アニメられる日々

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話数単位で選ぶ2015年TVアニメ10選

放送時期順。途中からブログ記事添付となってますがご容赦(小声

 

・SHIROBAKO 19話

制作デスクとして奮闘して来たみゃーもりも、トラブル続きでいっぱいいっぱい。そんな時、父親の療養で休職中だった矢野が戻ってくる。屋上で無力さを嘆くみゃーもりに、ひどい顔だと帰宅を促す矢野。目の下にくまを浮かべるみゃーもりの表情が痛々しくも可愛い。本作はアニメナイズされたキャラクターデザインの、眉間の皺や口元の歪みなど多彩な表情が魅力。翌朝にはみゃーもりも元気に出社し、矢野も本格的に復帰したとこで状況の整理に映る。

グロス請けのタイタニックに依頼した仕事の遅れを、ウチの都合で無理を言った責任もあると、矢野がヘルプを買って出てタイタニックに出向することに。また「三女」5話の演出を、サボりぐせがありなかなか捕まらないことで有名な「ヒゲ仙人」こと池谷氏に依頼するという。問題児の平岡も、後にわかることだが旧知の仲であるという強みを活かして手玉に取り、タイタニックまで同行させる。みゃーもりの仕事ぶりと情熱を腐し、俺なんてとっくに夢から覚めたけどなと言う平岡に、たまに何十年も夢が冷めてない人がいるけど、わたしはそういう人が好き、と強烈なカウンターを浴びせる。クールなようでいて、熱い一面が垣間見えた矢野。「離れてる時間が長くなるほど戻りたくなっちゃう」と言うように、一時戦線離脱したことも、内にある静かな火を燃え上がらせたのかもしれない。前半は、「グロス請けの制作の遅れを出向して手伝うことで取り戻す」「サボり魔の演出家を確保する」と、先輩らしく制作の仕事の引き出しの多さを見せたうえで、キャリアが長い分クレバーな面があっても腐ってるわけではない、熱をもって仕事をしているという平岡に対するカウンターが爽快に決まった。単に先輩らしさを見せつけるだけでないみゃーもりへのフォローと、言葉だけでなく行動で手本として振る舞っていく姿勢が頼もしかった。

後半は、みゃーもりが丸山社長と共に「武蔵野動画」に行くエピソード。随分昔に倒産し、武蔵野アニメーションが倉庫として管理しているという。そこに探しものを取りに来たという社長。多少乱雑にはなっているけども、当時の面影そのままという社内の様子が味わい深く、セルアニメ時代を思わせる塗料の山と紙媒体の多さ、日焼けした台帳らしきものに、でかい電卓に電話帳と黒電話…。固定電話が主流だった時代は、電話の横には必ず電話帳があったものだ。ともかく、自分の知らないはずの光景でも、懐かしいと思えるモノがある風景が魅力的。社長もあの頃のまんまだ…と感慨深げ。

セルアニメについて説明しながら当時の苦労を思い出し、それに比べたらほんと進歩したよ、という社長に対し、「本当に進歩しているんでしょうか、今、本当に面白いアニメが作れているんでしょうか。今の私の頭の中は、面白いものを作るというより目の前のトラブルのことばっかり…いい作品を作るためのアイディアなど何一つなくて、じっくりと名作を作れてたあの頃のほうが今よりも良かったんじゃ…」とみゃーもり。すると社長は「チャッキーの頃だって全然じっくり作れてなかったよ。いつもトラブルばかりで時間もなかった。いやトラブルを自分で作ってたかも知れないな、楽しかったけどねえ」と。

それが信じられないとでもいうような訝しげな表情で、消えかかったチャッキーのセルを眺めるみゃーもりは、ふいにけたたましく鳴る黒電話とデスクを叱咤する声にハッと周囲を見ると、そこには在りし日の武蔵野動画の慌ただしい光景があった。電話対応に追われるデスク時代の丸山社長、杉江さんと後の杉江婦人の姿も。そして背景の大倉さんが新人の頃に、丸山の口添えで美術監督のイメージとは違う背景を勝手に描いたエピソード。これは前話でみゃーもりが大倉さんに背景を依頼したエピソードから繋がるのだけども、「トラブルを自分で作ってたかも知れないな」という丸山社長の談とも重なる。忙しい、トラブルばかりで時間がない、そんな中でもアイディアを出して、遠回りしてでも面白いものを作ってきたんだ、そういう丸山社長の、みゃーもりへのアドバイスでもあった。そして、その背景によってキャラからすべて差し替えたという映像を実際に見せるというサプライズつき。このサプライズにも、武蔵野動画が倒産した後の物語も盛り込む念の入れよう。ミルフィーユのような作話構造に圧倒される。

みゃーもりの心象風景が終わると、忘れ物であった武蔵野動画時代の全員集合記念写真を持って帰る。帰りの車内で「ただがむしゃらに、面白いことをやり続けていた。気がついたらこの歳になっていた」と自身を振り返る丸山社長。楽しそうで羨ましいというみゃーもりに、「今、楽しい?」と聞く丸山社長。「楽しい…私、楽しいです!あの頃にだって負けませんから!」みゃーもりから見れば凄い・羨ましいというような経歴、その入口に、実はみゃーもりも立っているんだ、と気づかせてくれる。

大倉さんもまた、映画の看板描き志望だったが職がなく、アニメ業界に流れてきてがむしゃらに働いてきたと自身を振り返る。大倉さんの場合は、「自分の望む道では無かった」というところがポイント。「自分の望む道ではなかったけども、やってみたらこれが面白くて、気がついたら40年…。人生って不思議だよなあ」誰しも望む道に進めるものではない。むしろ望まざる道をがむしゃらに進んでいる人のほうが圧倒的に多いはずだ。その圧倒的多数にも響く、アニメ業界モノながら、すべての仕事人に通ずるメッセージに勇気づけられた。

毎日毎日慌ただしく、ふとこれがいつまで続くのだろう、この先に何があるというのだろう、不安になる時がある。しかし時が経てば、その不安も苦悩も葛藤も、笑い話にできる日が来るかもしれない。そうなれるかどうかは自分次第ということだろう。そうなるように、なるべく自分のしたいことを出来るよう努力しよう。日々ベストを尽くそう。また明日も頑張ろう。そう思える、過去と今をつなぎ、エールとする良エピソードだった。

「梅干しを食べてすっぱーい!という表情の作画」の為に実際に梅干しを食べて…というシーンや、在りし日の武蔵野動画の光景に、池谷氏や大倉さんのコミカルな一面、アンデスチャッキーのEDで締めたりとお楽しみも盛り沢山。本題は決して軽くはないのに、誰にでもわかるようなとっつきやすさでかつポジティブにメッセージにする手際が素晴らしいエピソードでもありました。

 

・ローリング☆ガールズ 12話

広島での自警団同士の抗争、その背景にある10年前の事件の謎…物語が最高になんやかんやでてんやわんやに盛り上がりを見せる最終回で、しかし重要なのはその「大事件」でなく、ノンスケ・ゆきっぺ・うーたん…3人のモブたちに千綾が寄り添ってきた、そのささやかな物語の締めくくりにあった。

宇宙船ストーンフィッシュが完成し、宇宙人である千綾は帰らなければならない。おみやげを貰って、二、三言葉をかわし、お互い湿っぽさを見せず一旦は別れはしたものの、別れることに実感がわかないようでいた一同がたまらなくなり、去っていく宇宙船を走って追う。日が沈んだばかりの、濃青色の海岸に、桃色がかった白く煌めく大きな月に重なるストーンフィッシュ、「月の爆撃機」をガーリにポップに、それでいて重量感ある光景で表現。海岸を走るノンスケが、全力疾走しながら宇宙船に向かって両手を振る。足元を見ていないから砂浜に足を取られてよろける。それでも体勢をたて直してまた追う…その間、ノンスケたちの心情は一切語られないけども、光景が惜別の思いを物語る、涙が止まらない名シーン。千綾とノンスケ達が、この物語よりずっと以前に実は会っていたことも優しく囁くように語られ、「バイバイ」とシンプルな別れの言葉がキュンと胸に刺さる、切なくも美しい良エピソード。最後に「石」とはなんぞや、も明らかになって、日々熱を持って生きていればいいことあるかも、というささやかなエールで締めるところも可愛らしい。これまでの出来事の積み重ねが効いた最高の最終話だった。

 

・グリザイアの楽園 8話

囚われた雄二を奪還すべく、少女たちが「タナトス」の支持に従って奪還作戦を遂行するエピソード。護送される雄二を奪還するにあたって、ある者は護送車両のルートから狙撃に適したホテルで準備をし、ある者はスーパーで煙幕や爆弾の材料を調達、またある者は逃走車両を手配し、ある者は雄二の「お得意様」から「ブツ」を預かる。現実味よりもドライブ感を意識した、ハリウッドのアクションムービーのようなテンポのなかで、場違いなはずの少女たちが軽やかに任務を遂行していく様は痛快。また「タナトス」という高度な知性からの指示と、壮絶な人生を歩んできた彼女たちが、一連のありえない展開に奇妙な説得力をもたらしてるのも面白味に寄与している。

雄二を奪還して逃走すればヘリに追われ、万事休す…というタイミングでミリーがヘリで現れて敵をボッコボコに打ち落とす、という件も爽快。逃走車両が軽トラというセンスもぶっ飛んでるけど、逃走先で迎えに来たのが潜水艦だった、というスケールもイカれてる。潜水艦から「タナトス」こと風見一姫が姿を表し、天音と再会を果たす。完全には終わっていなかった、ひとつのエピソードが終わった感慨がこみ上げる。劇的なエピソードの多い本作で、今回を選んだのは、シリーズ中最も痛快で印象に残ったから。ただただ爽快なだけでなく、過去のエピソードのサプライズも込められた、これまでの苦難の物語のご褒美のような楽しい回だった。

 

・響け!ユーフォニアム 12話

 8話とどちらにするかすごく悩んだけども…やはり部活モノとしての、吹奏楽部の熱量を一番感じたのがこのエピソード。滝先生が来てからの本気モードの吹奏楽部にあって、主役である久美子が熱くなれば、全体の熱量がぐんと上がるのも当然。

 

・やはり俺の青春ラブコメは間違っている。続 13話

聡明で冷静で芯が強くみえる雪乃の、流される弱さがはっきりと語られた衝撃的な回。ひりつくような関係性の緊張感がピークに達した回だった。 

 

放課後のプレアデス 12話

この物語が何を語ろうとしているのか、みなとくんのその後を以ってそのすべてが見渡せたのがこの最終話。みなとくんに都合の良い奇跡が起こらないことで、報われない魂に誠実に向き合い、涙を以ってその悲しみを慰撫した。ポップなビジュアルとは裏腹に、現実を嘘で糊塗しないシビアさも併せ持ち、それでいてポジティブに着地させる、現実への誠実さと、その上で希望を提示する責任感が好感。 

アイドルマスターシンデレラガールズ 23話

卯月の苦悩に迫る、シリーズ中最もインパクトのあったエピソード。苦悩が卯月をじわりじわりと追い込んでいく様子、養成所で一心不乱に踊る卯月の様子が痛々しい。公園での卯月のちぐはぐな格好は魔法の解けた灰かぶり姫のようで、弱々しい姿が不憫で涙が溢れてきた。 

 

・Charlotte 8話

兄を助けるのは無理と、そう考えていた奈緒に、有宇が演出した奇跡。有宇との電話で声が詰まる奈緒にこみ上げるものがあった。自分は何も出来ないと思っていたが、「カンニング魔」有宇を変える力を持っていた、そのことに気付かされて勇気づけられたのかもしれない。 

 

のんのんびより りぴーと 10話

駄菓子屋とれんちょんとの一連のエピソードに心が温まり、少し寂しくもあり…ちょっぴり成長して、でもまだまだ子どもなれんちょんから、緩やかな時の流れを感じ癒やされる。

 

・落第騎士の英雄譚 10話

東堂刀華「雷切」の「凄み」の演出が強烈なインパクトを与えたエピソード。シリーズ内で突出したエピソードであったこともあり、話数単位で選ぶとなると真っ先に思い浮かんでしまう。 

 

以上です。ポンと脳裏によぎるエピソードが実際に良いと感じたかというと必ずしもそうではなく、これだと書いてみては話数単位でなく総合的な話になっていて違う違うと消したり、またポンポン浮かんでくるエピソードが同じ作品だったりと、選定にえらい悩みました。総合的に気に入っている作品と必ずしもシンクロしないのも、話数単位の妙ですね。