Dimension W 2話
「私が死んだら、不正コイルを辿れ」士堂博士の遺言の意味を知るために、回収屋の仲間にして欲しいとミラ。ニューテスラの秘密を握る士堂博士のアンドロイドを匿ったというだけでも無事ではすまないだろうからとのマリーの判断で、ミラは回収屋に置いてもらえることになり、監視役という名目でキョーマがミラの面倒を見ることになった。キョーマとミラでの初仕事は、怪盗でありながら一度も盗みを成功させたことのない「ルーザー」の使用するとみられる不正コイルの回収。ふたりは窃盗予告のあった美術館に向かう。
今回のエピソードで、「赤コイル」なる不正コイルにより次元崩壊事故が起こることがわかった。次元崩壊の描写はゾッとしましたなあ。次元軸Wから得られるエネルギーの恩恵と、事故のリスクの高さ。なるほど、ニューテスラにとってみれば、リスクの高い供給設備なり装置なりを個人で勝手に扱われると困るという事情は納得できる。じゃあ世界規模で次元軸Wによる電源供給を禁止すればいいとか、そもそもリスクが考えられた時点でやめるべきだったっていっても、膨大なリターンが得られるとわかっている研究開発が動き出すと、それは止めようがないものなんでしょう。膨大なリターンを捨てるよりは、リスクに逐次対処していくほうがずっと楽だと。リターンが大きいから権限も強くなり、リスクマネジメントも大胆で手荒になる。もちろんリスクを被る側はたまったもんじゃないので戦争になるわけですな。これは落とし所が非常に難しい背景。どう料理していくか見ものですな。
キョーマのことを何か知っているらしいルーザーと、キーコイルの謎。大局としての物語に興味をそそられれば、キョーマとルーザーとの追いかけっこの一方でサポートに活躍するミラ、そのミラとルーザーの子とのユーモラスなやりとりと、エピソード単位の出来事も楽しい。ルーザーとその子との、作品世界の暗部を背負っているとは思えない痛快な犯行手口に、これまた作品世界の暗部を背負いながらキュートに振る舞うミラとが、どよんと重い世界にふっと息継ぎできる空間を提供してくれている。ガソリンエンジン車の修理工で時代遅れの格好と表面はユニークでも、性格や背景が仄暗いキョーマとミラは相性抜群。ミラはキョーマのユニークな部分を引き出してくれるでしょう。重めの世界観でも喜怒哀楽バランスよく楽しませてくれそう。