アニメられる日々

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僕だけがいない街 総感

事件や事故の予兆を察知し、その原因を取り除くまで何度もタイムスリップすることの出来る能力「リバイバル」を有する売れない漫画家・藤沼悟の住むアパートに、息子の看病を口実に母・佐知子が転がりこんでくる。それによって小さい頃に巻き込まれた未解決事件を思い出し、その接点を偶然見つけてしまったことから、探りを入れた母は犯人に殺されてしまう。母殺害の濡れ衣を着せられた悟は「リバイバル」によって小学生の頃まで遡る。母殺害とそれに関連する過去の連続誘拐殺人事件を阻止するべく悟は行動に出る。

 

主人公の成人時の声を満島真之介さん、小学生時を土屋太鳳さんと、アニメ声優経験のない俳優さんを起用したとあって放送前から賛否両論が巻き起こっていたけども、確かに違和感はどうしても覚えるのだけど、スリリングなストーリー展開にハラハラドキドキさせられると、その点は気にならなくなってきた。

小学生となった悟の、小学生ならではの引き出しや取れる手段の少なさ、犯人とその動機の見えなさがストーリーに緊張感をもたらしていて、また瞳の色だったり街の落書きだったり頭上の一筋の線だったり諸々の主観のこもった光景が舞台劇的な凄みを付与していた。

悟の15年もの昏睡状態と、それに気を揉んだ家族や友人たちを思えばハッピーなエンドとは言いづらいところはあるけども、それでも皆生きて締めくくれた。その結末が、加代救出エピソードに比べると穏やかであったから、甘いケーキを食べた後にみかんを口に含んだような、あれっという物足りなさはあった。「僕だけがいない街」というタイトルを連想させるような結末なら…悟の死とまでは言わないが、せめて愛梨が全くの他人で悟に目を合わせてもくれないとかそういった展開になったら強烈なフックが得られただろうけど、それくらいは製作者側も考えたはず。考えた上で、センセーショナルな効果を捨ててでも悟に報いたのだと納得することにした。最後の最後に愛梨と再会するシーンはやはり良かったのだし。