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昭和元禄落語心中 8話

巡業先でも絶好調の菊比古。一方の師匠は菊比古と助六の真打昇進について頭を悩ませ険しい顔。客には評判でも師匠筋には評判の悪い助六が原因であった。東京ではその悩みの種の寄席は大賑わい。その寄席に来ていたみよ吉を縁日で捕まえた助六は、みよ吉の愚痴に付き合う方便で飲みに誘う。

 

みよ吉が自身の経緯と恋愛遍歴を開陳し、今度もきっと菊比古に捨てられるのだろう、それでも…と菊比古への未練を語る一方で、助六にはあーたは優しくてダメ、好きになれないとバッサリ切り捨てるところが、その後を知ってるだけになんとも可笑しい。落語一筋でどこか浮世離れした菊比古に、たとえ捨てられることになろうとも付いて行こうとするみよ吉は、恋に「心中」するようにも見えて、去ろうとするみよ吉の手を掴み引き寄せて抱きしめる助六の「わからねえ」心情がなんとなくわからないでもなかった。なんたって「優しい」男だから。身投げでもしそうな女性を見てたまらなくなったのでしょうな。

そんな場の一部始終を見ていた菊比古、こっちもなかなか酷なことをする。あえて嫌な男を演じることで、みよ吉との関係の清算に入った菊比古。みよ吉の心情を思うといたたまれないけども、菊比古だってみよ吉のことが好きで、断腸の思いで落語を選んだ菊比古の心情をも思うとまたなんとも。本作では助六ははっきりと不器用に描かれてるけども、みよ吉も菊比古も不器用で、その3人の不器用さがぶつかり合いながらも、散り散りにならずに衛星のようにぐるぐると巡る関係の描き方が面白い。

助六と菊比古で飲み直す件もまた良かった。落語が好きで、この世界での地位を盤石のものにしたいから、落語の作法や師匠たちに従い、みよ吉との交際は遊ぶのにはいいが結婚には世間体が良くないとたしなめられれば、それは間違ってると思っても落語の世界での出世とみよ吉を天秤にかけて落語を取ったと、そういう生き方しかできないと正直に吐露した菊比古。落語は観る人あってのもの、今や娯楽は落語だけじゃない、時代に合わせて変化していかなきゃいけない、だから伝統や慣習や古典に囚われちゃいけないんだ、とまでは言わなかったけども、それが俺の落語だと助六。お互い独り立ちすべきだな…という結論で合意するけども、喧嘩別れでなく、双方がその道を認め合った上で、「伝統と格式の落語」「親しみやすい娯楽の落語」違ったアプローチで落語の今後を支えていこうと誓う件が熱かった。

次からはいよいよ真打昇進。菊比古・助六・みよ吉が徐々に現在に近づいていく…楽しみですねえ。