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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 総感

火星の民間警備会社「CGS」が、火星独立を謳う活動家・クーデリアを地球まで誤送する依頼を受けるが、地球圏を統治する「ギャラルホルン」に嗅ぎつけられると、CGSの大人たちは子どもたちを盾に逃げてしまう。少年兵の一人・三日月は、発電機代わりに使用されていたガンダム「バルバトス」を操ってギャラルホルンモビルスーツを撃退。三日月の友人で少年たちのリーダー・オルガは、この期に大人たちを追い出し、オルガを中心とした武装組織「鉄華団」を立ち上げる。CGSのクーデリア護送の任を引き継いだ鉄華団は、クーデリアとともに火星の独立のため、または自分たちの居場所を求めて、道中で様々な困難に立ち向かいながら地球へと向かう。

 

ガンダムシリーズ最新作は、経済格差で搾取される側の、とりわけ子どもたち、そして少年兵に焦点を当てた、南北問題を思わせるシリアスでリアリスティックな質感を持った作品となった。奴隷のような扱いを受けても兄貴達のように腕を上げたいとどこか無邪気な年少組に、武勲を上げて大人たちと同格に扱われたいと夢見る年長もいれば、俺達はネズミだ、クズなんだと悲観的な者も居て、そして何のためらいもなく敵の眉間を撃ち抜ける者…クランクを殺す三日月までをも描いて見せたことで、これは相当な覚悟で格差と争いを描いてきてるな、と思わず姿勢を正してしまった。

お嬢様クーデリアの口にする火星独立が、三日月たちにはお遊びに映る、というあたりの描き方・さじ加減が良くって、三日月の冷たい反応に戸惑いながらも、自らを奮い立たせつつ歩み続けるクーデリアの姿は、後に過去に彼女が貧民の現実を恐れて逃げてしまったことが明かされて初めてその姿勢の意図が見えてきて、じみじみと感慨に浸れる巧妙な構造となっていた。

道中で出会ったタービンズの名瀬にテイワズとの件は、鉄華団のリーダー・オルガが何を目標として、何をモチベーションに行動するのかをユニークに補強してみせた。任侠映画を思わせる関係からオルガの兄貴感・大黒柱感を演出するだけでなく、テイワズ銀行からの出向ということで敵か味方か怪しげな大人の女性・メリビットさんを加えてくるのも上手い。スパイであるフミタンから目をそらす役目から開放されたメリビットさんは、その後鉄華団のお母さんとしての存在感をみせてくれた。オルガ方面はこのように非常にマッチョなのだけども、マッチョな世界が現実に在ることも事実なので、好みの分かれる部分を否定も肯定もせずにさらりと描いてみせたのは評価しても良いんじゃないでしょうか。

昭宏の生き別れの弟・昌弘との再会と壮絶な死別はあったものの、タービンズと合流して人心地ついた鉄華団の面々の、衣食住に人並みの生活の中で様々な思考の側面を見せる子たちに、これは案外皆無事に目的地につくのかもしれない、ポジティブな希望を見せてくれるかもしれない、だって夕方のアニメだし子どもも観てるし…などと油断してしまった。フミタンの死でもまだそう思っていたから、全くしてやられた。本作は1話めで少年が銃で大人の眉間を撃ち抜いた物語だというのに!

地球にたどり着き、クーデリアを見送ったら鉄華団の任務はおしまい、というところでのビスケットの死、オルガの葛藤、そして三日月の激でオルガの覚悟が決まって鉄華団はギャラルホルンをぶっ潰す!徹底抗戦する!と猛烈に危うさを加速していく。この展開は正直戸惑ったし、どうなるのか不安はあったけども、懸命にそれを否定するメリビットさんの姿を描いてくれてたから、そこを信じて祈るような気持ちで最終回を迎えた。

クーデリアと蒔苗を議事堂まで送って、その結果ギャラルホルンが停戦信号を送ったことで、鉄華団の戦いも終わった、という締めくくりになって心底ホッとしたし、みんなの命を俺に預けろと言ったオルガも、本当は誰一人死んでほしくなかったんだ、という落とし所にしてくれて、またそれを雪乃丞さんからメリビットさんに伝える、というシーンもすごく良かった。「あの子たち、もう戻れないんじゃないかって思ってました」「何にだ?」「子どもに」「あいつらぁまだまだガキンチョさ」この件も良くって…あれっ雪乃丞さんとメリビットさんというカップリングも…?(動揺)コホン、ともかく子どもたちの柔軟性を上手く汲み取って、憎しみ合い殺し合いという呪いから開放してくれた締めくくりが嬉しかった。有難うございました。

さて、ギャラルホルン方面だけど、こちらはここからが本題といったところなので、次期まで保留としておきましょう。ラフタらやシノが生きてたことから、ガエリオも生きている可能性がありそう。ギャラルホルンが求心力を失って、各国が蜂起して戦乱となる予兆が伺える。自身が嫌悪した阿頼耶識を自らまとってガエリオが復讐に…という路線もありそう。三日月にアトラも次期では成長した姿を見せてくれるだろうか。その時の身長差がどうなってるかも気になる。ともかく、終わったという気がしないのでまとめてるのが妙な気分になる。秋が待ち遠しい!

 

※フミタンとカルタが最高に好きでした。ふたりともあんなことになって…ウッウッ