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シュヴァルツェスマーケン 総感

敵対的地球外生命体「BETA」の脅威にさらされる欧州、その最前線に位置する東ドイツは、徴兵年齢を引き下げ、その兵力の殆どを対BETA戦に投入する一方で、国家保安省(シュタージ)による密告社会を構築し、対BETA戦への挙国一致体制を疑心暗鬼と恐怖で作り上げていた。東ドイツ陸軍第666戦術機中隊「黒の宣告(シュヴァルツェスマーケン)」に所属するテオドールは、過去に一家で西ドイツへ亡命を試みた際に捕らえられ、シュタージに激しい拷問を受けたことから、国家体制に憎悪を抱きつつも仲間も信じられないほど密告に怯えながら、日々生きるためだけに任務に当たっていた。ある日、戦場で孤立しテオドールらに保護された西ドイツ軍のカティアが、東ドイツへの亡命を申請したことで666中隊の仲間となる。ある人物を探して西から東に渡ってきたカティア、シュタージに兄を密告して今の地位を得たと噂される中隊長アイリスディーナ…目の前にはBETA、背後にはシュタージという状況で、様々な思惑がテオドールを突き動かしていく。

 

終始仄暗い雪に覆われた光景に、東ドイツをモチーフとした舞台設定、そしてBETAと、これで登場人物がおっさんだらけだったら気が滅入ってしょうがなかったと思うので、そう思えばバラエティ豊かな女性キャラがいっぱいってのは悪くはないかもしれない。設定はリアリスティックに詰めつつも、キャラ造形やTPOとやりとりは面白さ優先で、ここは何を期待して観てるのかで評価が分かれそう。個人的には敵対的地球外生命体とそれに対抗するロボットを持ってきてそれに美少女を乗せよう、ラブストーリーも盛り込もう、というのだから、嘘にほんの少しでも真実味を持たせて視聴者に作り物の世界に感心を持ってもらう意味でのリアリティという意味では、本作ぐらい盛り込んでくれたら十分だとは思うけど。

東にやってきて危うい発言連発するカティアを看過せずビンタかましたり連れ出してお説教したり、そういった密告社会の恐怖の演出は良かったし、それらの暴力や恫喝があっても屈しないカティアの姿勢が、彼女がお遊びでやって来たわけでないこともよく演出出来てて、テオドールに迫る義妹リィズに不穏な点が見られたら誰に気遣って胸に納めとくでなくすぐに仲間に伝えて対処する姿勢は特にすごく良かった。ぽわんとした容姿だけどとても強い女性で印象深かった。

BETAの侵攻が激しくなってベルリン目前という状況と、そんな時の派閥争いと、どうなるのと思ってたけども、納得のいく展開ですべて丸く収めてみせたのは上手い。たった一人の能力や奇跡でなく、皆がベストを尽くした結果得られた最善の結果、という綺麗な締めくくりと、終盤になってようやく明けていく空の眩しさが視聴後感そのものであった。