフラグをへし折る。観てるこちらの心を操るような憎い演出。よくわかってらっしゃる。しかしこういう演出をしてくるということは、今後もこういう危機はあるからね…その時三日月は来てくれるのかしらね…という事でもあろう。心構えはしておかねば。どうかお手柔らかに…。