アニメられる日々

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僕だけがいない街 3話

アイススケートの競争で相手に気を使って手を抜いたことで、雛月の信用を失ってしまい、事件の手がかりとなる雛月の誕生日を聞こうにも相手してもらえない悟。いつもの公園に雛月を探したが姿がなく、かわりにユウキさんと再会し、改めて彼の無実を確信する。再び雛月と会うべく自宅を尋ねると、全身痣だらけで物置に放り込まれている雛月の姿が。

 

中身は29歳である悟が、アイススケートの競争で相手に気を使って手を抜くところ、当時も同じように気を使っていたというのが三つ子の魂なんとやら的で面白いし、過去を変えるという物語にあっては歴史を変えることは出来ない的なハラハラ感も演出できてて良い。子どもなのに思考が大人びているというのはありがちだけど、実際大人であるというのも面白くて、小学校における集団心理での軋轢に、個の成熟した大人として個を貫き、当時なら解決し得なかった問題を解決していく件は痛快だった。あの頃こうしていれば…なぜこう出来なかったのか…そんな後悔は誰しもが持っていると思うけど、給食費窃盗疑惑は、そんな今の自分を保ったまま過去に行って変えることができたら…という願望に寄り添った件だった。

29歳の悟の視点で、ふたたびユウキさんを見つめなおす。本棚の目隠しがちゃんと閉まってなくて、そこから覗くポルノ…おそらくティーン系だと思うけど、児童誘拐殺人容疑で後に死刑囚となる男の自宅にそういうのがある、というのはなかなか挑戦的だ。ユウキさんにとってみれば、いい歳して子どもたちと遊んでいるという後ろめたさはやはり持っていて、その上で子どもたちと接するのは、自分が子どもたちを純粋に愛おしいと思っていて、やましいことはないんだと思えるからそうしてるんだろうし、その気持ちが悟たちとも通じ合えているから共に遊べるんだという自信も持っていたと思うけど、それだけに悟に自身の性癖を開陳してしまった、大人の一面を見せてしまったというのは痛恨の出来事だったに違いない。それでも、多少の気まずさはあったものの、見て見ぬふりしてくれたし、態度を硬化させない悟に「大人になったね」と言ったのだろうと。大人と子供は別物ではない、地続きなんだと、そういうユウキさんの存在は、今日の児童虐待犯罪における世間のステロタイプな犯人像への批判が込められているように思えた。

さて、雛月の両親による虐待は、悟が担任に働きかける形で解決を図っているけども、どうもその担任が怪しくなってきた。ひょっとしたら、児童誘拐殺人の犯人の動機は、児童虐待と共犯性がありそうに見えて、そうだとすると真相はかなりおぞましいものになりそう。これは心しておかねば…。自活能力のない、家に帰るしかない子たちにとって、家庭が自身の生命すら脅かす虐待の場というのは、なんて腹立たしく、そして可哀想なことだろう。そんな絶望の只中にいる雛月が、雪山の天然ツリーと空に瞬く星々に生きる希望を見出す。このささやかな感動が守られる結末を期待したい。