ハルチカ ハルタとチカは青春する 総感
中学時代バレー部の活動に明け暮れて、私の青春はこんなんでいいんだろうか…と思っていた時にTVで見た吹奏楽コンクールに感化され、あんな女の子になりたい!と高校では吹奏楽部に入ることにしたチカ。顧問の草壁先生に一目惚れして可憐に振る舞おうとするが、吹奏楽部には幼なじみのハルタが所属していて、早々に先生の前でやんちゃな少女時代を開陳されてしまう。ちょうどその時、吹奏楽部では不可解な事件が起こっていた。部員集めで出会う人々の抱える謎を洞察力に優れたハルタが解いていき、チカが活発に動いて人の輪を紡ぎ広げていく、学園青春ミステリー。
なまにくATKさんのキャラデザへの、特に目の描き込みへのこだわりが感じられるけど、それが災いして表情表現が硬い印象を受けた。その違和感は終始つきまとったけども、活発なリアクションを見せるチカと、デフォルメキャラやテロップ、劇伴のオンオフのタイミングなどの漫画的演出が結果として良いフォローになっていた。
ハルタとチカが恋愛関係でなく、共に草壁先生を好きなライバル関係であるということが、二人の掛け合いに忌憚のない無邪気さを見せてくれて、コミカルなチカのキャラが生きたし、ひとりにしておくと洒落臭いハルタをうまくフォローしてくれた。ハルタの草壁先生への同性愛をさらりと盛り込んだのは社会的にも意義深いと思うのだけど、ハルタとチカふたりとも先生への想いは憧れにとどめている程度、距離感を詰めていかないので、そこに時間を割くことなく各エピソードの主役の脇に控えていられたのも良かった。特定の人物だけの物語でなく、皆の物語として成立してみせたことが、ハルタとチカだけではなく皆のそれぞれの心に響くような広い器を持ったエンターテインメントとなっていた。
『青春真っ只中にいる子たちが「青春」を口にするだろうか』という意見が多く聞かれたけど、僕個人は学生時代それを意識して行動してたので違和感はなかった。気恥ずかしくなってウワワワワとはなったけど。部活に打ち込んだ経験のある人なら、その動機がそこにあった人も少なくないんではないだろうか。いや居てくれないと困る(赤面
ハルタが洒落臭くキメた後の帰りのバスで、チカが「お前じゃねえ座ってろ」ネタで締めてくれていいオチでした。やっぱチカがいないと締まりませんね。楽しかったです。