アニメられる日々

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無彩限のファントム・ワールド 総感

医薬系企業・阿頼耶識社が爆破テロに遭い、特殊なウイルスが流出。瞬く間に人々に感染し、その脳の構造を変化させた結果、人々は幽霊や妖怪の類・「ファントム」を認識できるようになった。「ファントム」はそのほとんどが無害であったが、しばしば人々に災いをもたらすことがあった。一方、事件後に生まれた子どもたちの中に、ファントムに対抗できる特殊な能力を持つ子たちも現れた。ホセア学園の「脳機能エラー対策室」は、そんな特殊能力を持つ学生が所属するクラブ活動のようなもの。退治したファントムに応じて報酬がもらえるので、それを生活の糧としている川神舞はファントム退治に精を出すが、一条晴彦とのコンビネーションはいまいちで、そんなふたりがファントム退治を通じて仲間と出会い、様々な不可思議な体験をしていく学園ファンタジーコメディ。

 

京都アニメーション制作・同社KAエスマ文庫原作作品。ふくよかなボディのキャラクターは京アニの他作品でも観られるけども、エッチく動かしてきたのがユニークで、これまでいろいろなコメディ作品を制作してきた京アニの、ウブな少年少女のようなそっち方面への踏み込みの弱さを払拭する作品になるか、と期待した。結局いつものウブな京アニであったんだけども、それはそれでなかなか頑固じゃないかと。京アニはそういう姿勢なんだ、それは変わらないんだ、ともう納得することにした。

曲のテンポ・リズムに映像を合わせるOP映像がまた素晴らしくて、浜辺で絵を描く晴彦の動作のひとつひとつ、寄ってきて隣りに座る玲奈の動作のひとつひとつ…とても細かい部分から合わせてくるので画と音が噛み合う気持ちよさがある。本編においても画も劇伴も素晴らしく、幽霊や妖怪の類・ファントムが居る世界のコメディを、画が抜群にその魅力を引き出してくれて、ユーモラスで楽しかった。

ひとつもやっとしたのが、久瑠美関連の諸々。アニメオリジナルキャラクターだからか、なかなか皆の輪に入ってこない。久瑠美メインのエピソードがやっと訪れたかと思ったら、久瑠美のみでエピソードが成立してしまった。ねじ込んだかのような立ち位置が不憫だった。チームEに加わってからは、皆と呼吸が合うようになってホッとしたけども、そうなるともっと久瑠美と皆のわいわいを見ていたいので、続編もぜひ…。

小糸は逆に皆と距離をおいてるのが自然なキャラだったのだけど、だからこそいつの間にか皆と一緒にいるのが当たり前になっていって、登場時のツンツン感からは想像もできないほどキュートでユーモラスな表情を見せてくれて最高でした。

お気に入りエピソードは「ファントムの時代」「模造家族」「小さなルルの大きな夢」。「ファントムの時代」は柔らかくて温かそうだなあ…と温もりや生地の感触まで伝わってくる舞の仕草が最高だったし、電柱とのリンボーダンスが楽しかった。「模造家族」はファントム家族が可愛らしくて、それを想像してしまう玲奈も可愛かった。ミイラ取りがミイラになる過程が可笑しかったし、両親とのわだかまりを解くのでなく保留する締め方が味わい深かった。「小さなルルの大きな夢」これはやはり恋する少女の気持ちを表情仕草で物語っていく手際は流石ですね。京アニの必殺技。

阿頼耶識社をめぐるファントム世界の真実に迫るのもいいけど、ファントムのいる世界で皆がドタバタする光景をずっと見ていたいので、あと2~3期ほど先延ばしして欲しい。とにかく続編を!