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昭和元禄落語心中 7話

自分の落語を見出した菊比古は絶好調。助六とともに若手の売れっ子となった菊比古は、師匠の巡業に助六を差し置いてお伴するまでになった。一方みよ吉は、菊比古が落語にのめり込むほどに自分から遠ざかることに不安を覚えていた。

 

今回は、まず自由奔放な助六が先輩方との間に起こす軋轢を、菊比古が甲斐甲斐しく拭って回るところから始まる。菊比古の生真面目な性格と助六との友情を積み重ね描くエピソードだけども、助六の、先輩方の顔色ばかり伺って…というところは後の菊比古と師匠とのやりとりの伏線となっていそう。

自分の落語を見つけて、より落語にのめり込んでいく菊比古の姿が活き活きとしていて、師匠の巡業にお前も来るかい、と誘われた時の菊比古の微妙な表情の変化が、万感の思いこみ上げる様子が伺えて、観てるこちらもジーンと目頭が熱くなった。

一方で、菊比古が落語によりのめり込むようになり、会う機会の減ったみよ吉の不安がこちらにも伝わってくる切ないエピソードでもあった。菊比古だって、売れたからとたんにみよ吉が煩わしくなったわけではない。落語が、落語界が自分の居場所だと気付いた菊比古にとって、ようやくその足がかりを見つけた時期。もっともっと精進して、足場を盤石にしたい。そう考えて頭がいっぱいになるのも無理は無い。今はとにかく落語に専念しよう、そう考えてたはずだった、師匠から巡業の話を伺うまでは。

師匠との別れ間際、みよ吉との関係の進展を詮索された菊比古は、みよ吉が師匠の愛人だったことを思い出し、また師匠がみよ吉に心残りがあることも看過して、ならば自分は身を引こう…と考えたかもしれない。帰路の恋噺は、自身の恋と落語を天秤にかけたようで、吹っ切れたような笑顔はやはり落語が好きなのだ、と確信したのだろうと解釈した。

通勤中に出会った菊比古に、会いたいとせがむみよ吉が切ない。今は落語で忙しいから、という深刻なトーンに、これは本当に今は自分の入る余地が無いのだなと悟り、それなら余裕ができるまではと譲歩するみよ吉が、それほどまでに菊比古が好きになってしまっているというのがまた切なく、そんな気持ちを遮るような「もう行かなきゃ」が、別れの言葉と受け取れてしまってたまらなくなり泣いてすがりつくみよ吉に、こちらも胸が締め付けられるような想いだった。白粉の顔に涙が厄除けの紅と混ざって伝う画は、現実ではまずお目にかかれない、身震いするほど切ない美しさだった。菊比古の態度から別れを感じ取っても、ずっと待ってるから…とか細く祈るように声を絞り出すみよ吉もまた切ない。

さて、菊比古が巡業の旅に出る。助六は下宿にひとり。そして寂しいみよ吉…と、将来それぞれが最終的にどうなるかは事前に知らされてるからこそ、いろいろ想像かき立てられますねえ。どうなることやら。