アニメられる日々

アニメ感想ツイート保管庫(暫定

少女たちは荒野を目指す

高校生の主人公・北条文太郎は、人当たりがよく世話焼きで、皆から頼られる存在。そんな彼が、演劇部に頼まれて寸劇の脚本を作ったところ、クラスメイトの黒田砂雪の目に止まり、彼女から自身のプロデュースする美少女ゲームシナリオライターとなるよう依頼される。仲間を募って共にゲームを作っていく、真剣部活系学園ドラマ。

 

「少女たちは荒野を目指す」の「荒野」が、創作で食べていこうとする者に与えられた道を指していて、そのネーミングセンスは素晴らしい。お笑いコンビ・ダウンタウン松本人志さんが、自身のこれまでを振り返って「先人たちが食い尽くして荒れ果てた土地を懸命に耕してきた」と言うようなことを著書で述べてたのを思い出す。黒田さんを中心に、荒野を目指すかの如き凄まじい創作活動ドラマが見られるのか…と期待させられたし、実際一話目の終盤はそれくらい期待させてくれる印象的な締めであった。

ところが、仲間が集まっていく過程、問題発生と解決の過程が、トントントンときれいに展開して収まっていき、荒野を目指してる感じがまるでしない。これは「荒野を目指す」は一旦忘れたほうが良いな、と棚に置くことで、「学生の頃の自分が見たら『楽しそうで良いなあ…』と思える作品」として楽しめる姿勢を得ることが出来た。そう考えてみると、毎度穏やかな滑り出しでも中盤からぐっと注意を引く展開が良くって、最後まで楽しく完走することが出来た。

黒田さんのゲーム制作の動機が兄の借金にあったってのはすごく良かった。それだけで3~4話は関係がこじれてもおかしくはないけども、ここも皆のほうが歩み寄っちゃってトントンと解決してしまったのはもったいない。じゃあ一人でやると黒田さんが居直って、無理してボロボロになって、一人では荒野を行けない弱い人間です、助けて…と皆にすがったりしたら最高だったのになあ、と想像してたら、想像で満足して勝手に泣けてきてしまって、自分の中ではそのへんの記憶が混濁してしまってるのだけどそれはまた別の話。

無事ひとつの仕事を終えて、次何するか…となったときに、次は本当に皆の好きなように作りましょう、儲からなくても良い、スケジュールも決めずに自由にのびのびと…という件は、皆に本当に申し訳ないと思っている様子が伺えてホロッと涙腺が緩んだし、何いってんのそれじゃダメでしょ、とこれまでの黒田さんを肯定することで黒田さんを許してあげる皆にもホロリと。最終話がまた最高で、少女たちが荒野を目指す物語はひとまずきれいに着地しました。楽しかったです。