アニメられる日々

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ワンパンマン 総感

地底人・深海人・宇宙人・怪獣…様々な脅威に度々さらされ、それに対応するヒーローたちがいる都市の、無茶苦茶強い無名のヒーローが主人公。

「ワンパンマン」のタイトル通り、某パンマン風のコスチュームに身を包んだスキンヘッドの一見ちょっと頼りなげなヒーロー・サイタマが、見るからに強そうな強大で巨大な敵をあっさり「ワンパン」で倒す、というところに可笑しみを見出すコメディ作品としてスタート。

本作はとにかく迫力満点・渾身の画作りで、スケール感の演出と、背景の描き込みが凄まじく、だからこそ、物凄いパワーを持った敵が暴れ回り、市民の生命が脅かされ、また準主役のヒーローたちが苦戦を強いられる、その過程で観ているこっちがフラストレーションを募らせていると、サイタマが敵をあっさり瞬殺してしまうため、パーッと発散されるはずだったフラストレーションが行き場を失いもやもやとした視聴後感を覚えた。コメディとして間違っていないし、そういうところに可笑しみを見出す作品なんだ、とわかっていても、これだけ作りこまれた映像を見せられると、やはり熱くなれる展開が欲しくなる。そういうもやもやが数話続いた。

熱を帯びてきたのがジェノスと共に行動するようになってからで、ジェノス視点で見るサイタマの強さの表現がたまらなくカッコよく、ヒーロー協会に加盟してからは、サイタマに「強いのに評価されない報われないヒーロー」という属性がプラスされると、「強いヒーローを皮肉ったコメディ」から「コメディも盛り込んだヒーローアクションバトル」へと変貌する。序盤に個性的な作風で読者を獲得し、軌道に乗ると王道路線に乗せるというジャンプ漫画的定石が鮮やかに決まった。

「強いのに評価されない報われないヒーロー」はなかなか払拭されず、結局そうならないまま終わりを迎えたけども、「今度こそは報われて欲しい」というフラストレーションを抱え続けているのは実に心地よく、そのフラストレーションが手に汗を握らせたし、終わって結局報われることはなくってぐぬぬ…と悔しく思っても、次こそは…という熱い気持ちに変化すると同時に、「ワンパンマンはまだまだ続くんだ」という安堵感と嬉しさもこみ上げてくる。サイタマの強さが評価される時が、「ワンパンマン」という物語の終わりなのかもしれない。