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コンクリート・レボルティオ 超人幻想 12話

神化43年8月、札幌。北洋診療所にてクロードにより医師たちが殺害される事件が発生。駆けつけた超人課と警察は、現場に居合わせた輝子も含めて捜査を開始。診療所が超人の人体実験を行っていたことが明らかになる。

神化42年に輝子が府立八方高校の化学準備室を訪れ、長川神先生より「魔界の住人用」の薬を処方してもらうところからエピソードが始まる。前回の幕引きと関係が無いようでいて、びしりと本編に絡まってくるのだから恐れ入る。素晴らしい構成。ニンジンのような薬は、輝子は風邪薬だと思ってるようだけど、前回のクロードやウルの様子から魔女の力を抑制する作用のものや覚醒させる作用のものまである様子。あるいは少量なら抑制効果があるけど、大量に服用すると逆に覚醒してしまうとか。ともかく、輝子と長川先生の関係が今後に大きく関わってくる。

神化43年8月の北洋診療所での事件から、北洋診療所で超人の人体実験を行っていたことと、戦時中「生田研究所」と呼ばれる軍の機関が超人の実験を行っていたこと、その出身者が一部アメリカに渡り、一部は北洋診療所でそれぞれ研究を続けていたことも明らかになる。アンタレス号の超人たちと同等の処理が北洋診療所でも行われていたことからそれまでの出来事同士の糸が繋がる。スーパージャガーによる超人課設立の経緯で見方の変わったはずの超人課観がまた揺らぐ。特に人吉博士の胡散臭さはうなぎ登りだ。まったく油断ならない。

輝子がクロードの落とした写真から、クロードを爾郎と勘違いする、爾郎に寄せる輝子の気持ちの根っこが垣間見えた回でもあった。神化42年に長川先生によって自身のレゾンデートルとして「正義」を見出した輝子、自身の「意味」を与えてくれた人…本来なら長川先生に想いを募らせるところを、クロードの「正義」に共感を覚える根拠としてその内に爾郎を見つけてしまったという遠回りが面白い。輝子が爾郎に惹かれる理由も、爾郎が「正義を追い求める者」だからなのだろうけど、目の前に爾郎がいるのに、クロードの方を爾郎と認識してしまうところがなんとも恋わずらいらしいというか、そしてそれは爾郎よりもクロードのほうが「正義の味方」らしいということでもあって、それを自覚してしまったような爾郎の焦りも味わい深い。

人吉邸に訪れた里見の言葉から、ついに「超人幻想」というワードが飛び出した回でもあった。いよいよ本題に入ったというところか。超能キッカーの「超人らしいことがしたい」「幻想じゃない」という問いかけに、正義・自由・平等のために戦うはずの超人が、実際には社会に利用されそれらを毀損してしまっている…そうならないために戦ってるんだとでも言いたげにクロードが出てくる。それに呼応する超能キッカーはじめ生徒たち、そして輝子。それに焦りを感じる爾郎と、いかにもそれが正解かのように誘導的に描かれてるけど、クロードを爾郎と勘違いしている輝子に対して、訂正しないクロードを見てるとどうにもきな臭い。もっとも、この世界では誰もが自分の正義を信じて行動してるから、何が正しいのか、何が正解なのかをつかむのは容易では無いのだけども、だからこそ先が見えなくて面白いし、「正義」を定義する難しさも的確に表現出来てると言えるのだけど。

電話で人吉博士と会話するクロード、そこで爾郎は人吉博士の口から大鉄くん事件の真相を知ることになる。ここが爾郎が超人課を去ることになる決定打となったようだ。そこに駆けつけた秋田の「肉体」をクロードが斬ることで、それ以降秋田の姿が見えない理由も明らかになった。いよいよ折り返し地点である。正義をめぐる目まぐるしい立場や気持ちの移り変わり…その先に「答え」はあるのか。正義を追い求める者たちの今後への期待が高まる。