アニメられる日々

アニメ感想ツイート保管庫(暫定

2015年TVアニメ39選(+α)

主題歌・OP・ED・話数単位ときて、最後は作品単位。こちらはもう好きな作品を好きなだけだらだらと並べていきたいと思います。次年度継続枠は保留で。

 

・2015年冬アニメ(1~3月期)

 寄生獣 セイの格率

キャラデザ一新に平野綾さん声のミギーと物議をかもしたけど、20年以上も前の原作なのでかえって良かったという印象。実際それくらい前に読了した身だけども、記憶がほとんど無くなってるので新鮮な気持ちで楽しめた。派手さこそ無いものの丁寧な処理の画作りで終始安定していた。

 

四月は君の嘘

シーズン2は、これまで忍ばせていたかをりの体の不調の伏線がより色濃くなって、命にかかわる状態だとわかると毎度祈るような気持ちで観ていた。照れ隠し的なユーモアや、やや過剰な心象描写がこそばゆく感じることもあったけど、淡くカラフルな色使いと渾身の画作りに飲み込まれていった。

 

暁のヨナ

2クールかけてじっくりと、追われる身の皇女ヨナの成長を描いていった。ハクという無双のボディガードに四龍という神の圧倒的な力も従えながら、彼らに決して甘えず自身で道を切り開こうと努力するヨナの振る舞いに心揺さぶられた。

 

東京喰種√A

前期で喰種として覚醒したカネキが、「あんていく」を去ってからの、あんていくの面々と、CCGの捜査官たちの双方の立ち位置から、喰種と人との相容れぬ関係と避けられない衝突が生む悲しみの物語に深く踏み込んだ。不在のカネキを追うように勉強に励むトーカ、亜門と亡き恩師の娘・アキラとの師弟関係の妙、芳村店長と篠原の味わい深い前哨戦など、ドラマが面白い。画も高水準で安定していた。

 

SHIROBAKO

オリジナルアニメ制作で一区切りついた前シーズンから、シーズン2は原作付きアニメ「第三飛行少女隊」の制作にとりかかるところからスタート。デスクとして制作を仕切ることになったみゃーもり。癖のある新人たちも加わり、原作者の2度にわたるダメ出し、グロス請けの進行遅れに職場内での揉め事など、原作付きアニメならではの特徴にトラブルも交えながら、制作の流れを紹介しつつ、アニメ制作の今と昔も盛り込み、各々の業界に対する想いも込めて、みゃーもりたちのドラマとして見事にまとめてみせた。業界見学的にもお仕事ドラマとしても楽しめて、関係者のみならず業界を志すもの、社会人、新人から勇退した方…子どもからお年寄りまで幅広く響くメッセージを込めたエンターテインメント。ストーリーから画から細部に至るまで、同水準の作品はまた作ろうと思っても作れるものではないだろう。贈り物のような稀有な作品。

 

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース

ジョジョシリーズの中でも人気の3部。間違いなく面白い原作という強みではあるけど、原作の雰囲気を余すところ無く再現するセンスと手腕があってこそ。

 

冴えない彼女の育て方

文化系部活モノで、序盤は皆がどこまで真剣に取り組んでるのか疑わしいところがあったけども、どうやら真剣に取り組んでいくようだとわかってからは楽しめるようになった。各々のやりとりの微妙なニュアンスから可笑しみなり情緒なりを感じ取る作風なので、高水準の画作りがあってはじめてその細やかさが伝わってくる。心地よい微風のような作品。

 

ローリング・ガールズ

「なんやかんやで~」と世界観が語られるように、最初はどこに軸足を置いて良いのか戸惑ったけども、モサ(強者)たちの巻き起こす大事件でなく、モブ(群衆)たちの小事件にメッセージが込められてるとわかってからは楽しめるようになった。カラフルでポップで賑やかな世界で、少女たちの見た目には可愛らしい行動の根底にあるひたむきさに心打たれる。OPでの「ガンバレ!」もまた、彼女たちが何者なのかがわかって初めて力を持った。傍目にはキュートでも、彼女らにとっては精一杯の心の叫びだったのだ。

 

DOG DAYS

1期も2期も観てない状態で、どんなもんかと覗いてみたらこれが面白かった。戦争が命の危険のないスポーツになっているという優しい世界で起こる異世界ファンタジー、問題が起きては主人公たちが解決していくというわかりやすいストーリーで、気軽に楽しむことが出来た。可愛らしいキャラたちとそのやりとりも魅力的だったけど、本作は背景や小物がさり気なく凝っていて、ありもしないはずの世界が生々しい質感を持っていた。

 

神様はじめました

2期作。コミックがそのまま動き出したようなユーモラスな世界観は健在。1期と基本的に似たような出来事だけども、コメディをベースとしたストーリーが賑やかで、終始退屈を覚えることなく楽しめた。

 

 

・春アニメ(4~6月期)

俺物語!!

本来なら主役級の美男・スナを脇役に、大男の猛男とちっちゃかわいい大和さんとが出会い、早々に恋愛をスタートさせていく、恋愛関係となってからのなんだかんだが凄く面白いラブコメディ。時々二人の恋路に横槍が入るものの、どのキャラもいい人ばかりで観ていて清々しかった。男が見ても魅力的に感じる猛男に大和さんに周囲の関わり方、どこにも嫌味がなく暖かく見守っていられる恋愛モノというのは新鮮。コメディとしてのセンスも抜きん出てて、「ムラサキフジ大学」のエピソードは腹が捩れるかと思った。

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

前期から制作会社が変わり、キャラデザも一新して物議をかもしたけども、ひりつくような人間関係を描く上で、表情や仕草、カメラワークによって、前期よりも描写が雄弁になったと評価したい。リアリスティックな学園ヒエラルキーから生まれるリアリスティックな出来事が、少しのフィクション的勇気ある言動から動くドラマに、毎度固唾を呑んで見守った。最終話にテンションのピークを持っていく構成が見事。

 

放課後のプレアデス

SUBARUとガイナックスのコラボとあって放送前から期待を寄せてた本作。魔法少女モノで可愛らしく、ホウキを車に見立てるセンスがユニークだなあ…と思っていたら、見進めるごとにメッセージが厚塗りのように盛り上がってきて、時の流れからくる成長、避けられない卒業・離別・そして宿命…。それらをフィクションで糊塗するでも忘却するでも逃避するのでもなく、それらとの向き合い方を提示して、怖れず前に進もうよという厳しさを含んだ希望を提示したスケールの大きい作品となった。陰鬱に傾く懸念をはらんだテーマを、ポジティブに締めくくった舵取りが嬉しい。

 

シドニアの騎士 第九惑星戦役

人類がその脅威・奇居子(ガウナ)から逃れるため、地球を離れて約1000年後…。流浪する播種船「シドニア」の奇居子討伐隊・衛人操縦士たちと奇居子との戦いの物語、2期作。今回は星白を捕食した奇居子のエナから人工的に作られた「白羽衣つむぎ」が仲間に加わる。奇居子の脅威に怯える殺伐とした宇宙、シドニアの置かれたシリアスな状況下で、イザナや纈、仄シリーズに、つむぎが加わって、彼女らの好意に囲まれる谷風というハーレム状態、マンガ的なお楽しみがご褒美的に嬉しいシリーズとなった。CGで描かれるダイナミックな映像も含めて文句なしの出来。ひとつ残念といえば、先に原作を読んでしまったこと。記憶を消して観ることができたら感動もひとしおだったろうけど…。

 

血界戦線

ニューヨークが異界の住人たちの住む混沌とした街・ヘルサレムズ・ロッドになったという世界観がまず面白い。そして、人類と異界の住人が共存するHLが、それでも違和感なくニューヨークであると思えるところもまたユニーク。もちろんこれは「僕の好きなアメリカ像」のそれなのだけども、その中での彼らはきっと街が異世界人だらけになっても軽口や鼻歌交じりに日々を過ごしていくだろう、そういう僕の好きなアメリカ観に、バチッとマッチした世界観がたまらなく魅力的だった。ホワイトとブラックの物語が湿っぽすぎて、HLのバイタリティあふれるポジティブな雰囲気を削いだのが少々気にはなった。

 

えとたま

干支神の枠にあぶれた猫神・にゃ~たんが巻き起こすドタバタが賑やかで楽しく、少々毒を含んだネタが可笑しく、悲しい別れがあっても翌週にはケロッとしれっとしている挑発も可愛らしいとさえ思えた。ちょっと昔のドタバタコメディのような尖り方が好き。バトルシーンだけCGでキャラがデフォルメ化する、というのも不思議と違和感なかった。

 

食戟のソーマ

料理バトル系漫画のアニメ化作品。お色気リアクションが話題となったけど、題材である料理関連のアイディアが凝っていて、和洋中だけでなく中東やアジアなどの食文化を盛り込んだり、食堂・ホテル・商店街・ショッピングモールと出される場や時間、マーケティングに至るまで、コンニチの食事情が反映されていて見応えのある作品となった。個性豊かで魅力的なキャラたちに、世代を超えた関係からくるドラマも楽しく、画も高水準で安定していた。

 

ニセコイ

ヤクザの息子・楽太郎とマフィアの娘・千棘との、お家の事情による擬似恋愛から始まるラブコメディ・2期。前回とほとんど進展なく終わりはしたものの、キャラたちの巻き起こすドタバタは楽しかった。シャフト的演出でありながら、ケレン味を抑えた色鮮やかできらびやかな演出は、シャフト演出のもうひとつの解のようで僕は好き。目でも楽しめる作品。

 

ハロー!!きんいろモザイク

きんぱつだいすき・しのとイギリスからやってきたアリス、そしてお友達との交流を描いたコメディ・2期。しのとアリスの関係に重点を置いた前期と比べて、今回は綾や陽子、先生たちとバランス良く回してコメディ色が増し、一層楽しくなった。特にカレンは大活躍で、アリスを怒らせたと勘違いした皆が謝ってるところを、どさくさに紛れて「アリスの実家の花瓶割っちゃったの、実は私デース!」と告白する件は可笑しかった。

 

響け!ユーフォニアム

全国を目指す真剣部活においても、個々のモチベーションは様々。本作は、吹部がさほど有名でない高校に、実力ある顧問がやってきて全国を目指すことになり、これまでと状況が一変した部員たちの、あるものは部を去り、あるものはふてくされながら活動に取り組み、あるものは情熱を再燃させ、あるものはマイペースと、それぞれのリアクションが面白い。そんななかで、俯瞰を決め込んで流れに身を任せていたはずの久美子が、麗奈によって高みへと引っ張られていく様子が熱く、その様子はまるで隠居を決め込んだランボーを迎えに来た大佐的であり、8話での麗奈と久美子の情熱のイニシエーションは、『魁!クロマティ高校』の「お前の中に住む悪魔が見てえんだよ!」の一コマを思い出し、また久美子が夏紀とパートを争う部内オーディションにおいては、久美子のフクザツな心境を察した麗奈が「ビビってんじゃねえ殺るんだよ」的にダメ押ししてくるなど、バトルモノのような熱さがあった。音色で殴る文化系バトルアニメとでも言おうか。滝先生に麗奈の、熱気が伝播していくような熱さに燃えたし、それでも皆が一丸とはならないところに群像劇の面白さがあった。京アニの圧倒的な映像演出がみせる各々の感情の機微の表現もあってこそ。

 

 

・夏アニメ(7月~9月期)

ガッチャマンクラウズインサイト

前回はネット社会で浮き彫りとなる群衆に潜む悪意のインフレが脅威だったが、今回は群衆の無関心と一方的な善意の押し付けが生む閉塞感が脅威。ガッチャマンである必要があるのかと言われると疑問ではあるけども、ガッチャマンでやっちゃいけないのかと言われるとそれもまた疑問。ともかく、ガッチャマンという装置や設定によって、シンプルに構築された問題意識と啓蒙を物語として消化しやすく加工出来ていたのは事実。現代アート的なポップで洗練されたデザインの数々が視覚的に新鮮で刺激的であった。

 

城下町のダンデライオン

街の一見ごく普通な大家族・櫻田家は、実はこの国の王族だったのです!と設定だけでも面白いのだけど、9人きょうだいが次期国王の座を争って選挙活動をしていくのとそれぞれの日常・それぞれの学園生活が併行しているのも面白く、また9人きょうだいの4番目の三女・茜を中心に据えたことで、家では陽気でも外だと人見知りになる茜の家と外の表情のコントラストと、上と下に挟まれる立ち位置が生む様々なエピソードが楽しかった。選挙戦を争う関係なのに、皆きょうだい思いであることも魅力で、また9人きょうだい余すことなくバランス良くエピソードを用意したのも嬉しい。1話内に2~3本立てというどこから見ても面白い構造は、あとで観返すのにも最適。露骨なサービスシーンは殆ど無いのに、普段の何気ない仕草からドキッとするほどの色気を引き出す、その画がサービスとしてさり気なく機能しているのも特徴的。国民的アニメのように家庭的でありながら、深夜アニメの刺激も持ち合わせた作品。緻密さはないけども賑やかでコミカルで可愛くて、終始楽しめた。

 

Classroom☆Crisis

お仕事モノと学園モノとロケット開発モノと部活モノをミックスした、窓際部署A-TECの奮闘ドラマ。あれもこれも盛り込んでるようにみえて、しかしスッキリとドラマとして展開していく様子から、要素を詰め込んだのではなく、窓際部署の奮闘ドラマを膨らませていったとみえる。ストーリーは単純明快。学生らしいフレッシュさと大人のほろ苦さが共存し、全体的にライトな仕上がりとなっている。どう楽しめば良いのか視座に悩む声も多かったが、トレンディドラマとして見ればストンと腑に落ちるのではなかろうか。

 

わかば*ガール

きんいろモザイク」作者による原作コミックのアニメ化。少女たちの日常学園コメディ。作品が変わっても可笑しみの見出し方は一緒で、確実に美味しいお菓子のような作品。ショートアニメというのが少々物足りないではある。

 

アイドルマスターシンデレラガールズ(1st・2nd)

二次元アイドルの頂点らしいゴージャスな映像演出で、プロのアイドルのストーリーを、シンデレラ・ストーリーになぞらえてお届け。普通の高校生・渋谷凛がスカウトによってアイドルの世界に飛び込む。自ら望んで入ったわけではないという冷静な視点を持つキャラを中心に据えることで、アイドルたちの様々な動機と行動を、一歩引いた位置で見れる構造としている。正解なんてどこにもないアイドルの道を走り始めた少女たちの、それぞれの奮闘が、ときに可笑しく、ときに涙を誘う、多様なドラマを見せてくれた。

 

がっこうぐらし!

高校の「学園生活部」において、由紀を中心に日常ゆるふわコメディが展開すると思いきや、実はそれは由紀の見る妄想で…という衝撃のスタートで始まった学園ホラー作品。誰の視点でその光景が描かれてるのか、視点の切り替わりで浮かび上がってくる事実。少しずつ明らかになる真相にハラハラドキドキ、祈るような気持ちで終始楽しんだ。日常系をアンチするようにも受け取られかねない題材でありながら、日常系を失ってしまった取り戻すべき理想と位置づけているところが嬉しかった。

 

GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり

東京・銀座に突如現れた異世界の門から、突如異世界の軍勢が襲いかかってきた「銀座事件」を経て、今度は自衛隊を派遣し異世界を調査しようというところから物語が始まる。異世界の科学・軍事力が中世ヨーロッパの水準で、異世界で襲いかかる軍勢を自衛隊が駆逐していく様子は好みの分かれるところ。実際自分も嫌悪感を覚えたものの、同時に爽快感も覚えてしまい、結果的に爽快感のが勝ってしまった。自衛隊に対する異世界の住人たちの好奇心からくるリアクションや、逆に異世界の住人達を東京に招いてのリアクションが楽しかった。

 

オーバーロード

サービス終了間際のオンラインRPGにおいて、栄華を極めたギルドのマスター・そのプレイヤー・モモンガが、ひとり思い出に浸りつつ最後を迎えていると、サービス終了の時間が過ぎてもサービスが終わるどころか、世界の状況が変化し、自身も世界からログアウトできなくなった様子。どうなっているのか調査しようということになるのだが、その世界を極めたプレイヤーらしい引き出しの多さが面白く、強力なNPCをつき従えてどうなっているのか調査する、それだけの話なのにこれがすごく面白い。どうやら別の世界と結びついたようで、モモンガと同様のプレイヤーが暗躍している可能性からモモンガが隠密行動をしなければならず、それがアンデッド系最強のモモンガの無双を上手くコントロールしていた。魅力的なNPC達も含めて、「遠山の金さん」や「水戸黄門」的面白さ。

 

監獄学園

共学になったばかりの元女子校の少数の男子生徒が女子の風呂を覗いたことで「裏生徒会」に御用となり、学内の監獄で囚人生活を送ることとなる、男の悲しい性をコメディにした作品。裏生徒会に理不尽な扱いを受けてもご褒美としてしまう男の悲しい性の可笑しみと、男を毛嫌いするばかりに歪んだ性を発露する裏生徒会との攻防が可笑しく、また脱獄映画へのオマージュも交えて、脱出モノのスリルも盛り込んだ見ごたえのある作品となった。

 

干物妹!うまるちゃん

外では才色兼備なお嬢様で通っている女子高生・うまるが、家ではグータラの限りを尽くす小動物・うまるちゃんに変身するのだ!なコメディ作品。うまるのグータラっぷりだけでも可愛く楽しいけども、海老名ちゃんには外面モード、切絵ちゃんにはうまるちゃんモード、シルフィンにはカリスマゲーマーUMRモードなど、TPOに応じてキャラを演じ分けねばいけない状況が、物語に起伏を持たしていて飽きのこない充実した内容。タイヘイ兄ちゃんやその同僚で友人のぼんば達と、タイヘイ方面のエピソードも楽しかった。

 

のんのんびより りぴーと

田舎の子どもたちの緩やかな日常を描いたコメディ作品・2期。れんちょんが1年生になるところから始まりながら、1期と重なることなくエピソードを追加していく。1期と同様に進展こそ無いものの、誰もが郷愁を覚える田舎の緩やかな時間のなかで、子どもたちの思考や行動がフィクション的に刺激的で楽しい。今回はひか姉やかず姉と宮内家のエピソードが面白可笑しく、駄菓子屋との心温まるエピソードが素晴らしかった。

 

・秋(10~12月期)

ヤングブラック・ジャック

ブラック・ジャックこと間黒男の医学生時代の物語。医学生の間がいかにして闇医者となったのか、その波乱に満ちた軌跡を追う。手塚治虫とは異なる現代的な解釈のキャラデザであっても、どこか懐かしくそして熱い演出が、本編の激動の時代背景と奇妙にシンクロしていて、大塚明夫さんの語りも物語を加熱した。

 

すべてがFになる THE PERFECT INSIDER

森博嗣原作小説アニメ化作品。シックでカジュアルな雰囲気で統一された風景やキャラデザに劇伴がたまらなく好み。密室殺人ミステリーでありながら、社会的な問題意識や批判でなく、事象に科学的・心理学的・哲学的に迫る語り口や、自分たちとは違う風景を観ている人たちの、計り知れない思考からくるやり取りが 魅力。

 

ゆるゆり さん☆ハイ!

1期・2期から制作会社が変わり、コメディよりも関係性からくる雰囲気に軸足を置いた作品に一変。派手さは無くなったがやり取りの可笑しみは健在で、キャラ同士の関わりに毒気が抜けて心地よくなっている。じんわり噛み締めるごとに味が出るスルメのような作品。

 

俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツ!された件

事情から原作の「拉致」を「ゲッツ」に改題したことで、ゲッツといえばこの人とばかりにダンディ坂野さんとタイアップ展開するのだけど、作風を壊さない絶妙の距離感が好感で、タレント側と制作側双方の作品に対する理解が嬉しい。結果的に1話まるまるダンディ坂野リスペクトエピソードを盛り込んでも、まったく嫌味なく仕上がった。2ちゃんねるネタやパロディなどデリケートなネタの扱いも上手く、視聴者のリアクションを予想して先手を打つセンスが光った作品。庶民の文化に憧れる世間知らずのお嬢様達という構造からくる可笑しみもしっかり引き出し、キャラ同士の友情にホロリとくる厚みのあるコメディ作品となった。 

 

ワンパンマン

圧巻の描き込みの映像。サイタマを小さく、敵や背景を大きく描くことで、劇場版のような迫力の映像となった。ストーリーは強すぎるサイタマが巨大で強大な敵をあっさり倒してしまうコメディとしてスタートするのだけど、ジェノスとともに行動するようになり、ヒーロー協会に加盟してからは「強いのに評価されない報われないヒーロー」の物語へと変化する。ジャンプ漫画の王道路線に乗ってからのほうが個人的には熱くなれて好き。

 

ご注文はうさぎですか?

木組みの家と石畳の街で、カフェと甘味処と紅茶店とそれぞれで働く子たちの日常を描いたコメディ・2期。1期と同様に特別進展のない日常が繰り広げられるのだけど、可愛さいっぱいのエピソードの数々にほっこり暖かい気持ちになれる。母親不在のチノの寂しさが根底にあって、それが振り幅となって愛らしさが増す。シャロの家庭事情はすでに皆の知るところとなってるからか、今シリーズはシャロが目立っていたように思う。

 

ノラガミ ARAGOTO

 野良神・夜トとその神器・雪音、半妖のひよりが中心となって繰り広げられるファンタジーバトル作品・2期。1期の出来事が振り出しに戻ったようなストーリー展開だけども、胸糞悪い敵が現れてぐぬぬ…と数話かけて溜まったフラストレーションが発散される瞬間が心地いい。こういう数話かけて鬱憤を貯める作品は久しぶりに思える。

 

終わりのセラフ 

人類と吸血鬼との存亡をかけた戦いの中で、人類と吸血鬼側とに別れてしまった友人たちのそれぞれを描いた物語、2期。絵画のような背景とアニメナイズされたキャラ、その境界の線画の太さが印象的で、アニメーションとしては一見の価値ありの本作も、1期目は人類と吸血鬼側との単純な対立構造と凡庸なやり取りで正直退屈ではあった、2期目は帝鬼軍・吸血鬼側双方で内部分裂が起こり、勢力図が混沌としてきたことでストーリーにぐっと奥行きが増して終始飽きることなく楽しめた。

 

 

以上です。

 

 

続きまして、いろいろあったけどでも面白かったよ!という作品を…

 

・2015年冬(1~3月期)

幸腹グラフィティ

食との向き合い方が個人的に合わなかったものの、きりんが面白く物語を回してくれて楽しかった。

 

ガンダム Gのレコンギスタ

わかりづらさは否定出来ないが、富野氏のファンなので無条件に好き。外に出て体を動かし、旅をしていろんな景色を見ていい空気吸ってうまいもん喰って恋をして五感を研ぎ澄ませなさい!という氏の有難いお説教のように思えた。

 

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞

黒幕エンブリヲに新味がなかったのは惜しい。刺激的で挑発的で痛快な作品ではあった。

 

アルドノア・ゼロ

映像もストーリーも高水準ではあった。しかしどこかこれ!という印象、押しが弱くも感じる。

 

聖剣使いの禁呪詠唱

画的には苦しいけども、そんな中でも楽しく見せようという工夫の方向性がユニークで、結果的に面白い作品となった。

 

艦これ 艦隊これくしょん

方向性にまとまりが見られず、キャラ像も2次創作から拝借したりと弱気な姿勢が仇となった。いち提督として贔屓目に気に入ってはいる。

 

デス・パレード

作品の出来は申し分ないけども、個人的にファンキーなOPに期待したものと実際の本編の深刻な物語とのギャップが終始気になってしまった。

 

 

・春(4~6月期)

パンチライン

世界の謎が明らかになるまでのドタバタは最高に楽しかった。世界の真実もコミカルに描いていってくれたら印象は変わったかも。

 

長門有希ちゃんの消失

中盤までは正直退屈であった。消失編の雰囲気あるエピソードが良かった。

 

レーカン!

雰囲気は良かったものの、コメディのセンスが合わなかった。コメディは感覚に訴えるものだから難しいところ。懐かしさを覚える画作りは好き。

 

ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン

ストーリーは抜群に面白いし、本気作画の箇所は凄く良かった。完全版が見たい!

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

中盤までは良かったけども、終盤に一応の区切りをつけようとしたのか多少大味になったのが惜しい。RPGの魅力が詰まった世界観と、有り物のような質感の背景や小物の描き込みがお気に入り。

 

グリザイアの楽園

少女たちのそれぞれの苦悩から救ってくれた雄二を、今度は少女たちが救うという展開が熱い。オスロとの決着だけはもう少し押しが欲しかった。それ以外は文句無しに面白かった。

 

プラスティック・メモリーズ

1話めは凄く良かったけども、アイラの抱える深刻さが明らかになっても同僚の姿勢に誠実さが見られなかったのが残念。この違和感は終始つきまとった。アイラとの別れのシーン自体は良かった。

 

・夏(7~9月期)

Charlotte

麻枝准関連作品が好きなので贔屓目。どうしょうもなく好きなんだけど、だからこそ不満も残る作品。でも好き。7話と8話の相互関係は見事だった。

 

青春×機関銃

コメディで映える立花のユニークなキャラが、シリアスなストーリーに埋没してしまったのは惜しい。1・2話はすんごい楽しかった。

 

赤髪の白雪姫

薬剤師白雪の物語としては面白い。物語の中で引き立て役的に悪役が出てくるのは気にはなった。あと白雪とゼンとのラブストーリーが甘すぎる。まったくけしからん(嫉妬

 

ゴッドイーター

絵画のような渾身の背景と、それと調和するようなキャラの塗りが目を引くも、物語を楽しむ上での足場・視座が決まるまでに数話要した。レンカとリンドウの師弟関係が浮かび上がってからは楽しめるようになっていった。

 

実は私は

楽しい回とそうでない回とがあって、これは人それぞれ。結果的に良い印象で完走出来た。「実は私は」のタイトル通り、毎度カミングアウトにしっかりサプライズを演出する展開の順序立てが上手かった。

 

空戦魔導士候補生の教官

「聖剣使いの禁呪詠唱」よりは安定はしているけども、それでも絵的に苦しい。しかしながらこちらも楽しませようという工夫の方向性がユニークであった。ミソラ・レクティ・リコが不本意なレッテルでなく本当に三バカとして機能しているのが可笑しくも可愛かった。

 

六花の勇者

「『六花の勇者』なのに7人いる!偽物を探せ!」というので1クールまるまる使ったことだけでなく、犯人が見つかったと思ったらまた六花の勇者が一人増えたぞ!で締めくくられて度肝を抜かれた。それが最高に楽しかったのだけど、ヴィジュアルに反して地味ではあった。とにかく続きが見たい!

 

下ネタという概念が存在しない退屈な世界

表現規制への痛烈な批判に当初は爽快感を覚えたものの、加齢臭漂う濃厚な下ネタの応酬に回を増すごとに頭痛・目まい・吐き気を催すに至って、つくづく自分が下ネタが苦手だと痛感させられた。参りました。完走したけども(小声

 

それが声優!

web4コマのライトなノリを期待していたから、予想以上にズンとみぞおちに来るストーリーにしばらく戸惑ったものの、声優業界モノとして興味深く楽しめた。

 

ケイオスドラゴン 赤竜戦役

序盤の荒削りな展開が惜しい。中盤からはぐっと見応えのあるストーリーとなった。

 

・秋(10~12月期)

ランス・アンド・マスクス

わかりやすい物語だけに、画が崩れると少々辛いものがあった。ストーリーやキャラ自体は好き。

 

対魔導学園35試験小隊

終始安定していてバトルシーンでのエフェクトはカッコよく、キャラも魅力的ではあるのだけども、ひとつこれ!という押しが弱かった。

 

学戦都市アスタリスク

序盤は凡庸な印象で、どうなるか不安ではあった。キャラが増えてくると物語に厚みが出て面白くなった。バトルシーンも高水準であった。しかし物語的にはここからが本題というテンションで一区切りついたので、盛り上がってくるのは次期以降になりそう。

 

落第騎士の英雄譚

序盤はアスタリスクと同様の印象。中盤から盛り上がってきて、10話から爆発的に盛り上がった。珠雫VS刀華、一輝VS刀華のバトルは鮮烈。

 

櫻子さんの足元には死体が埋まっている

骨好きな櫻子さんのエキセントリックな言動に期待高まる1話だったが、その後シリアスなエピソードの中で彼女の個性が埋没していったのは残念。1話と最終話は良かった。

 

アクエリオンロゴス

辻褄やディテールなど知ったこっちゃないという勢いがあった。コメディがベースとなったストーリーとキャラもユニークで楽しかったけども、総が荘厳に変わるようになりシリアス色が増してからはその持ち味が薄れていった印象。努虫の死による退場といい、ここまで無茶苦茶やれるのならもっと大胆に駆け抜けていっても良かったのでは。

 

進撃!巨人中学校

進撃の巨人」の世界で懸命に生きる者や散っていった者を慰撫するような、別世界なのに地続きのような感覚を覚えることで物語がより面白くなった。ネタのセンスが少々幼いではある。

 

 

以上です。おかげさまで今年も充実の日々を過ごせました。来年もよいお年を…。